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悪役令嬢のヌイグルミになりました IFメルヘン

掲載日:2017/07/29

 ある日、自分がヌイグルミになっていた。そんな馬鹿なと思うでしょうが、事実です。死んだ記憶もないのにな。いつの間にか可愛らしい女の子に抱きしめられていました。

「今日から貴方のお名前はリリーよ。よろしくね」

(とりあえず、ヨロシク。アンジェリカ)

「まあリリー!!貴方、おしゃべりができるのね」

(そうさ。僕は魔法のヌイグルミだからね)

「素敵!!」


「聞いてよリリー。お父様がね、再婚するんですって。嫌だわ。卑しい身分の女を娶るなんて。それにね、すでに弟がいるというのよ。ヒドイでしょ」

(可哀想だね。アンジェリカ。でも、そんな言い方をしではダメだよ)

「そうなの?リリーの言う事はいつも正しいから、そうなのね。ごめんなさい」

(分かってくれて嬉しいよ。アンジェリカ、弟と仲良くね)

「ええ。リリー」


「聞いてよリリー。私、王子様の婚約者になったのよ。王妃教育は大変だけど、頑張るわ」

(すごいね。アンジェリカ。頑張れ!!)

「でね、弟は王子のご学友になったの。私の事、応援してくれるって」

(良かったね。アンジェリカ。)

「王子様と・・・仲良くなりたいな」


「聞いてよリリー。今日はダンスの先生に怒られちゃった」

(大変だね。アンジェリカ)

「でも頑張るわ。未来の王妃として、しっかり練習しないとね」

(そうだよアンジェリカ)

「弟は褒められてたの・・・今度、コツを聞いてみようかしら」

(それは良いね!アンジェリカ)

「ふふ。頑張るわね」


「聞いてよリリー。王子様と同じ学校に通うことになったの」

(良かったね。アンジェリカ)

「リリーは連れていけないけど、ここで私を待っていてね」

(もちろんさ)

「弟も居るの。ちょっと安心」

(良かったね。アンジェリカ)

「帰ってきたときに、たくさんお話ししましょうね」


「聞いてリリー。どうしましょう。王子様がね、私以外の女生徒に恋をされているみたいなの。それで、私が嫌がらせをしてるって噂になって・・・弟は庇ってくれているのだけど。私、嫌がらせなんてしていないのに」

(分かってるよアンジェリカ。僕を学校に連れて行って)

「リリーを?」

(僕が守ってあげる)


 そんなある日、全生徒の集まる前で、王子が突然大きな声で話し始めました。

「アンジェリカ・クラウス!!ナナリー・ホワイトに嫌がらせをしたというのは本当か!!」

吃驚したのはアンジェリカです。

「いいえ王子様。家名に誓って嫌がらせなどしておりません」

「そうです。王子よ、姉はそんなこといたしません」

「だが、ナナリーより証言があるのだ!!」

「はい。私、アンジェリカ様に嫌がらせをされました。本当に怖くて・・・」


(それは嘘だよ)

そこに現れたのはリリーでした。リリーは光に包まれ人型になりました。

『私が証明しよう。アンジェリカはナナリー・ホワイトに嫌がらせなどしていないと。アンジェリカの側には、ずっと私が居たのだから』

リリーの姿に、皆が唖然としました。その姿は誰もが一度は見たことある、この国の子供を守る妖精王だったのです。

『妖精王の私が証言しよう』

「な、何よこれ!!こんなの知らない。ここは悪役令嬢が一方的に断罪される場面でしょ!?王子様、なんで否定してくれないんですか!!」

ナナリーが騒ぎ立てます。しかし、王家に育った王子が妖精王の言葉を否定できるわけがありません。

『アンジェリカは、王子の心がナナリーに移ったと知っても悲しむだけで、決して嫌がらせなどしようとしなかった。小さい頃から見てきた私は知っているよ。君がとても優しい女の子だと』

「リリー・・・いえ、妖精王様」

『アンジェリカ。お願いがある。そんな心変わりをするような王子は捨ててしまって。僕と結婚してください』

わっと周りが明るく囃し立てます。

「妖精王との結婚なんて素敵」

「アンジェリカ様は幸せになるべきだわ」

「お幸せに」

弟も拍手をしています。一瞬、王子の方を向いて逡巡したアンジェリカ。しかし、

「はい。妖精王喜んで」


 こうして、王子とアンジェリカは婚約破棄をしました。アンジェリカと妖精王の結婚は国中から祝福されたといいます。


 私は魔法のヌイグルミ。お姫様を守る王様のヌイグルミ。小さい頃から見ていた可愛い女の子。馬鹿な王子と結婚するなんて勿体ない。私と結婚しておくれ。ああ、やっと手に入れた。

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― 新着の感想 ―
[一言] もう片方の作品を読んだ後だと、違いがよく分かって面白いですね。 やっぱり、自分はハッピーエンドの方が好みです。前作は救いがなくて悲しかったです。
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