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よくあるこぼれ話  作者: 鈴乃


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『ルール無用』というルール

 ある日ある町ある昼下がり、買い出しの終わりに寄った喫茶店で。


 ウィザはティーフロートのストローに口をつけた。

 昼過ぎの陽気に店をはしごしたせいで少し汗ばむ。

 ソルを宿で待たせてはいるが、全体の予算を三割ほど浮かせたのだ。このくらいは役得のうちだろう。

 隣のテーブルではタキシードの男がカードマジックを披露していた。流しの手品師か大道芸人だろう。

 男の指がカードを表返すたび、客たちから控えめな歓声が上がる。

「そういえばさ」

 と、向かいのイストが半分ほど減ったグラスを置く。

「ソルとカードをするといつもイカサマするんだよね。何か賭けてるわけじゃないんだけど、意外と負けず嫌いなのかな」

 ウィザは言った。

「始めに『イカサマなし』って決めたか?」

「えっ」



「ソル、一勝負付き合え」

「おかえり。いーぜ」

 ウィザはラグに腰を下ろした。特別高級な宿ではないが、家具の手入れは行き届いている。

 ソルがベッド脇のキャビネットを開けた。

 宿の主人の心遣いだろう。アメニティと共に数種類の賭けカードが収められている。

 ウィザは扇形に広げたカードを切った。

「パスは三回まで。強さは逆回り」

「イカサマあり?」

「なしだ」

「りょーかい」

「待った!!」

 イストは二人の間に飛び込んだ。

「『イカサマなし』って言ったらしないのかい!?」

「『なし』っつってんのにやるのはルール違反だろ」

「フェア精神があるのかないのか!!」

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