2/21
幼き日々2
その後、私はその工具置き場で見つかった。確かに頭から食べられた感覚があった。
ネバネバした感覚も生臭い匂いも鼻の奥に残っている。だけど、私は木材などの下敷きになっていて、一人遊びをしていた子供の不注意ということになった。
変な奴が追いかけて来たことや、食べられたことを言ったが警察と父と母の顔を見れば信じていないことは明らかでそれどころか、ようやく安心した母からこうポロリと言われた。あなたの空想癖が悪い、と。それを聞いた父は何を考えたのか私を精神科医に見せた。
だがあれは本当だったのか私の空想だったのか。今なら分かる。だが当時は私は早く消したい記憶の一つだった。
それが私の一つ目の消したい記憶だった。
確かに二つ目の記憶の方が消したいが、こっちの方も随分と嫌な記憶である。
私は目を落として美しい文字で書かれた昔ながらの書体の手紙を見つめた。
「いつか大人になったら覚えているのは私ではなくなる。」