表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

10/28

09 ピンクのたれ耳うさぎさん(甘ロリ)

 それから、私は片っ端から、オススメされたクエストをやりまくりました。

 周回できるものは、限度上限まで。同時にできるものは受けて、時間短縮で。


 そうやってできた22,000gzがここにあります。


「足りない……」


 必死にやったクエストで、稼ぎ出した金額がこれ。私を、絶望が包みます。


 あと、一時間しかありません。ゲームの中での時間です。あと一時間で、あのオルゴールが売られてしまう。


 アシャに借りることも、ちらりと考えてしまいましたが、ダメです。

 ずっと仲良くしたい友人とは、お金の貸し借りは慎重にしなければならない、と叔父さんが言っていました。お金のトラブルのために友人と縁を切ることになった話を、待ち時間にされたのです。

 ゲーム内であっても、変わらないと言われました。アシャはとても仲良くしていたい親友です。

 些細なトラブルで別れたくなんかありません。


 焦りから、あたりをウロウロとしていると、ふいに隣から声をかけられました。


「そこの猫天使さん。ちょっと寄っていかない?」


 そこにいたのは、ピンクのたれ耳ウサギさんでした。

 ピンクのボブカットに、赤いぱっちりとした瞳。甘ロリ衣装が、すっごくカワイイです。

 彼女がいたのは露店でした。

 お店の呼び込みさんでしょうか。


「すみません、お金がないので……」


 私は断ります。当然です。何も買えません。

 けれども、たれ耳ウサギさんは、喜色満面として、続けました。


「なら、なおさらだよ! ねぇねぇ、君の話、僕に聞かせてよ! いい値段で買うよ!」


「へ?」


 ……。

 なんか今、とても突っ込みどころの多いことがたくさん起こりました。

 ええと……。

 めっちゃかわいい、甘ロリファッションで、僕っ娘なのか、それとも男の娘なのか、それともネカマくんで、思わず素が出てしまったのか、とにもかくにも、


「お話しするだけで、お金をいただくような商売はしていません」


「え、君、けっこう年上だったりする?」


 何で今の返しで、年上認定なのかはわかりませんが、叔父さんの教えてくれた言い回しなので、ある年代以上ならわかる言葉が含まれていたのかもしれませんね。

 否定せずにそのままにすると、悩み顔をしていたたれ耳ウサギさんが、空中に画面を開きました。


「このサイト知ってる?」


 ?

 表示されたのは、Wikiのページのssです。

 私は見ていないけど、アシャがガンガン見てるのを知っています。


 ので、うなずくと、そっか良かった、と呟いて、こう続けました。


「このサイト運営してるの、僕のギルドなんだ」


 へ? Wikiのサイト? 運営? って


「ゲームの運営さんとは違うのですか?」


「違うよ、普通の一般プレイヤーだよ」


「ほへー! ああいうのって、ゲームの運営さんが作ってると思ってました!」


 ええー! あんなの、一般の人が作れるものなの?


「あはは! すっごい、ゲーム初心者なんだね。もしかして、初MMO?」


「はい、スマホアプリではゲームしたりもしてましたけど、それはWikiとか見なかったですし」


「そっかそっか」


 すると、たれ耳ウサギさんは、笑いながら、何やら紙を出してきました。

 見ると、契約書、と書かれています。


「僕たちは、ゲームの中で、いろんな情報を集めて、それを売り買いしたり、ある程度集まったらWikiにまとめたり、っていう活動をしているんだ。つまり、情報屋さんだね」


 そうして示された契約名には、『ギルド【うさぎの情報屋さん】代表:ロップイヤー』と書かれていました。


 そして、


 ≪ロップイヤー さんから、個別チャットの申請が来ています≫


 というアナウンスが流れました。


 これは、昨日はアシャと使いました。二人で話している内容が、他の人には聞こえなくなる機能です。


 別窓で開いたWikiの一番下には、『(c)うさぎの情報屋さん』の文字がありました。


 私の判断できる限り、本当のことのようです。


 私は、申請の許可をしました。



「ありがとう。明らかに、レア情報持ってる人だから、ぜひインタビューしたかったんだ」


 ロップイヤーさんは、ホッとしたように言い、契約内容を説明してくれました。


 曰く、リアルの個人情報は聞かないこと、提供された情報は、どこまで公開するか、きちんと許可をとってから『うさぎの情報屋さん』内で扱うこと。Wikiにのせる際は、再度許可をとること、などが書かれているようです。


 しっかり読んで、構わないなら許可をしてほしい、と言われましたが……あれ?


「あの、許可ボタンが灰色で押せません」


「あれ?」


 ロップイヤーさんも、首をかしげます。


 これは……。


「すみません、GMさん(大人のひと)に、相談してもいいですか?」


「うう……GMコール怖いけど、不具合っぽいもんね。どうぞどうぞ」


 私は直通コードに内容を書こうとして……。



『はいはーい! 月詠ちゃん専用ヘルプGM、チュアルくんだよ~☆』



 と言って、羽の生えた水色のハムスターが現れるのを見ました。


お読みいただき、ありがとうございました。


甘ロリ僕っ娘、ロップイヤーさん登場と、

水色ハムスター(翼つき)、チュアルくん再登場です。


この二人は、これからも折々に出てくる予定です。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ