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よくあるこぼれ話  作者: 鈴乃


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20/32

寝起きドッキリ


「ウィザのことなんだけど」

 イストはおもむろに声を潜めた。

 朝の食堂は静かな活気に満ちている。朝食を済ませた客が次第に席を立ち、もう少しすれば早めの昼食に訪れる客もあるか、という時間である。

「朝起こすたびに呪文を撃たれるんだよね。なんとかならないかな」

 ソルは肩をすくめた。

「コツがあるんだよ」


 イストとソルは宿の廊下を戻った。

 ポケットから鍵を出し、逆の手で客室のドアをノックする。返事はない。 

 カシャン、と錠前が開く音がした。 

 ドアを開けた目の前の壁に窓があり、クロゼットと二人分の壁沿いに並んでいる。

 二人部屋にはよくある間取りである。

 ソルは空のシングルベッドを通り過ぎ、奥のセミダブルに向かった。

 昨晩広めの寝床を勝ち取った魔導師は、窓から差し込む朝日をものともせずに熟睡している。

 ソルはベッドに片膝をついた。

「ウィザ、起っきろー」

 と、言いながら背中を揺さぶり、逆の手のひらで口を塞ぐ。

「ーーーーン゙ぅッ!?」

 ウィザが鋭く呻いてソルの腕を掴んだ。

 頭を振って逃れようとするのを押さえ、苦し紛れの蹴りを半歩ずれていなす。

 掴まれていない方の手が、とん、とみぞおちを捉えた。

「おはよ」

「…………ン゙ゥ……」

 迷惑そうな半眼がソルを睨んだ。

 ソルはぱっと両手を挙げてイストを振り向いた。

「ま、こういう感じで」

「ちょっとした暗殺を見た気分だけど!?」

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