第四談 非日常
白の国 宴会場
宴会の途中で腹一杯に食べた幸野はきな粉と一緒に城内を探検していた。勿論ただ探検している訳ではなく、図書館のような場所がないか探していた。
「にしても広いな。さすがはモノホンの城。掃除大変そう」
「扉全然ないわね。誰か使用人に聞いたほうがよかったんじゃない?」
「ごもっともで」
誰かいないか探していると奥のほうから料理を運んでいる使用人、もといメイドさんたちが来ていた。その中には幸野を部屋まで案内していたメイドさんもいた。
「ちょうどいい、幸野さん聞いてきて」
「そうだね。オオーいメイドさーん!」
幸野達に気づいたメイドさんたちは一度お辞儀、そして一人以外はそのまま料理を運んでいった。
「どうされましたか?」
「名前教えて!」
「「え?」」
メイドときな粉はそれぞれ違う理由で驚いた。きな粉は、"いや、図書館の場所聞けよ!ナンパか!"と思ったがメイドさんは、"ただの使用人に名前聞くの?"と思った。
使用人は、雇い主からすればただの使用人。名前を覚える必要はないし、ましてや客人が聞くのはもっと不思議なことだ。
だが、聞かれたら答えるべきなのでメイドは素直に答えた。
「……私の名前はリールと申します、使徒様」
「あ、おれは幸野でいいですよ」
「……きな粉です」
きな粉ちゃん……それは自己紹介か?まあ、いっか……
「ところで図書館とかないですか?」
「図書館でしたらご案内致します」
そう言われついていった二人。道中幸野は
「好きな食べ物ない?趣味とかは?あ、愛称とか、フルネーム教えて」
と、ナンパするチャラ男のような幸野。それを鋭く見つめるきな粉。少々困惑しているリール。ちなみにリールは、
「特にないです」「裁縫です」「……ないです」
と、答えていた。