はじめてのおつかい
―第六話はじめてのおつかい―
窓から光が射し込む
部屋のベランダに止まっている鳥のチュンチュン鳴く
音が新鮮に聞こえる。
外ではレインが羊を放しているのかベルを鳴らしている。
いつもは目覚ましでも起きないほど寝起きが悪いが
今日は寝起きが良かった。
柔らかいベット、部屋に香る木の匂い
下の階でアマラさんが朝食を作っている音が心地良い
ベットから起き上がる、そして軽く背伸びをする
「…んっん〜!」
最高に良い朝だ!久しぶりラジオ体操でもしようかと考えていると…
「…むにゃむにゃ」
真横で声がした
まさかと思い周りを見渡す。
リルが居ない
ガバッ
急いで毛布をめくり上げると
金髪の女の子、神様の姿に戻ったリルがいた。
「なっ!なんでお前俺の布団に潜り込んでんだ!?」
「うるさいなぁ〜シーちゃんの布団は私のもの、私の
布団も私のものなんだよぉ〜」
なんだそれ!?ジャ○アンか!?
意味の分からないジャイアニズムをかますリル
「とりあえずベットから降りろ!」
リルをベットから押し出す
にょわぁぁ!!
変な悲鳴とともにリルがベットの下に落ちた
「ベットで寝たけりゃネハンさんに頼めば良いじゃ
ねぇか…」
むくっとベットの下から頭を擦りながらリルが起き上がる
「…だってぇいきなりこんな金髪美少女が現れたらビ
ックリするでしょ!シーちゃんが頼んでよ!」
「フクロウが喋ってる方が充分ビックリしたと思うけ
どな…」
「あっ確かに…」とリルは納得した
「今日は少しやりたい事があるんだ色々手伝って
もらうからなリル」
そう今日は少しやりたい事があるのだ
昨日この家を少し見て回ると壊れている箇所が所々あった、それを修理しようと考えていた。
まだ一度しか使っていない[創世]を本格的に使っていきたいとも思っていたところだったし。
そして一つ気になる事があった。
「なぁリル俺の持つ力は創世だけなのか?自分に何が
できるのか把握したいんだが…」
そう俺は今の自分のことについて知らな過ぎるのだ
「シーちゃんが使える力が見たいんだね、ちょっと
待ってね〜」
リルが俺の額に手をかざすそして
「我が名はリル、この者が持つ力を我に見せよ」
リルがそう言うと俺の目の前に何かが書いてある少し透けた板のようなものが現れた
「これがシーちゃんの持つ力の一覧だよ!」
そう言われその一覧を見る。
―――――――――――――――
シェル・インカネート 性別 : 女 職業: 創世者
魔力値:1300
体力値:1400[+1100]
筋力値:900 [+1200]
使用可能術
創世[+物質創世][+元素創世][+物質分解]
[+物質合成][+物質再生]
転移[+空間転移][+物体転移]
強化術[+筋力強化][+反射神経強化]
[+体力上昇]
回復術[+魔力回復]
魔力操作
発動中
全言語理解[魔力使用0]
派生術
なし
―――――――――――――――
転移?身に覚えのない術がある
「転移なんて転生登録の時に一度も口にしてないぞ」
ポンッと自信有り気に胸を叩く
「それは私からのサービスだよ!転移さえあれば移動
が超楽になるんだよ!シーちゃんが触れてさえいれ
ば他の人も転移できるし!」
創世の詠唱は頭に刻まれているが転移の詠唱は刻まれていないのかやり方がわからない
「リル、転移の仕方を教えてくれ使えば楽になるんだ
ろ?」
「移動したい場所の名前を言って、後は創世のときと
同じ感覚で魔力を操作すればできるはずだよ!」
移動したい場所の名前か詠唱がないのは嬉しい、よし試しにアマラさんの所にでもしてみるか…
「アマラさんの場所へ!」
ガキンッ!
場所が変わった、アマラさんが下で朝食の準備をしている。
「やった!転移成功!」
だが、何か違和感がある、なぜ下にアマラさんが見えてるんだ?
まさか!?
そう転移したのはキッチンのあるリビングの天井付近
実質転移は失敗していた。
体が落ち始める
うわぁぁぁぁぁ!?
そして
ゴンッ!
頭から地面に叩きつけられた
あとで確実に頭に大きなタンコブができるだろう
「イテテテ…」
今回は失敗したが感覚は掴めた、だがまだ練習の余地があるな、うん。
「どうしたんだい?シェルちゃん?さっき大きな音が
したわよ」
「アハハ…ちょっと転んでしまいまして…」
ジンジンと痛む体を起こし気をとりなす
「おはようございますアマラさん」
「えぇおはよう、シェルちゃん」
今日のやろうと思っている修理の話は後で話すとしよう
「それじゃあ、もうすぐレインも戻って来るだろうから朝食の支度手伝ってくれないかしら?」
「はい!分かりました!」
アマラさんに言われた通りに朝食の支度をしていると
レインとネハンさんが戻ってきた
「今戻りました!ん〜いい匂い今日の朝食は羊のミルクのシチューですか?
レインが匂いだけで朝食を当てていた、さすがここにずっと住んでいるだけはあるな。
なんのミルクシチューなのかさっぱり分からなかった
「ハハハ、シチューはレインの好物だからな〜」
ネハンさんが笑いながら言う
「さぁレイン、シェルちゃん朝食にしましょう」
朝食のシチューはさっぱりしていて美味しかった。
朝食を食べながら修理のことをネハンさんとアマラさんに教え、そしてリルも自分が姿を変えれることをレイン達に教えたリルはチラチラとネハンさんを見ていたがネハンさんは「家に可愛らしい子達が随分と増えたな〜ハハハ」と笑って受け入れてくれた。
食事を終え今日の仕事に入る
ネハンさんが言うには天井裏の柱が腐食して脆くなってしまっているのだという
腐食した柱は交換が効かないため困っていたらしい
「ネハンさんこの柱ですか?」
天井裏で俺は一本の大きな柱を触っていた
確かに腐食して脆くなってしまっている
「そう、その柱なんだが本当に直るのか?」
確か創世の使用可能術の覧に物質再生があったそれなら
「やってみます!」
柱を触り詠唱を唱える、服を創世した時と少し違う詠唱だった
「我が名はシェル、万物の時を戻し再びこの世に創世せよ」
柱が光る、柱の時間が巻き戻るように再生していく
10秒ほどで完璧に柱が再生された
「…ふぅ」
最初の創世とは違い術の使用後軽い倦怠感に襲われる
「本当に、直った…」
ネハンさんが再生された柱を触りながらこちらに視線を向ける
「ハハハ!本当シェルちゃん達には驚かさらてばかりだなぁ!」
柱を直した後他にも何箇所かを物質再生で直して回った。
幸い魔力回復の術があるおかげで魔力切れにはならずに済んだ。
全ての箇所の修理が終わり休憩をしていると
「それでは叔母さん、行ってきますね」
「気をつけて行ってくるんだよ?」
レインが積荷を持ってどこかに出かけようとしていた
「レイン?どこに行くんだ?」
「今から山を下って街に行くところなんです、ここで作ったチーズやミルクを売りに」
街に行くのか…
「俺も付いて行っていいか?人手は多い方がいいだろ?」
ちょうどこの世界の街がどんなか気になっていたところだった
「良いですが街まで歩いて1時間はかかりますよ?」
「大丈夫だ、街の名前さえ分かれば1秒で街に行けるからな、街の名前は?」
レインが不思議そうな顔をしながらも街の名前を教えてくれた。
「街の名前はセブルですが…」
今回は知らない場所、転移が成功するか分からないが…物は試しだ!
「リル!下りてこい街にいくぞー!」
リルが二階から走って下りてくる
「街に行くの!?行く行く!」
リルは俺の腕に俺はレインの積荷に触れる
「俺たちをセブルへ!」
魔力を操作する最初の失敗は魔力操作の失敗だったが
感覚は掴んでいる。
もう失敗はしない!
ガキンッ!
場所が変わる足もちゃんと地面についている
「これが南大陸最大の商業都市セブルです」
目の前には
まるで壁のような巨大な正門があった
入り口には二人の警備のための衛兵のような人が立っている。
「おぉぉ〜!」
そして、この世界に来てはじめてのおつかいがスタートした。
だが、この都市で俺は最凶に厄介な奴に出会うとは思ってもみなかった…
今回の話では創世を本格的に使っていきました!
そしてリルが与えたもう一つの力。
[転移]はこれからも活躍します!
そして商業都市セブルではシェルにとって最凶の人物と出会います!
次話も是非見てください!