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1話

心暖まる話にしたいな、と思っています。(できる自信はあまりない、とここに予防線を張りますね…)

楽しんでいただけたら嬉しいです。




お困りごとはありませんか?

 草むしりにおつかい、お掃除、探し物。

 用心棒にベビーシッターも日雇いなら。

 できることなら何でも承ります。

          手伝い屋ドロップウォルト





 

 ここ、クリプネスの街には評判の何でも屋がいる。

 丁寧な仕事ぶり、親切で丁寧。それに腕も立つのだそうだ。街の端っこに佇む小さなお店で、名前はドロップウォルト。扉の前に小さく書いてあるから、わかるだろう。


 え?どの方向か?いや、そこをまっすぐ進めばつくけれど…。ああ、いや、礼には及ばないよ。難しい道案内じゃあないしね。しかし、お兄さん。先に警告しておくよ。手伝い屋のお嬢ちゃんに手を出すんじゃないよ。地獄よりも怖いものを見る羽目に遭うからね…?



       ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「ありがとうございましたー」


セリはお客さんに手を振った。明日の天気を見てほしいという依頼だった。天気を見るのは簡単だし、魔力をほとんど使わないから、礼はいらないというのに、やってくる人たちは必ず人参やらじゃがいもやらをおいていってくれる。ちなみにさっきのお客さんはもの探しもしたから、籠一杯のレモンをくれた。レモンがあまりにたくさんだったから、お金は固辞した。


「んー、いいにおい」


籠から香る爽やかな香りを胸一杯に吸い込む。そうだ、はちみつ漬けにしようかな、とわくわくしながら店のなかに戻る。店内には様々なものがところ狭しと棚や引き出しに詰め込まれている。


「レモンのマーマレードもいいかもなぁ…」


店の奥のキッチンにレモンの籠を置きつつ、来客に出したティーカップの片付けを始める。キッチンもキッチンで物が多い。


「あ、花雫のジェル固まったかな…?」


セリは端っこに寄せてあった小さめのたらいを取り出した。被せてあった布巾を取り去ると、透明なジェルがセリの黒い髪と赤い瞳を映し出した。


「よかった。固まったみたい」


小さな瓶を取り出して、そのジェルを詰めていく。それが終わる頃、


「すみません」


お客さんがやって来た。


「はぁい、いま行きますー」


瓶の蓋を閉め、ぱたぱたと入り口へ向かう。しかし、誰だろうか。聞いたことのない声だなと思いつつも、セリは扉を開けた。


「いらっしゃいませ、何でも屋ドロップウォルトへ」


そこに立っていたのは上品な顔立ちの青年だった。

私の姿を見て、少々面食らった顔をしていた。それはそうだろう。何せ私は屋内にも関わらず、フードを深々とかぶっているのだから。


「ご依頼は中で聞きますので、どうぞ。苦手なもの、ありますか?」


「苦手なものは、特にはないです」


店内に案内すると、青年は鼻をすんすんとさせた。


「どうかしました?」


「いえ、なんだかいい香りがするなと思いまして…」


匂い?セリは空気を吸った。


「ああ、シャクナゲですか。ちょうど、花雫のジェルを瓶詰めしていたので…。あ、匂いきついですか?」


「いえ、落ち着く優しい香りですね…」


青年はそういいながらすこしうっとりしていた。疲れているのだろうか、肌が少し荒れている。ローズヒップティーをいれてあげよう。たしか美肌の効果があったはずだ。なんだか、この人からは苦労性っぽさを感じる。


「お茶淹れるので、そこに座っていてくださいね」


ティーポットにお湯を注げば、ローズヒップの甘い香りがふわりと立つ。いい香りだとセリは口許を緩めた。 


「ローズヒップティーです。どうぞ」


青年にお茶を出し、テーブルを挟み、向かい合うように座る。


「それで、ご用件は?」


読んでくださってありがとうございます!

続きも読んでいただけたら嬉しいです。

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