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第5話 元魔王、カメラの前で披露する

結局昨夜も漫喫のお世話になってしまった。


テレビ局の人と取材の話に時間を取られ、近くのホテルで部屋を探したときにはどこも満室と断られ、探すのが疲れた俺は漫喫へと向かったのだ。


だけど、今朝もおなか一杯朝食を頂いて気分良く漫喫を後にした。言っておくけど昨日のようなことはしてないよ。だって夜の実入りで31029円も有ったからね。気分は大金持ちさ。しかも、今日の取材は出演料が貰えることになっている。しかも5万円。安いのか高いのかは知らないけど今の俺にしてみてみれば大金だ。それでと言うわけでは無いけど、肩慣らしに今日も朝と昼の2回を駅前で、夕方にテレビだ。しかも夕方のニュース&情報番組の中で披露して欲しいと言われている。これって生放送の一発勝負ってやつだね。


朝と昼の実入りは昨日と比べて増えていた。終わった時に声を掛けてくれる人も多く居て、テレビ局の人との待ち合わせ時間に遅れそうになったのは嬉しい誤算だ。


名古屋に来て3日。名駅周辺しか知らない俺に植物園に来てくれと言われても行けるわけがない。駅前まで迎えに来てもらって移動することになりついでとばかりに車の中で打ち合わせもした。


俺が植物園に着いた時にはすでに中継の準備も終わっていてカメラテストをするからとスタッフの人に立ち位置を決められ、リハーサルも兼ねてますので本番の時と同じパフォーマンスをして欲しいと言われたら、昨日聞いた要望に有った通りの火の鳥・鳳凰を植物園の上空に飛ばしてあげた。


「OKで~す。本番も今と同じようにお願いします」


そう言えば本番の時間を聞いてないな……。

近くのスタッフに聞いたら「18時25分辺りです。それまでゆっくりして居て下さい」と言われた。確認の為に今の時間も聞いたらあと2時間もあった。人間界のテレビは待機時間も長いのかと思い知らされたよ。それより腕時計を買おう。


本番の時間が近づいてきた。レポートを担当すると言う女性アナウンサーがあいさつに来た。


「本日のレポーターを致します名城テレビのアナウンサーで市橋のぞみと申します。本日は炎で火の鳥を飛ばしていただけると伺っております。個人的にも楽しみにしていますのでどうかよろしくお願い致します」

「椿サザンと言います。期待に応えられるかわかりませんがこちらこそよろしくお願いします」


ちゃんと挨拶できたかな? そっちの方が不安だよ……



中継ディレクターと言う人が来て時間だから立ち位置にお願いしますと言ってきたから、さっき確認した立ち位置に移動する。


「中継1分前」


大きな声で時間が知らされると、どことなく緊張感が走った。


「30秒前…… 10秒前…… 5・4・3・2・1」


俺から少し離れたところでさっきのアナウンサーがしゃべり始めた。いつ合図が来ても火の鳥が出せるように準備は出来ている。


「椿さん、間もなくです。私が合図をしたらお願いしますね」


僅か数秒がこんなに長く感じるほど俺は緊張をしたことは今まで無かったような……。


合図が来た!


それと同時にリハーサルと同じ場所に火の鳥・鳳凰を現す。

見ていたスタッフも空が暗くなっていたからかテストの時より映える火の鳥に歓声を上げていた。夜空を優雅に飛ばしたラストは天高く舞い上がった火の鳥を花火にかえる。これで中継は終わりだ。本当はインタビューもしたいと言われたけど、俺は駆け出しのマジシャンで話術はまだ無理と言っておいたので顔のアップで終えたと後から聞いた。


「椿さんお疲れさまでした。すごく感動しました。本当にありがとうございました」

「お疲れさまでした。では我々は局に戻りますのでお気をつけてお帰り下さい。これは今日の出演料になりますが、領収書はお持ちですか?無ければこちらで用意しますのでサインだけ頂ければ……」


俺は用意された領収書にサインをすると、テレビ局の人たちは帰って行った。


俺はどうやって名駅前にどう帰ればいいのだ??


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