第二十二話 逸らす
「やっぱり名前が似てるから、気持ちも通じてるのかな?」
――なんて事をいうんだ……
会話に混ざることをせず、ねこを囲んでいる三人を見ながらキュッと小さく息を吸った。
――まるで僕がそれを考えて決めたみたいに感じちゃうじゃないか……
「いや……あの……柚葉かもらった名前じゃないよ? 僕的にはね……」
「あら?そうなのぉ? それにしては反対しなかったじゃない?」
クスクスと笑いながら、いつの間にか部屋に居た母さんにギョッとした。
――母さん……それは今は言わないで欲しかったな……
視線だけで母さんに反抗してみるが、それが無駄だと良く知っている。何をしようと言おうと小さいときから母さんにはかなわないでいる。
母さんの顔から柚葉の顔に視線を移すと、少しだけ頬を赤くして微笑みながら俯いていた。
僕は気まずくなりかけている状況を変えるため、全く違う事を皆に振る。
「そ、そういえば間もなく林間学校じゃない?何をするか今から楽しみじゃない?」
「「「あぁ~!!」」」
――あれ? 皆もしかして忘れてる?まぁこれで話が変わればいいんだけどね。
「同じ班だから皆で協力しなくちゃだね」
僕が言葉に三人は顔を見合わせて頷く。
そしてそれぞれが思い思いに迫りあるイベントに向けて話しはじめるのであった。
――ほっ……
僕は話が上手く逸れたことを心の中で喜んだ。
お読み頂きありがとうございますm(__)m
なんとかお二人のお話について行こうともがくK介です(笑)




