表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

23/28

20 ちょこっとだけ、最前線情報

 ≪

 グラスウルフの皮 ×3 を獲得しました。

 グラスウルフの牙 ×4 を獲得しました。

 グラスウルフの魔石 ×2 を獲得しました。

 ≫


 檻が消えると、私から4、5mは離れていたラビは、すぐに手元に戻ってきました。

 ごく普通の、ぬいぐるみとして。


「ありがとう、ラビ」


 私は、ラビの額に自分の額をくっつけて、お礼を言いました。

 そして、『ぬいぐるみヒール』をかけていると、嬉しそうなアシャが近寄ってきました。


「ありがとう、月詠。助かった」


「ううん。アシャが無事で良かった」


 首を振ると、ニコリと笑まれます。尊い。

 そして、私の腕の中のラビを撫でると、また、ありがとうと言いました。

 私、でなく、ラビに対してのありがとうです。


「ラビは強いね。さすが首狩兎だ」


「私もびっくりしちゃった。あんなに強いなんて」


 ホーンラビットを見れば、充分戦闘もできるのだとわかりましたが、それでもこのぷよぷよの角で突撃できるとは思えません。

 まさかの蹴撃とは、意外でした。


「首狩兎は、ホーンラビットの最終進化形と言われているらしいよ。最前線のエリアにいるモンスターだって」


「え」


 Wikiに載ってたよ、と言われましたが、見ようとしたら止められました。アクティブモンスターのいる、フィールドで見るのは危ないから、とのこと。

 まぁ、後で見ましょう。


「そんなに強いモンスターなんだ……」


「召喚獣にはいなくもないけど、従魔にした人は一人しかいないんだって」


 ひぃ。そんなの初期に召喚できるようになっちゃダメなんじゃ。ぬいぐるみだけど。


 青くなっていると、クスクス笑いながら、アシャが恐ろしい追加情報を出してきました。


「まぁ、『白虎』ほどじゃないけど。そいつ未討伐のフィールドボスなんだって」


「フィールド……ボス?」


 えっ、ホワイトタイガーって、ボスなんですか?


「えっ、いやいや。ボスが召喚されてるとか、ダメでしょ」


 そう言うと、前に進みながらもアシャは首を横に振りました。


「いや、エリアボスを召喚獣にしてる人とか、従魔を進化させていったらフィールドボスになったとか言う人は、けっこういるみたい」


「えっ、そうなの……?」


 ボス、普通に召喚できるものなの……?

 育てたらなっちゃった、とかは、わからなくもないですが。すごくがんばったんでしょうね。


「わりと、このゲームのランカーさん、無茶苦茶だよ。なんでも切れる剣とか、当たるまでどこまでも追いかけてくる魔法とか、普通だし。空だって飛ぶし、瞬間移動合戦とかもあるし」


「なにそれ」


 もしかして、このゲームって、なんでもアリなんでしょうか。そういえば、いつだったか『自由度、半端ない』が裏コンセプトだと、教えてもらったような。自由すぎます。大丈夫なんでしょうか?


「どうやってゲームバランス取ってるんだろうね?」


 そう言って先を行くアシャに、同意の相づちを打たざるをえません。




 それからしばらく、二人で狩りをしました。

 経験値は戦闘に参加しなくても、パーティーで等分されているようですが、モンスタードロップは、攻撃しなければ手に入らないようです。


「ダメージ比率でドロップ量が変わるみたいだけど、代わりにパーティー人数が増えるほど、ドロップする総量は増えるみたい。今だってホラ。合わせると、今倒した頭数より多いでしょ?」


 今倒したグラスウルフは、5匹。

 ドロップはあわせて皮が8、牙が11、魔石が6です。


「5より大きな数ばっかり」


「牙は二本あるはずだから、10のはずだけど。どっちにしても多いか」


 パーティー上限は6。

 人数が増えた方が、ドロップ総数が増えるので、同じモンスターから出る、別の素材が欲しい同士でフルパーティを組んで、狩りをするのが定番らしいです。

 そうして、あとで交換するそう。


「ギルドでよくパーティー募集してるよ」


「そっか……」


 アシャはパーティーを組みたいのでしょうか。

 まぁ、他のゲーム友達もいますし、組みたいんでしょうね。


 けれど、私は……。



「私は、しばらくはアシャと二人で、ゆっくり遊びたいな」



「ふふ、そうだね。ゆっくり……じっくり、のんびり行こうって言ったもんね」



 私の意見に、アシャは同意してくれました。

 ちょっぴり申し訳ない気分と、わかってもらえた暖かさとが混ざりあいます。


 うん。ゆっくり、この世界を見ていこう。



 アシャの後ろ姿に、微笑みました。






 と、


 その時です。



「つく……っ」



 焦ったようなアシャの呼び声を最後に、私の目の前が、真っ暗になりました。







「え……何?」





 何事かわからず、動こうとしたとき、目の前にウィンドウが開きました。






 ≪

 戦闘不能になりました。

 最終登録地点に移動します。


 初ログインから5日経っていないため、デスペナルティはありません。

 初ログインから5日以上かつ、レベルが10に到達すると、デスペナルティとして所持金の一部喪失、一定時間のステータス低下が課されます。

 注意してください。

 ≫


〔………て………ぁ……〕





 気がつくと、私は最初にこの世界にやって来た時に着いた、広場に一人、立っていました。



お読みいただき、ありがとうございました。


事件、発生!


何が起こったのかは、次回です。

また二日後になりますです。よろしくお願いします。



誤字脱字その他、ご指摘いただければありがたいです。


▼誤字報告機能は一番下!▼

ぜひご活用くださいませ。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ