第五談 夢
白の国 図書館
リールに案内された二人は図書館で本を漁っていた。人間にとって最大の武器は知識と知恵。
「んんんんんん!!!」
「無理しなくていいよきな粉ちゃん。きな粉ちゃん勉強苦手なんだから部屋に戻って寝てていいよ」
「ああああ!!!いや!でも、絶対に諦めないから!」
やる気のあるきな粉。だが実際彼女はあまり賢くない。その代わり運動神経は抜群だ。
幸野は、運動も勉強も大分できるほうだが、さぼり癖があるらしい。
「なになに?"魔素とは空気中に存在するもの。多くの生物はこの空気中の魔素を利用して魔法を発動している。魔素は特殊な地域を除いて均一に漂っている。また、例外を除いて生物は体内には基本魔素を宿していない。"と。むむ、よくある、よく考えられてるのとは違うな」
「ちょっと幸野さん!この本みて!」
「ん?なになに?"魔名とは、人の魂に刻まれた名前のこと。その名前は宿す人物の偶像、あるいは神や英雄だったりする。その魔名を覚醒できる者は、その者の知識と知恵をてに入れることができる。"……」
「・・・・・・」
「魔名って…………真名じゃなかったんだ」
「いや、そこ?!」
神様の知識か……魔法のことか?いやそれより……
「今さらだけど、ここにある本、大半英語じゃね?」
「?そうなの?」
おお、英語かどうかも分からないとはコレイカニ。けど、そんなきな粉ちゃんでも読めるってことは、神様からのプレゼントかな?
「あ、あとこれ!魔法についてだって!"魔法とは、魔素を使用して行うひとつの奇跡。理解、展開、構築、具象の主に四段階によって発動できる。そして、魔法式を作り魔法を発動する。また、魔法は例え同じものを別の人間が使う場合、その人物の経験や技術によって違いが出てくる。しかし、人にはそれぞれ自分だけの魔法を使っており、誰でも使える魔法は現在ではまだ少ない。"だって!」
「続きがあるね。"人には得意属性があり、魔法には大きく属性が別れている。基本属性は四代元素でもある、火、水、風、土。それと、光と闇。もっとも、あくまでも基本であり、ほとんどは関連のある魔法だ。
火属性だから攻撃系が多いとか、闇属性系だから悪い魔法ということはない。しかし、属性の性質からやはり闇属性系は相手の能力低下や環境の操作が得意であり、火属性系は相手に直接関与するタイプが多い。
属性以外にも系統は存在する。回復、強化、封印と言ったタイプのものだ。これらの特徴は様々であり、人の数だけあるのではと言われるぐらい複雑だ。ほとんどの者は四代元素のどれかが得意だが、稀にこちらが得意という者もいる。
それと、例えば土が得意な者は実は封印系統も得意であったり、光属性系統の者は実は回復系統が得意だったりする。逆もしかり。
得意とは、あくまで扱いやすいということで知識さえあれば誰でも使うことができる。"って、長いわ!簡潔に書けよ!誰だよこの本書いたの!」
「でも、みんな別の魔法なら、どうやって自分だけの魔法式を作るの?」
「ええとね……"魔名を覚醒できなくても人には本能的に使うことができる。勿論覚醒するよりかは雑な魔法式になる。"だって!こっちの方が簡潔でよろしい!」
若干イラついている幸野。そうこうしているうちに深夜のベルが鳴り響き、みな自室に戻り就寝した。