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ホモ彼氏のオトしかた  作者: ろばてーる
15/16

少し早すぎるプロポーズ

「愛ちゃん!駅前にめちゃくちゃ可愛いケーキ屋さん出来たらしいんだけど今から行かない?」

季節は冬。

もうすぐ私達は卒業する。

色々な事があった高校生活もあと少し。

それがなんだかとても寂しく感じる。

「ごめん美緒、今日は雅宗とかれんちゃんが紹介してくれた料理教室に行くんだー。」

その瞬間あからさまに嫌な顔をする美緒。

「え、カップルのデートじゃないよねそれ。てか愛ちゃん料理できるの?」

「いや、雅宗が作るの見てる。」

「保護者か!」

「食べれるんだし良くない?見てるだけでよ?」

「やっと付き合ったと思ったら私とは全然遊んでくれないし…変なデートばっかするし…。」

美緒が拗ねているところに、帰り支度を終えた雅宗が来た。

「ごめんね、今日も愛華借りちゃって。」

そう言いつつ、何故かドヤ顔の雅宗。

「…なんかムカつくよね高尾君って。」

「わかる。」

「愛華、俺の彼女だよね。」

泣きそうな顔で私を見る雅宗がなんだか可愛くて、にやけてしまう。

そんな私をみて、美緒は大きな溜息を一つつくと「バカップルめ。」と言いながら帰ってしまった。

確かに最近美緒の誘いを断ってばかりかもしれない。

美緒の相手もちゃんとしてあげなきゃな…。

そう思いつつ、雅宗といれることが幸せすぎていつも雅宗を優先してしまう。

このままだと友情を失いかねないな…。


「あー、麻婆豆腐美味しかったぁ!!!」

「ちょっと甘辛なのが癖になるな。」

料理教室も終わり、日は既に沈んでいた。

雅宗は本当に料理が上手くて、先生にもかなり褒められていた。

私は作ってないけど、なんか私まで鼻が高い気分。

「今度また作ってよ。」

「愛華のためならいくらでも作っちゃうよ。あ、そうだ。今度は美緒ちゃんも誘って食べよう。」

「なんで美緒?」

「なんでって、最近愛華を俺が独り占めしちゃってるしさ。愛華の大切な友達なんだからいつものお詫びしたいし。」

雅宗は優しい。

昔から何一つ変わらない。

雅宗を好きになって良かった、本当に。

「そういえばさ、料理教室の男の先生かっこよかったよね!あのワイシャツから見える締まった筋肉とか、逆三角形の上からのエプロン!すっげぇ萌えない?」

前言撤回。

「私もあの先生みたいにマッチョになってお前を絞め殺してやろうか?」

デリカシーがないわ、未だに男好きだわ、最悪すぎる。

なんでこんな奴好きになったんだろう。


「愛華。」

「何っ!?」

ちゅ。


不意打ちにキスされた。

「なぁっ!?!?」

私の反応を見てイタズラな笑みを浮かべる。

「ふふ、愛華の嫉妬してる顔が一番好き。」


本当になんて奴だ。

そして私もかなり馬鹿だと思う。

だって、こんなことの一つ一つが幸せだなぁって感じてしまっているから。

「私も、そのイタズラ成功したような笑顔が一番好き。」


私は雅宗の制服のネクタイを引くと、雅宗の唇に自分の唇を押し当てた。

「…男らしい愛華にキュン♡」

私が少し男らしいから好きになってくれたのかと疑いたくなるが、幸せそうにニコニコしている雅宗の顔をみたらそんなことどうでも良くなった。


「愛華!高尾!」

翌日、学校の校門でばったり陣内君と出くわした。

「陣内君、久しぶりだねぇ。」

雅宗と付き合うことになった後、少し陣内君とは気まづくなり、報告してからは1度も会ってなかった。

もう何ヶ月ぶりだろう。

「本当、久しぶり。もう進路は決まってるんだろ?」

「決まってるよ。私は1年制の専門学校。」

「専門学校か。何の専門なの?」

そう、私は春から調理の専門学校へ通うことが決まった。

なんで料理出来ないくせに調理かって?

できないからできるようになるためよ!!!

「調理かぁ…なんかカッコイイな。高尾は?」

「俺は就職。」

やっぱり雅宗は頭と容姿だけは良かったようだ。

なんせ就職先は大手のIT企業。

聞いただけで今でも鳥肌が立つ。

「なんか意外。高尾は大学とかに行くのかと思ってた。」

「大学なんて行ってたら何年愛華を待たせることになると思ってるんだよ。」

…ん?

私も陣内君も意味が分からずぽかんとしている。

頭は良くても言語能力がなくては世の中生きていけないぞ。

「高尾…、俺の理解力が低いから違ってたら悪いんだけどさ。なに、愛華と近いうち結婚でもすんの?」

「え、その予定だけど?愛華が専門学校卒業したら結婚したいなーって。」

ちょっと待て。

今そんな大事なことを!本人目の前にして言うか?!

「雅宗、私初耳なんだけど。順番違くない?」

冷めたような冷たい声が思わず出てしまう。

それを感じ取った雅宗が慌てて私の前に片足をついた。

そして一言。

「俺と結婚してください。」


その瞬間、たまたま周りにいた生徒達が一斉に拍手をはじめ、歓喜の声が飛び交いだす。

その恥ずかしさに怒ることも逃げることもできず、

「ふ、ふつつか者ですが…宜しくお願いします。」


この出来事は、私達が卒業した後も消えず、学校の伝説として語り継がれているらしい。


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