28. リーナと………との出会い
先頭にナティ、後ろにユニ、ナルミシア、ツラックの三人が続く。
最近、この状態の移動が多いような気がします、とユニは思いつつ歩いた。
四人の足音が静かに、大理石の廊下に響く。
大理石で出来た廊下は天井が高く、幅もかなりある。
しかし、そこを歩くのは四人だけ。
静まり返った廊下はとても心が落ち着くが、なんだかもったいない気がした。
ここはリーナ魔法研究所。
第四の魔王討伐に貢献したリーナが持っている研究所だ。
持っているといっても、運営等は初老の男性が行っており、リーナは好き勝手に魔法で遊ぶだけだ。
その、遊んだ結果出来た魔法の利権やら何やらで、研究所は成り立っている。
その、リーナ研究所における超重要人物、リーナさんに会うために学校から歩いて来た、というわけです。
学校と研究所がそこまで遠くないので、なんだか遠足みたいですね。
…と、そんなことよりも。
リーナさん。
ナティ先生がこの前、凄い人っぽく言ってましたけど、どうなんでしょうか?
高い魔法適性というのがどうゆうものか、気になりますね。
そんなことを考えていると、突き当たりにたどり着いた。
これまでに扉は無く、壁があっただけだ。
疑問に思っていると、ナティが突き当たりの壁に近づいた。
手を翳すと、重たい大理石の壁が滑るように動き、道が出来る。
悪魔の死骸処理の件で、ナティとリーナは連絡をよく取り合っていたため、ナティはこの壁の動かし方を知っていた。
研究所の中をぐんぐんと進み、奥の扉を開けると、
「ねぇねぇ、チューしよ?チューっ‼」
服は局部を隠すだけで、大府分の肌色をさらけ出している女性がいた。
そして、その女性は、見覚えのある男性を押し倒していた。
「おい、やめろ‼今、実験が終わって疲れてるところだから‼」
「疲労が溜まってる時は性欲が出るでしょ~、ほらほら~ユーゴの大好きなおっぱいだよ~」
「勝手に大好きなことにするな‼それと、今、扉が開いた音がしなかったか?」
ちらっ、とこちらを見て、破廉恥な女性は四人の存在を確認した。
したのだが、誰もいないかのように目線をユーゴに戻す。
「うん?…気のせいじゃない?風で扉が開いたとかだよ」
「なわけあるかッ‼ここは研究所の一番奥だろッ‼」
教える気のないリーナはユーゴの上から退かないので、ユーゴはブリッジをするような格好で、ユーゴは扉の方を見た。
…………ッ‼‼
そこには、どうしようか対処に悩んでいるナティ。
そして、「大人のカップルだ‼」と熱い視線を向けるナルミシア。
同じように熱い視線を、リーナの谷間に向けるツラック。
最後に、冷たい軽蔑の視線をユーゴに向けるユニがいた。
「(し、しまったぁぁぁッ‼)」
ユーゴは驚愕と焦りで目を見開き、額には冷や汗が浮かんでいる。
数秒の静寂を破り、ナティが口を開いた。
「なぁ、リーナ。私が今日、ここに来ることは事前に伝えたはずだが?」
「てへ、忘れてた‼」
「それと、いつまでその格好をしているんだ?服が無いなら私の着ている物を渡そう」
「い、いや、遠慮しようかなぁ……」
危険を察知して、リーナはユーゴを押し倒すのをやめて立ち上がった。
リーナが目を閉じると、体の周りから劇の幕を下ろすように、服が現れる。
魔法使いと聞いて誰もが思い描くような分厚いコートが体を覆い、頭には、鍔の大きくとんがった魔女帽子をかぶった。
とりあえずはこれでよし、と口を閉じたナティに代わって、ユニが口を開いた。
「ユーゴ、何やってるんですか?と言うか、今まで何やってたんですか?武者修行がなんとかって言ってませんでしたか?それとも、女性とイチャイチャする武者修行があるんですか?」
「そ、それは………だな、いや、これには事情が……」
「女性とイチャイチャする事情があるんですか?」
「そうじゃない‼違うんだ‼ほ、ほら俺の胸に魔王の刻印があるじゃん、それを弱めるのをリーナに頼んでやってもらってたんだ‼」
「その方法がチューってことですか?」
「いや、それは違う」
「ナティ先生、今日のところは帰りましょう」
「ま、待ってくれッ‼ユニッ‼ユーニーッ‼」
ユーゴの声がむなしく反響した。
そのあと、ナティが仲裁に入り、自己紹介をなんとか行い、夏の催し物の話がも軽く打ち合わせをして終わる。
その間、終始ユーゴはビクビクとユニに怯えていた。
一応、筋の通った説明をナティにしてもらい、ユニもそれに納得した、と思うのだが、ユニからは疑惑の視線が送られている。
「ユ、ユニ、もう帰るのか?早いんだな」
「えぇ、お二人の邪魔をしないように、早く帰ります」
うぅぅ……、と腹を殴られたような低い声が、ユーゴの口から漏れた。
「そ、それにしても、数ヶ月見ないうちに成長したな。身長が伸びたんじゃないか?他は……いや、何でもない……」
「今‼私の胸を見て言うのをやめましたねッ⁉身長のわりに、胸が成長してないって思いましたねッ!?」
「そんなことは……ないぞ‼」
「それではさようなら」
「えっ、あ、ちょっと待って、誤解だから、……いや、誤解じゃないけど……」
「な に か 言 い ま し た ?」
「ち、違うんだァァ、ユニィィッ‼‼」




