第二十五話 パス
「ねぇ、匠? 柚子とどんなことして遊んでるの?」
ピクッ──
動いた体はほんの少しだったけど、心の中では大嵐が巻き起こっていた。しかし気取られてはいけない。
どんなことを言われるか分かったもんじゃない。
――しかし、言われるだけならまだマシなのかもしれない。どう思われているかの方が大事だったりするからなぁ……
「何を言ってるんだ?」
多分無駄だろうという事は知っているけど、ここで出来る精一杯でとぼけてみることにした。
「どういう遊びも何も、小さいときはあんまり構わない方がいいんだぞ? 齧られたくないしな」
当たり障りのない答えなのは分かっているし、聞きたいことも違うことは何となくだが想像できる。
「そんな事よりも離さなきゃいけないことがあるだろ? ほら柚葉も構ってばかりいないでこっちに来て話に混ざってくれよ」
俺の言葉を光はウンウンと頷きながら聞いていて、柚葉は動きがピタッと止まり果桜はぽかんと口を開けたままこっちを見つめていた。
――こんなことでごまかせるほど甘くないのは十分承知してる。ここは何とか柚葉が誤魔化してくれることを祈る!!
一向に再始動する気配のない柚葉を見ながら自分の背中に嫌な汗が一筋流れ落ちるのを感じた。
お読み頂きありがとうございますm(__)m
次回は 柚葉side
お楽しみに!!




