第八話 推薦(すいせん)
柚葉がクラスに転校してきて一ヶ月が経った――
クラスの元気印ともいうべき果桜と学校案内を機に仲良くなったこともあって、クラスの女の子達とは割と仲良くなるのに時間はかからなかったみたい。逆に男の子は休憩時間になると女子が一緒にいる柚葉とはなかなか話をすることが出来ず、近づいては女子に睨まれたりしてすごすごと自分の席に引き返して行った。
僕と光はそれを見るたびに顔を見合わせて苦笑いしていた。
そんなある日――
朝の学活の時間に先生が言った一言がその後の大きな事件になる。
「はい、席につけぇ~」
教室に入ってきた先生は教室を見わたして散らばる生徒に席に着くように促す。
ガタガタと椅子や机が音を立てて移動し、少し後に静かになる。
「はい。それでは今日は学活の後に、一時間目の時間を使って話し合いの時間を作ります。それでは学級委員長と副委員長前に来て」
「「はい!!」」
各クラスには学級委員長と副委員長それぞれ一人ずつ決まっていて、僕のクラスは女子の相楽さん、男子の長内君が選ばれていた。ちなみに相楽さんが長で、長内君が副だ。
――何だろう。何かあるのかな?
僕はこの時まだ知らなかったんだけど、周りのみんなはこれから話されるであろうことを薄々気付いているようで、顔がワクワクしている感じが見て取れた。隣の光は眼を輝かせ、斜め後ろの果桜は両手を机の上でグッと握りこぶしを造っている。残念ながら後ろの松岡さんの顔は見ることが出来なかった。
――ちょっと……恥ずかしいな……やっぱり。
顔を前に戻して下を向いて考えていた。
「はい、じゃぁ~これから来月に迫っている課外学習の班長と班のメンバーを決めてもらう。時間内に決まらない時は、今日の放課後に残って決めてもらうから、出来るだけ早く決めてくれ」
先生が教壇の上からクラスの中をぐるっと見渡す。
「じゃぁ、相楽と長内……頼む。何かあったら隣の席にいるから声をかけてくれ」
「わかりました」
先生は相楽さんと長内君の肩をポンと触って、頷くようにして教壇の脇にある先生の机へと移動すると、椅子にどっかりと座り下を向いて何やら書類のようなものを見つめ始めた。
そして相楽さんが教壇の前に立って話し出す。
「では、初めに班長を決めたいと思います。立候補したい人は手を上げてください」
クラスの中は静まり返り、誰も手を上げる気配がない。
――ここは何もしないで目立たない様にしておかないと……
「いないなら誰か推薦してください」
バッ
「はい!!」
相楽さんの呼びかけに真っ先に声を上げ、右手を上げたのは聞き覚えのある声で……
――何か嫌な予感がする……
僕は声のする方を見る事が出来なかった。
お読み頂いている皆様に感謝をm(__)m
小学校高学年のイベントは数知れずありますが、そのうちの一つが間もなく行われようとしています。
その前に大事なのは誰が一緒か……ですよねぇ?
その辺はこれからのお楽しみという事で!!
次回は(柚葉side)です!! (*^^*)




