第十四話 守られた柚葉との約束
僕は柚葉から、託された子猫を抱いて家に向かって歩いている。ボクの腕のなかでウトウトしている。
「名前はどうするのかしらね?」
ボクの背後で声がした。
「おか……お母さん」
「 何よ、そんなに驚いて!!」
僕は、抱いていた子猫を忘れてギュッとしてしまった。
「ミャ~」
ウトウトしていた子猫がボクの腕のなかで鳴いた。
「あらあら、柚子ちゃん鳴いてるわよ」
「はっ?! なに?」
「何って、その子の名前よ。ねぇ、柚子ちゃん」
そう言ってボクから子猫を取り上げ、撫でながら子猫に柚子と呼び掛けている。
「お母さん、何で柚子なの?」
ボクは思いきって聞いてみた。
「ふふっ、可愛いじゃない」
お母さんは、微笑みながらそれ以上の事を教えてはくれなかった。
――柚葉に子猫の事を聞かれたらどう答えたら良いんだ? 名前は確実に聞いてくるよな?! ヤバイよな、柚子。誤魔化しようがない。お母さんは、既に柚子と決めているようだし……
「お母さん」
「なぁに?」
「柚子で決まりなの?」
「何か不都合でもあるの?」
僕は、それ以上反論ができなかった。この子猫の名前は「柚子」に決まったようだ。子猫に関しては何もなかったように何も聞かれなかったし、当たり前のように名前をつけて、子猫をお風呂に入れて綺麗にしてミルクを準備するお母さんをただ見つめるだけしかできなかったけど、子猫を飼うという柚葉との約束が守れた事でホッと胸を撫でおろした。
匠の焦っている表現を書きたかったのですが難しいですね。あんちゃんに回収していただきましょう。よろしくお願いします(笑)
by 菜須 よつ葉
※ 菜須先生に匠&柚葉sideを一話ずつ書いて頂きました(*^^*)
※ 次回は戻ってK介が(匠side)を書きます。一週ズレてあげることになると思います。




