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第8話 デート

前回からの続き


「冒険者カードは都市に出入りするさいの身分証明書になるので無くさないでくださいね」


そういって渡される冒険者カードは銀色の鉄板みたいな感じだった

その作りからドックタグ(軍隊の認識票)を連想させるが役割も似たようなものなのだろう


《おめでとうございます。ご主人様》


「おめでとうございます。トウヤ様」


「おめでとう。トウヤ様」


エイと赤髪メイドのペイナと青髪メイドのメージュが冒険者になった祝福の言葉を贈られるが、まだ冒険者に登録しただけでお世辞とかメイドも大変だなとも思うが悪い気はしない


「とりあえず、今日は登録しに来ただけですので後で冒険者レベルに関しての試験は受けるつもりですが、次の冒険者レベルを受けられるのはいつになりますか?」


「それが・・・、すみません明日から一か月は緊急事態につき冒険者レベルの試験は中止となります」


「緊急事態?それは港町イーマンスが海龍に襲われ壊滅したという話と関係ありますか?」


「もちろん関係あります。港町イーマンスが()()()に海龍に襲われ壊滅、最低でも数万から十数万の避難民がここアーバルに保護を求めて向ってきております。

それに伴いアーバルでは物資の高騰および治安の悪化、はっきり申し上げますと冬の餓死者が出かねない状況に瀕しております。」


「緊急事態ということは分かったが、それと冒険者レベルの試験とどう関係するんだ?」


「具体的には食糧と燃料が足りなくなりますので、冒険者は食糧になるモンスターや燃料になりそうな木を伐採する際の護衛などで騎士団の手が回らないところを使われます。他にも優先度の高い通常業務をやっていくと、どうしても冒険者レベルの試験管などの業務は後回しにされてしまうんですよ。」


「実地試験などは分かりますが、それはペーパーテストなどの試験もですか?」


「はい、たかがペーパーテストと思うかもしれませんが職業柄横暴な人も多くカンニングはもちろんのこと、テスト時間が終わっても書くのを止めなかったり、それが元で揉める場合もあるのでベテランの職員が対応するのですが、今回は港町イーマンス壊滅とのことで其方の対応で試験に回せるほど余裕がないんですよ。

なので明日から一か月は冒険者レベルの試験は中止となります」


今日の内なら冒険者レベル試験を受けられるのだが事前に申請が必要で、今日冒険者になった俺はもちろん申請などしていない

上げられるならさっさと上げてしまいたいがダメならダメで仕方ない

異世界人ということで貰った本と金貨を手に冒険者ギルドを出る


《貰ってません、無利子無期限で支援されたものです。余裕が出てきたら返すのがよろしいです》


エイのツッコミがなければ忘れそうだったが借りたんだった

返済期限のない無期限なので忘れても問題ないのだが借りたものは返さないとな


《信用の問題になるので返さなければ何らかのペナルティがあるものと推測します》


そんなエイの言葉はスルーだ


「これでトウヤ様と三人でデートできますね!」


おい!往来の真ん中(ギルドの入り口)で、なんちゅうことをいいますか!!

そこな冒険者さんがすっごい目で見ていらっしゃるだろう!

なんだか分からない言葉使いになっているが二人に両腕を組まれ胸を押し付けられるようにされれば煩悩でよく分からなくもなるよ!


「さぁ、このまま武器屋までレッツゴー!」


メージュさんが嬉しいのか、いつもより口調が砕けてるが俺は周りの嫉妬で呪い殺すような視線に申し訳ないやら、腕に当たる感触に嬉しいやら複雑な気分で武器屋まで連行された


着いた場所はこの都市で一番大きな武器店で入店すると直ぐに店員が詰め寄ってくるが断って自分たちで見ることになった


「トウヤ様はどのような武器がお好みですか?」


聞いてきたのは赤髪メイドのペイナ


「やっぱり異世界人で人気なこの刀とか?」


刀を差しだしてくる青髪メイドのメージュ


その刀を見て思い浮かべたのは「死」の光景、刀で首を切られ死んだ苦しさを思い出し蹲ってしまう

そのまま地面を眺めてたが不意に赤髪メイドのペイナの胸に抱きしめら、そのまま頭を撫でられる


公衆の面前(武器屋の中)でそんなことをやったものだから店員が苦言を呈してきたが、青ざめたまま暫く動けなかった


「刀はやめよう」


何故だか強い拒絶反応みたいなのがあったがアレがトラウマなのだろうか?


《転生者は死の原因となったものにトラウマを感じます。ご主人様は刀がトラウマになっているのでしょう》


「では片手剣などいかがでしょうか?」


「う~ん、悪くはないけど両刃よりは片刃の方がいいかな」


しかし片刃だと刀を連想するのか拒絶感がある


他の片刃の武器を色々見てみたが太刀(刀に分類されるがこれは平気だった)は、長すぎて扱い難いのでダメ、同じ理由で薙刀と槍もダメ、

一度使ったことのあるハルバードは扱いが難しすぎるのでダメ、

カットラス、シミター、ファルシオン、サーベルなどの剣は拒絶感がでるのだダメ

ソードブレイカーはいい感じと思ったが対人特化で冒険者向きではないのでダメ、

他にもいろいろ見たが刀でも長い太刀や短い短刀などは平気だったので俺の武器はマチェットの二刀流に決まった


二刀流なのは「そっちのほうがかっこいい!」という理由もあるのだが、俺に指南してくれたペイナとメージュも二刀使いだから戦闘方法も近くなってしまったのかもしれない


「長さは違うけど二人とお揃いだな」


なんて言うと恥ずかしいのか肩をペシペシ叩かれた

それが周りから見るとイチャイチャしてるように見えたのか睨まれた


買ったマチェットは一本金貨30枚で二本合わせて金貨60枚も使ってしまった

金貨200枚あれば最低限の生活で5年は暮らせるほど大金で、金貨60枚もあれば1年と四か月暮らせるほどの大金だ後々のことを考えるともう少し安いやつを買うべきだったかな?と思うが命を賭ける仕事なので武器をケチることはしてはいけないとのこと


生活費も考えると、この後に買うことになる防具に金を回した方がいいとか思ったが、防具は避ければ必要ないし、避けれないなら魔法で防御するか盾を使うという手もある。

基本は避けるということだったので高い防具は買う必要ないらしい


そんな話をしながら防具を買いに防具屋に来たわけだが、アレだなお金がないときに限って出費って(かさ)むものだな思わざるを得ない

何故そんなことを思うかというと目の前に滅多に手に入らない良質の防具が格安で売っているからだ


名前を浮遊装甲といい文字通りの浮遊する装甲だ

ここオーカム帝国の東隣になる一国の一つガスタ王国産の防具の一つで、クリスタルのような石をバンドで固定し対になる石で防具を浮かしている

浮かしているから重さもないということはなく普通に重いが浮いているので防御したときに衝撃が一切ないというのが売りの防具。


作り方はオーカム帝国では分かっておらず輸入しようにもガスタ王国とは戦争中、手に入るのは死体から剥ぎ取った鹵獲品

鹵獲品ということで質は悪いものが多いが目の前にある肩当て(ショルダー)は傷がほとんどなく良い品質だが、一個しかない。

しかも値段は金貨40枚、先に買ったマチェット値段より高い

店主に話を聞くと何でも浮遊石を使って軽量化していて防御力の割には驚くほど軽いのだとか、試しに持ってみると殆ど重さを感じなかった


「なるほど良いものだ」


「ありがとうございます。これはアーバルで一品だけの商品でして使う場合は利き手の肩に装備するのがよろしいでしょう」


「しかし片方だけの肩当(ショルダー)で金貨40枚は高くないか?」


「確かにそう言う方も多いのですが、この性能ならこのお値段も仕方ないというものです。鹵獲品で縁起が悪く、片方しかない肩当(ショルダー)ということもあってこれでもお安くしてるのですよ」


「それなら肩当(ショルダー)にレザーアーマーも買うので金貨45枚にまけてくれませんか?」


それから赤髪メイドのペイナが頑張って値段交渉してレザーアーマーと肩当(ショルダー)で金貨46枚になった


「ありがとうな、ペイナ」


そういって少し馴れ馴れしいと思いつつも頭を()でると嬉しそうに微笑んだ


「ペイナだけズルいです!メージュもお願いします!」


同じようにメージュも撫でるとまぶしい笑顔で微笑んだ


「あろがとうございます。ですがメイドとして当然のことです、これからも頼ってくださいね」


そのままご機嫌な二人に挟まれヴォイニッチの屋敷へ戻った


普通なら日が暮れているのだけど白夜で明るいため、次の訓練(サバイバル)に向けて学習と訓練をして屋敷で眠りについた





・・・・はずだったのだが目が覚めると森の中にいた


「おはようエイ」


《おはようございます。ご主人様》


「俺は屋敷で寝たと思ったが、なんで森にいるんだ?」


《そのことについてデドラ様から伝言があります》


「起きたかの?混乱してると思うのじゃが答えは簡単じゃ、屋敷で寝ている間に荷物と装備を揃えて森に置き去りにしてもらったのじゃ!荷物の中に地図とコンパスがあるんじゃが、それを使って帰ってくるのが次の訓練じゃ!では、期待して待っとるぞ」


《以上です》


「ふざけるなーーー!!!」


こうして異世界で初めてのサバイバルが始まったのだった

メイド二人がスキンシップが異常なのは主人公を誘惑してるからです

デカい胸があるなら使わないとね!的なノリで書いたけど少々過剰だったかな?


マチェットとは軍隊でも支給されている山刀で

森林地帯の藪を刈り払うときに使ったりするイメージが強いですかね

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