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ツイてない日
「ただいまー」
ソルは宿の部屋のドアを開けた。
ベッドで雑誌をめくっていた魔導師ーーーーウィザが顔を上げる。
「遅かったな。……イストはどうした?」
「なんか今日すげー調子悪くて」
「あ゛ぁ?」
ソルは肩をすくめた。
「昼飯食ってたらイストのカップだけ勝手に割れるし」
「おう」
「新調した神官靴のヒモが最初の一歩で全滅して」
「へえ……」
「あげく俺らの前を横切ろうとした黒猫がそのままぽっくり」
「ぉぉ…………」
「さすがにヘコんで『先帰っててくれ』ってさ」
「そ、そうか……まあ、その、ンな日もあんだろ、気にすんな」
ノックとともにドアが開いた。
肩を落とした神官が目元を拭う。
「ううっ、ただいまぁ……。教会で念入りにお葬式をあげてきたよ、ぐすん」
「そっちか!!」




