不幸?幸運?
―第五話不幸?幸運?―
突如風呂に入ってきたレイン、混乱する頭の中で俺は思い出していた、転生する前久音ともこんな出来事があったことを。
それは、俺がやり残した仕事があり残業をしていた時だった。
「あぁ〜全然終わらねぇ」
仕事はいつもパパっと済ませる主義の俺だが今回はちょっと違った
「3日風邪で休んだくらいでここまで増えるか普通」
そう、季節は冬俺は風邪をもらってしまい3日寝込んでいたのだ。
体調の変化をちゃんと見ていなかった俺も悪いがここまでなるとは…
終わらない仕事に頭を悩ませていると
「あの、誰かいるんですか?」
後ろから声をかけられた、誰が来たのか気になり振り返ると
そこには、見惚れるほど綺麗な紺色の髪と紅い瞳を持つ女性が立っていた
背は160cmより少し高いくらい
髪型はハーフアップという髪型なのだろうか両サイドの編み込みを頭の後ろでまとめて結っている
「え〜と君は?」
「一昨日この会社に入社してその時に自己紹介したん
ですが…」
一昨日…俺がまだ風邪で寝込んでいるときか
「すまんな一昨日は風邪で寝込んでて、その時にいな
かった白宮 和希だよろしくな」
すると目の前の女性は少し驚いたような表情を見せて
「あなたが白宮先輩だったんですね!他の先輩方から
聞いていました、とても優秀な方だと!」
目の前の女性は姿勢を正し
「改めて自己紹介いたします、私の名前は今野 久音
です。これからお世話になります」
「あぁ、よろしく」
「白宮先輩よかったらその仕事手伝いましょうか?
二人でやった方が効率がいいでしょうし」
久音が俺の机の上にある山のような資料に視線を落す
「手伝ってくれるのか?なら助かる、久音はこっちを
片付けてくれ俺はこれをやる」
「はい!任されました!」
溜まりに溜まった仕事は最初の倍の速さで進んだ。
入社したばかりとは思えない程久音の手際が良かった
からだ、もしかするとこの会社の誰よりも仕事ができるのではないだろうかと思えるほどに…
仕事を片付け始めて1時間ほどで…
「あぁ〜終わったぁ〜!」
自然と汗を拭うしぐさをしてしまう、久音も隣で肩を揉んで一息ついている
「久音のおかげで思ってたよりも早く仕事を終わらせ
られた、ありがとな!」
「先輩の役に立てたなら、よかったです!」
久音が笑顔を向けてくる、その笑顔で疲れが吹き飛ぶような感じがした
「よし!今から軽く飲みにでも行くか!もちろん俺の
奢りだ!」
「はい!行きましょう!」
――――――――――――――――――――――――
「しぇんぱ〜い♪ねぇ〜しぇんぱいっでばぁ〜♪」
まさか、ここまで久音の酒癖が悪いとは…
最初久音は「今日は、お酒は少しだけで…」と言いながら飲んでいた。
しかし酒が少しでも入ると「ビールもう一本下さ〜い♪」と人が変わったかのように飲み始めた
このとんでもない酒乱!?どう扱えばいいんだ!?
「久音今日は送ってやるからもう帰るぞ」
久音の腕を引っ張りあげる
「えぇ〜まだ飲みましょうよぉ〜♪」
周りがこちらをガン見している、早くこの場を脱出したい!
お会計を済ませて久音を強引に引っ張り店から出た
「…久音、酒に弱いんだったら先に言えだったらこん
なんならずに済んだんだぞ…」
久音がトロンとした表情で答える
「だってぇ〜♪しぇんぱいと一緒に飲みたかったんで
すも〜ん♪」
「ほら、久音家着いたぞ」
運良く久音のスマホに家の住所が登録さらていた
久音をベットの上にに寝せる
「水持ってきてやるから、そこにいろよ…」
「は〜い♪」
男が自分の家に上がり込んでいるのに無警戒、もし襲われたらどうすんだ…
トットットッ
こちらに歩いてくる足音がした
「寝てろって言ったのに…」
注意しに戻ろうとすると、目の前に
「せ、ん、ぱ、い〜♪」
下着姿の久音が飛び出てきた
「なっ!?ちょっ!?久音なんて格好してんだ!?」
ガバッ!
腕にしがみついてくる
「むっ、胸が!?」
スーツを着ていたから分からなかったが
久音は以外と胸がある、DいやEはありそうだ
その胸の谷間に腕をガッチリと挟まれている
「にゃ〜ん♪」
猫の真似をしながら顔をスリスリしてくる
「くっ、久音!一旦離れろ!なっ?」
大人しく離れてくれたのはいいが…
目のやり場に困る
「しぇんぱいがこまってる♪こまってる♪」
「べっ、別に困ってるわけじゃ、ない」
「むー…」
ほっぺを膨らませてむーむー言い始めた
すると流石に疲れたのか
「ふぁ〜…しぇんぱいおやしゅみなさ〜い♪…」
床寝始めた
流石に床で寝せるのはまずいと思いベットに連れていき毛布を被せて久音の家を出た
もう二度と経験したくない出来事だった…
だったはずなのに
「なぜずっと目を伏せているんですか?シェル?」
俺は目を伏せていた、咄嗟にとった行動が目の伏せること以外になかった
「目にゴミが入って…ハハ…」
下手くそな嘘に自分でも恥ずかしくなる
「大丈夫ですか?ちょっと見せてみてください」
見せてみて?
見てもらう=目を開ける=!?
「あっ大丈夫もう取れたから!」
レインを見ないように違う方向を見て目を開ける
「なら、よかったです」
助かった…とりあえず危機は間逃れた
と思ったら
ふにゅ
背中に何やらとても柔らかいものが当たっている
振り向くのはマズイと思い振り返らないが…
これは!?
「シェルの髪は綺麗な白髪ですね〜まるで宝石みたい
な、本当に…とても綺麗…」
レインが体にくっついていた、振り返らずとも当たっているものが何かなどすぐ分かる
「はっ、はわわわ…!」
ボフッ
何かがプツンと切れたのと同時に意識が吹っ飛んだ
――――――――――――――――――――――――
どのくらい寝ていたのか、わからない頭がホワホワ
するような感覚があるだけ
確かお風呂に入って…
「んっ、ん〜ふぁ?」
レインの顔が目の前にあった
あぁレインが膝枕をしてくれているのか
そうか膝枕……ん!?膝枕!?
ガバッ
体を起こす少し体がクラクラした
「俺は…?」
なぜ俺は寝ていたのか覚えていない、風呂に入っていたあたりから記憶が飛んでいる
レインに何があったのかと聞こうと思ったら先に答えてくれた
「シェルはお風呂でのぼせて突然倒れたんですよ」
のぼせた?あっ!思い出した!
俺は確かレインと風呂に入っててレインの…
カァ〜
顔が赤面する、思い出しただけでまた意識が飛びそうになる
「すまない、迷惑かけたな」
すると廊下からネハンさんとリルがやってきた
「ねぇ!ねぇ!聞いてよシーちゃん!私おじちゃん
ゲームで全勝したんだよ!」
羽をパタパタさせながら自慢話をするリル、その下で頭をかきながら「いやぁ負けた負けた」とネハンさんが笑っていた。
キッチンにいたアマラさんもリルの声に気づいたのか
出てきた。
「あら?シェルちゃん、もう大丈夫なのかい?」
どうやらレインとアマラさんが介護をしてくれたらしい。
「はい、もう大丈夫です。ありがとうございました」
「二階にシェルちゃんの部屋を作ったから、今日は
ゆっくり休むといいわ」
部屋まで準備してくれたことに驚いた。
今日突然訪れた俺にここまで優しくしてくれるレイン達の優しさに涙が出そうになる。
「はい、そうさせていただきます」
俺の頭にリルが飛び乗る
二階の部屋はとても広かった、有名なホテルの部屋よりはるかに充実していた。
ベットに入る、今日あった出来事を振り返ると色々なことがあった。
間違って女の子として転生して、久音とそっくりな女の子レインと出会って、ネハンさんもアマラさんも優しくしてくれた。
だがまだこの生活は始まったばかりこれからまた色々な事があるだろう。
だが、今日の出来事は絶対に忘れない
そう心の中に誓った
そしてようやく一日が終わった。
今回の話は和希と久音の出会いと久音の意外な一面から話が始まりました!
そしてようやくシェルの波乱の一日が終わりました!しかしまだまだこれは始まり。またこれからシェルを波乱に巻き込む新たなキャラ達が登場していきます!
何か気になる点などがございましたら作品の発展にも繋がりますのでお教えください!