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異世界の魔装士(ウィズリート)  作者: 秋川葉
第一章 ミッシングマイシスター
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--Sakura's Chapter-- 「ボクの心、私の心」

 ふわふわ、ふわふわ。

 夜空に浮かんでいるような、そんな感覚。

 目を開けても、目を閉じても、見える世界は変わらない。

 暗い闇。

 でも、確かに感じる。とても近くに。


「おはよう。目が覚めたんだね」

 うん。おはよう。って、もう夜だよね。真っ暗だもんね。


「そうだね。今は夜だ。でも、ボクが見上げる空には月と星が光っているけど」

 そっか。私には見えないな。残念。


「ごめんね」

 どうして謝るの?


「だって、キミが夜空を見ることが出来ないのはボクのせいでしょう?」

 ううん、違う。アナタのせいじゃないよ。誰のせいでもない。


「でも、ボクはキミに酷いことをしてしまった。辛い思いをさせてしまった」

 辛いのはアナタも同じ。だから私は一人じゃないし、アナタもそう。


「……確かにキミは一人じゃない。今日来た彼、キミの兄様なんだってね。とても心配していたよ」

 うん。お兄はいつも私を心配してくれる。私はいつも心配かけてばっかり。


「そうなんだ?」

 えっと、小さい頃ね、近所でボヤがあったの。私、火が綺麗だって思って、近付いちゃった。

 その内に火の手が回って……、でもそんな危ない中でもお兄は助けに来てくれたんだよ。背中に大きな火傷までして……。

 その時はすっごく反省した。もうお兄に心配かけないようにしなきゃって思った。

 なのに、それからもずっと私は心配かけちゃってる。今もまた……。


「そっか……。それでも、ボクはキミが羨ましい。ボクは、ボクはやっぱり一人だから」

 アナタにはアナタのお兄がいるじゃない。


「そうだけど、そうじゃない。ボクはボクだけどボクじゃないから」

 アナタはアナタだよ。

 今だってこうして私が傍にいる。だからやっぱり、アナタは一人じゃないよ。


「ありがとう……。けど、こんなに嬉しいのに、キミとはもうすぐ話すこともできなくなる。やっぱりボクは一人になってしまうんだ」

 ううん、ならない。アナタは一人にならないよ。

 大丈夫。心配しないで。


「どうして……、どうしてそんなことが言えるの?」

 うん、それはね――。



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