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第4話 元魔王、取材を申し込まれる

駅前の時計が午前10時を示したところで近くの店のシャッターが一斉に開き出した。

街が動き出したのだ。


俺は掴みの一発とばかりに巨大な火の鳥・鳳凰を作り上げて見せた。


「これ、そこの君、こんなに多くの人が居る中でそんな大きな火を使ってはダメだよ!ちゃんと届けは出してある?」

「すいません……していません」


いきなり怒られてしまった……。


そうか……炎は届け出が必要なのか……


でも、炎がダメなら水はいいだろうと今度は水で巨大な龍。水龍を俺の目の前に現した。日本人は龍を水の神様として祭っていると新たな知識に有ったからだ。

今度は誰からも怒られなかったのでそれを良い事にその龍を躍らせてみた。

その龍がどこからか聞こえる音楽に乗って踊っていたので多くの人が足を止めて見てくれた。

それとなく音楽の出所を探すと近くで二人組が楽器の演奏をしていた。


俺は更に上り龍だの旋回だのと人々の目を楽しませ、気が付いたら足元に置いておいた箱にお金がかなり入っていた。誰が入れてくれたか知らないがお札までが入っていて初めての公演は大成功だった。時間は30分で一旦区切り、次は少し休んで行う事にした。これも新たな知識に人間の集中力は短い。大人で60分。子供で15分と有ったから中間をとっての30分。

しかし、これは俺の疲れ方にも丁度いい時間だった。魔界ではどれだけ魔法を使っても疲れる事は無かったが、人間界に長時間……と言ってもまだ24時間位しかいないけど若干の疲労を感じていた。それは漫喫で寝たからと言う事をこの時はまだ気が付かなった事だけどね……。


俺のマジックは魔法だから種も仕掛けも無い。準備する物が無いから片付けの必要もない。パフォーマンスが終わればそのまま退散だ。


駅地下のトイレに入り稼ぎの額を数えたらなんと13281円もあった。駅前にある安宿に泊まることが出来る金額だ。贅沢をしなければ2泊は出来る。この調子で行けば漫喫に泊る事は無くなりそうだ…… ってまだ1泊しかしてないけどな。


その後、空間収納に入れてあったモーじゃない、ランチを取り、14時から再びさっきの場所でパフォーマンスをした。その時の実入りは2万円を若干超え、夕方への期待が膨らんできた。


夕方になり仕事帰りの人も増え、駅前も賑やかになって来たところで今度は火魔法で鳳凰を夜空に飛ばした。今度は怒られないように休憩時間の内に消防署なるところへ火器扱いの届を出し、消火器を買ったら昼間の実入りが消えてしまったのは痛かった。


これも新たな記憶に有ったのだが、大道芸は露店商と同じ扱いを受けるらしく場所の占用や火を使うときは届け出が必要な事がわかった。これも怒られたから分かった事だけど、もうすべてが勉強だよ。


夜のパフォーマンスは拍手喝采だ。ネオンで明るいのが難点だったが、夜の空に火の鳥が飛んでいるのだ。次々に箱にお捻りが投げ込まれていた。


終演時間も近づき、一際高く飛ばせると近くにあった噴水に飛び込ませたところで完了。

大きな拍手と歓声に手を振って応え、お捻りの入った箱を抱えたところで声を掛けられた。


「名城テレビの者ですが、凄いパフォーマンスでしたね。良ければ取材をさせてもらえませんか?」


人間界に来て2日目、テレビの取材を受けるとは思ってもいなかった。


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