第六談 友?あるいは仲間?
白の国 図書館
宴会の翌日、"使徒達で話がある"と七瀬が提案しここ図書館に使徒達は集まった。実は七瀬は宴会終了後、幸野ときな粉とすれ違いでここにある本を読んでいた。
「この世界での依頼達成には魔法について知ることが必要だ。今日一日はみんなここで本を読んでくれ。知識は持っていて損はないし、神様の話だと木星並の大きさだ。一日でも足りないぐらいだが少なくとも今日だけは知識を身につけるよう頑張ってほしい」
七瀬の言葉はごもっともではあるが、ほとんどの者はあまり関心を持たない様子だった。神様から"魔法"と聞いて試さない現代人はいないだろう。各自部屋ですでに魔法を使っていたので、
「そんなん必要ないって!俺は早いとこ魔法極めてパパっと問題解決したいんだ!本なんて読んでられるかよ」
「私たちももう魔法使えるから時間の無駄じゃない?」
「おっさんは考え方が固いんだよ、若い奴らに任せとけっての」
などなど。使徒の大半が高校生、中学生、なかには小学生もいるわけだが、最近の若者は本を嫌う癖にゲームのような状況に楽しんでいる。願いを叶えたいものもいるはずが、今では非現実を楽しみたいと思っていた。
そんなことで、図書館に残ったのは使徒の半分もいなかった。幸野ときな粉は昨日の続きとばかりに本を漁っていった。
魔法、魔名、聖帝種、堕天使など調べていると、
「君たち」
声をかけられた。相手は七瀬。残ったメンバーとの友好築こうとしているのか先ほどから何人も話ている。
「ええと、七瀬さん、だっけ?何か用?」
「覚えてくれてるのか、いや一応でも代表者だから君たちとも交流がしたくてね。私の提案を聞いてくれて助かるよ」
「あ~私は幸野さんに連れられてるだけだから」
「俺は昨日の続きだから。とりあえず城兎幸野です。よろしく灯夜さん。幸野って呼んで」
「あ、私は柿南強狐。きな粉って呼んで」
「き、きな粉?まぁ、わかったよ。私は好きに呼んで構わない」
そう言って一緒に本を読み始めた七瀬。しばらくして七瀬が二人にこんな質問をした。
「君たちは、高校生か?」
「私はそうだけど幸野さんは違うよ」
「俺、一応成人したばかりの大学生。お酒なら付き合うよ」
「私以外にも成人した人がいたのか……そうか……君たちからみて、私の提案はダメなことだったろうか」
おっさん呼ばわりされて悔しいのか、あるいは役にたてないことを悔しんでいるのか、七瀬はそんなことも聞いた。幸野は
「いや、あれはあいつらが間違ってるだろどう考えても。あんたはいい人じゃないか。胸張れよ、灯夜の旦那」
そう言ってもらってか、若干照れた七瀬だった。
時間もすぎ昼になる頃、食事が出来たとのことで全員食堂に移動した。そこには既に図書館に残らなかった使徒達が集まっていた。
七瀬を見るやそばにかけより、いきなり頭を下げた。
「あの、すんませんした!あのあと、魔法使おうとするとよくわからず他の人と魔法ぶつかって事故ったんです。七瀬さんが正しかったです!生意気言ってすんませんでした!」
と、一気に七瀬の評判が今日一日で急上昇した。そして、みんなからリーダーと言われるようになった。