第八談 いよいよ準備開始
白の国 中庭
前に出てきた灯夜。あの大きい鈴の前で鳴らせばいいんだっけ?本読んでもわかんないし魔素を音に変える理由後で教えてもらおうかな。
もはや灯夜の結果はどうでもいいそうだ。そんなきな粉とは別に灯夜本人は不安に押し潰されそうだ。いつの間にか周りに変な期待をされているので、せめて変な魔法ではないことを祈った。同時に魔素の使い方が正しいか迷った。
『チェリーン』
音はなんとも普通な鈴の音だ。しいて言うならなんか低い。はっきり言ってわからんが判別係のような者は困惑していた。
「えっと……"灯火"と言う魔法です……」
"灯火"とはこれいかに。名前を聞く限り消えかけのろうそを思い浮かべる。少なくともこの時点ではほとんどが弱々しい炎を想像していた。
ただ、どうにも幸野と灯夜はちょっとした疑問を持っていた。
「続いての方、前え!」
気を取り直そうと進める判別係。
『チェリーン』
「魔法名……"修復"。恐らく回復系統」
「回復……」
『チェリーン』
「魔法名……"迅雷"?ですかね。風属性です」
「風か……」
ってな感じ進んでいき。次は
「あ、私か」
えっと前に立って魔素を操作か……こ、こんな感じ?
『チェリーン』
「はい、これは"獄闇"だそうです。闇属性です」
「!!闇魔法か!」
おおー!まさかの闇魔法!
素直に喜ぶきな粉に、後ろから幸野が口を開いた。
「よ!中2きな粉復活か!」
「うっさい!」
「最後!城兎どの!」
どうやら幸野さんで最後か……ふん!どうせ闇魔法でしょ!そうなんでしょ!…………闇魔法お願いします。
『チェリーン』
「こ、これは!」
闇魔法か?!
「"千樹"土属性ですね」
「「なんでだよ!」」
しれっと放った一言に幸野もきな粉を同じ感想。
「くっそ!俺の性格からして他人に嫌がらせできる魔法だと思ったのに名前からして絶対違う!」
「幸野……君もう少し考えてもの言いなよ」
灯夜からのしれっと辛口。
「ごめんよーきな粉ちゃん。中2心が孤独感に浸っているだろうけど頑張って」
しれっと恥ずかしいことを言う。
「は、はあ?!意味わかんないし!別に期待してないし!残念がってもねえし!これっぽっちも落ち込んでねえし!!」
自ら地雷を踏み歩くきな粉はなかなかどうしてかわいい。
ああー!もう!別に期待してないし!なかったし!幸野さんのバカ!アホ!