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2人の希望  作者: ひこまろ
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出会い

「おーい起きろーおーい起きろーおーいおき……」

カチ

このアラーム起きれるけどそろそろ音変えようかな。

「ふぁ〜。ん」

8時……。まぁちょうどいいか


「フットサルだと起きれるのに学校だと起きれないんだよな。なんでだろ」


1階に降りパンを4枚焼いて朝食の準備をする、すると階段から音がした。


「兄貴おはよ」


「おはよー。ふぁ〜」


兄貴も同じ部活に入っていてだいたい一緒に行く。


「就活はいいの?」


「いいんだよ。フットサルある日に就活入れるやつはスケジュール管理ができていないんだよ。ない日に入れたほうが効率良いだろ?あ、バターとって」


「ふ〜ん」


よくわからないが就活生には就活生なりの事情があるみたいだ。


「「行ってきまーす」」


「相変わらず派手だよな兄貴の車」


「バーカ、この色がかっこいいんだろ。わかってないなー」


ランエボはカッコいいけど黄色は派手だろ普通に考えて。


「早く乗れ。遅刻するぞ」


「わかってるよ」


「おはよーございます」


更衣室にいるみんなに挨拶しいつもと変わらないことを話す。変に先輩にいじられたら面倒くさいしさっさとコートに入ろう。


「葉先輩遅いですよ!」


入って早々マネージャーの朝日ちゃんが詰め寄ってきた。相変わらず胸大きいな


「いやいや遅刻してないじゃんか朝日ちゃん。それに俺より遅いやつまだ更衣室にいるよ?」


「そんなの関係ありません」


「えっ」


「葉先輩が遅いのなんか駄目です」


「そんな理不尽なことあるのかよ」


柔軟をしていたら練習時間が来た。練習もいつも通りの基礎やフォーメーション、正直退屈だ。紅白戦がやりたいな。


「ゴホゴホ」


なんだか急に咳が出てきたな。


「先輩風邪ですか?」


「いや大丈夫。多分埃とかだよ。心配ありがと朝日ちゃん」


しかしほんとにとまらないな咳。これじゃ練習に集中できん。口に手を当てながら咳をしていたら手のひらに違和感を感じた。


「え?」


赤い色の何かだった。急に頭がぐわんとしてなぜか目の前が急に暗くなった、みんなの声が遠くなる。そこからの記憶はない。


「ん…」


目覚めたら朝日ちゃんが顔をのぞかせていた。


「先輩!大丈夫ですか!?今先生呼びますね!」


まだ頭がぼーっとする。何が起きたんだ?とりあえず体がだるい。


「ごめん朝日ちゃん今何時ぐらいかな?」


「今は午後の2時です。みんな外の待合室で待機してます」


「そっか。ありがと」


そこから医者がきていろいろ聞かれた。前にもあったのかとか、予兆はなかったかとか。なにも身に覚えがなくただ「いいえ」としか答えることができなかった。そして精密検査を受けた。部活の人たちには時間がかかるから今日は大丈夫って伝え帰ってもらった。兄貴と朝日ちゃんは残っていたけど。


「とりあえず今日はこのまま入院してください。診断結果が出次第、退院を考えましょう」


「はい」


そう答え病室のベットに戻った。幸い倒れた際の外傷は頭を打っただけで今は普通に歩ける状態だ。なんでこんなことになったんだ?本当に身に覚えがないな…。


「調子はどうだ?」

兄貴が笑いながら入ってきた。


「ちょっとだるいぐらいかな。てか笑うなよ」


悪いと一言笑われながら言われたがまぁ兄貴なりの心配なんだろう、そして一時入院することを伝えた。


「親には俺が伝えとくよ。どうせ今日はつかれてんだろ?明日親と一緒にくるよ」


そう言いながら兄貴は帰ろうとしたが気になることがあった。


「あれ?朝日ちゃんはもう帰ったの?」


朝日ちゃんがいなかった。あの子のことだから飛びついてくるかと思っていたのに。あの胸で飛び込まれたら幸せだろうな。


「あぁ彼女ならなんかこの病院に友達が入院してるから上の階に顔を出しに行くって言ってたぞ。その内戻ってくるだろ。あと病院だからって手出しちゃダメだぞ」


「だすわけないだろ!」


兄貴は笑いながら病室を後にした。 しかし朝日ちゃんの友達が上の階にいるのか。せっかくだから入院仲間として挨拶でも行こうかな、ジュースでも持って行こう。そう思い病院内にある売店へ向かった。


自販機コーナーで1人の少女が財布を開きながら立っていた。綺麗な黒髪で肩ぐらいの長さ。160㎝ない身長でスタイルはスラッとしていて朝日ちゃんとは真逆だ。服装は私服ではなく入院している患者が着ている服だった。そして自然と声に出てしまった


「綺麗だ」


見ていたのがばれたのかその少女と目が合い会釈をした。が無視されまた財布に目を持っていった。なにしてんだろ自販の目の前で。いや、答えは出ているだろ俺。自販の前で財布を覗き数を数えるように数字を言っている、これはもう1つしかないだろ。


「あの〜もしかしてお金が足りてないとか?」

バッ⁉︎っとビックリされたように見られまた目があった。しかし少女はすぐ目線をずらしうつむきながら


「いやそ、そんなことは…」


と小さな声で話した。小さくてもわかる綺麗な声だった。


「大丈夫ですよ。僕が払いますから好きなもの選んでください」


と500円を入れた。


「わ、悪いですよこんなの」


「いいんですよこのくらい。あ、今日一時入院した21歳の高梨葉っていいます。」


「あ、え、えっとわ、私は上の階で入院している小池夕陽といいます。19歳です」


よしこんな可愛い子の名前を知れたのはでかいぞ俺よくやった。

心の中でガッツポーズを決め話しを戻した


「ほんとに大丈夫なんで買っちゃってください。1本と言わず3本ぐらいでも平気ですよ」


「え、えっとじゃあこれとこれいいですか?」


オレンジジュースとコーヒーを頼んだ


「全然いいですよ。2本とも君が飲むの?」


少女は慌てて


「い、いいえ友達が来てるのでその分にと」


といいつつ俺からの缶を2本受け取った


「ありがとうございます。えっと高梨さん」


「葉でいいよ。俺も夕陽ちゃんて呼ぶからさ」


あまり言われ慣れていないのか少女は顔を赤くしてうつむきながら


「は、はい葉さん。」


これが彼女との出会いだった。この出会いが俺を変えさせてくれたと今でも信じている。







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