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マナー派・理論派・直感派
ある日ある町、あるカフェで。
ソルたちは白木のテーブルを囲んでいた。
店内は若い女性客が多く、楽しげな笑い声が柔らかく反響する。
メニューに並ぶドルチェの数々は普通の店よりも高値だったが、相応の質と彩りを兼ね備えているようだった。
たまに来る男性客のほとんどは恋人連れのようで、店全体がなんとなく浮き足だった空気を含んでいる。
『魔物から助けられたお礼に!』
と店主自身に招かれなければ、入りづらい店のひとつだろう。
ウィザがケーキの上のコンポートを刺した。
「なんでこういうのは端からなんだろうな」
「マナーの話?」
イストがブラウニーにフォークを入れる。
「崩れた面が少なく見えて綺麗だからだよ」
ソルは塩サブレをつまんだ。
「飾りから食うと舌が甘みに慣れるからじゃねえ?」
「ふうん、なるほど」
艶をまとった白桃がウィザの口に消えた。
隣のテーブルに学生らしき少女が二人座る。楽しいことでもあったのだろうか、笑い合う声は高い。
「あ、ねえねえ! ここのフルーツケーキ食べたことある? よそのとは断然違うから、最初の一口はコンポートだけ食べるのがおすすめよ!」
『えっ』
「お、確かにうまいな」




