06 ステータスの確認
「月詠、ステータス見せてくれる?」
やがて、アシャにそう言われて、首をかしげました。
「もちろんいいけど、何かわかるの?」
「そもそも、ステータス謎でしょ、月詠の『猫天使』」
ステータスの見せ方を教わりながら質問です。
変わりに、アシャのステータスも見せてもらえました。わお。
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[名前] アシャビラ
[種族/性別] エルフ / 男
[レベル] 7
[職業] 剣士
[HP] 320 [MP] 450
[STR] D
[VIT] E-
[INT] C+
[MND] E+
[DEX] D+
[AGI] C-
[LUK] D-
[スキル] 剣術,風魔法,見切り,
[称号] -
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[名前] 月詠
[種族/性別] 猫天使 / なし
[レベル] 1
[職業] (設定前)
[HP] 50 [MP] 50
[STR] F-
[VIT] F-
[INT] F-
[MND] D
[DEX] F-
[AGI] E+
[LUK] C+
[スキル] -
[称号] 封じられし女神の化身
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もう、レベルが7になってるんですねぇ!
アシャカッコいい、と思っていたら、伏せる彼に気がつきました。なになに?
「さすが隠れキャラ、突っ込みどころが多い」
乾いた笑いをするアシャに、申し訳ない気持ちになっていると、首を振って私のせいではない、と言ってくれました。
「まずはここかな」
「ああ、称号……」
女神の化身とか、大袈裟ですよね。
「効果見た?」
効果?
「え?」
効果、ってなに?
「触れてみ。見られるから」
アシャの言う通りに、その文字に触れると、説明が現れました。
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〔封じられし女神の化身〕
この世界のどこかに封じられた女神の化身。特殊な姿を得るが性別を持たない。
武器防具装備不可。戦闘系スキル取得不可。
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一行目はいい。名前とかからわかるから。
でも、二行目。なにこれ。
「なにこれ!」
「月詠、生産職確定だね」
「えっ! 魔法は?」
せっかくのファンタジーだもん。魔法使ってみたい! でも、突きつけられたのは、残酷な事実。
「攻撃系魔法は、戦闘系スキルでしょ」
でもでも、それなら。
「かわいい杖とか」
せめて、格好だけでも。
「武器だね」
「嘘だぁ!」
ガバッと机に伏せた私を慰めるように、頭を撫でてもらいます。うう。
武器も防具も魔法もない。町から出たら、すぐにモンスターの出てくる世界です。そんなの危ないに決まってる。
「私、町から出られないの?」
不安で、泣けてきます。すると、アシャはふるふると、それを否定しました。
「出られるよ。私が護衛するから」
「え?」
出られるの?
いろんな場所を見に行っていいの? 私。
「でも、町の中でできるクエストでレベル上げてからがいいかな」
「クエスト?」
っていうと、え? 町の中だけでクエストとか、できるの?
「クエストって、町の外で戦ったりしなきゃならないんじゃないの?」
「チュートリアルでしたでしょ? おつかい。あんな感じ……そういえば、チュートリアルしたんだよね?」
「うん」
ハムスター妖精のチュアルくんと、いろいろ回りましたよ。
「チュートリアルが終わったら、レベルは2になってるはずなんだけど」
「え」
ステータス画面を、再度見ます。
レベルは、1。
チュートリアルが終わっても、なにも変わりませんでした。
チュアルくんは、種族や職業についてない弊害で、少し取得経験値が足りなかったかも、とか言ってましたけど。
え。え? 上がってないと、やっぱりダメ?
「うーん、上がりにくいキャラなのかな……まぁ、要検証だね」
「ううう……」
これはまず、職業選びかなぁ……。
「とりあえず、オススメのクエスト教えるね」
「あと、職業選ぶの手伝ってください……」
「おけおけ。なれるもの教えてー」
私は、ステータスを操作して、灰色ではないものを読み上げていきました。
アシャも、手元で何やら操作しています。聞くと、ゲームのWikiだと教えてくれました。
「いくつか、Wikiに載ってない職業があるね。説明もお願い」
「ええと……」
なれる職業の中から、アシャに言われたものを選んで読み上げます。
それを聞いて、アシャはうーん、と唸りました。
「微妙なのが多いかな……後から化ける、と確定してればいいけど、方向性がないと辛いし……」
うーん、と私も唸りました。
私が何をしたいかっていうと……。
「アシャと冒険したいだけだもんなぁ」
「他にコレ! っていうと?」
「うーん……思いつかない……」
きれいな景色とか、美味しい食べ物とか、かわいいモフモフとか?
「そんな感じ?」
「だよね。ちょっと月詠がクエスト消化してる間に、いろいろ調べてみるわ」
「お願い~」
そんな話をしている間に、「お風呂最後だよ」というメールが入ってました。
「忘れてた」
アシャに断って、一旦ログアウトしました。
主人公の苦難が始まります。
それごと楽しみますから、ご心配なく。