第3話 元魔王、大道マジシャンとしてデビューする
昨日は散々だった。大道芸人の真似をしていたらまさか警察に連れて行かれるとは思いもしなかった。だけど、ホンの僅かな時間だったけど2000円も儲ける事が出来たから漫喫という店で一晩を過ごすことが出来た。ここはお巡りさんに教えてもらった。ここでは警官の事をお巡りさんという愛称が有り、みんなそう呼ぶらしい。
教えてもらった漫喫は少々狭い空間だったが飲み物は自由で食べ物も注文出来た事から空腹を我慢することも無く、寝るには快適な気分で過ごせた。それよりも一番の驚いたことは朝食がモーニングサービスとか言って食べ放題だったことだ。情けない話だが次いつ食べられるか分からないと思い腹一杯どころか、空間収納にあった入れ物に入れて隠し持って出てしまった。お店の人ごめんなさい。良い子は真似しないでください。お願いします。って、誰に言っているんだろう……。
店の外に出て気が付いた。そう言えばこの店にはマンガとかネットが楽しめると聞いていたが寝る事と食べる事に夢中でどんな物だったか見るのを忘れて居た……。もし今夜もお世話になるようだったらしっかり見てみようと心に誓った。
そうそう。昨日の交番でも事だけど、あんなに色々聞かれるとは夢にも思わなかったよ。
名前に住所でしょ。年齢に職業。それと出身地。真面目に答えたら「本官をバカにしているのか!」と怒られてしまった。千年前は魔界から来たと言えば恐れ戦かれたものだが今は魔界すら信じてもらえないとは驚きより唖然としてしまった。仕方がないで名前は俺が好きな花の椿と山茶花。似たような花だがそれを並べて椿山茶花にしようと思ったが、山茶花では語呂の据わりが悪いから椿サザンと名乗り、年は思わず20歳と言ってしまった。次々とされる質問に意味も分らす適当な話しで先代(魔王)が青葉が一番好きだったことを話したら、住所が仙台市青葉一番町になっていた。本当にこんなで良いのか??
流石に俺も知らない場所だから機会が有ったら一度そこに行ってみよう……。
それからも話が噛み合うことなく進みお巡りさんが知りたいことが埋まったようで、道路で何かをした時に必要な手続きの方法を教えてもらって、その足で交番を統括している警察署という所で道路占用許可申請書と言うのを提出して認可をしてもらってきたのは良いが、道路使用料と言うのを取られ、漫喫に泊れるのか心配になったことからさっきの次いつ食べられるかに繋がるのだが、決して悪気があってのことでは無い事だけは言わせて欲しい……って誰に??
でも、これで今日から堂々と大道マジシャンとして稼ぐ事が出来るぞ~~~~!
そして三度、俺は名古屋駅前に立ったのだった。