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序章・過去の大異変特集


「号外!!号外~!!

号外ですよぉおお!!!!」


 博麗神社の上空で、射命丸文の声が聞こえる。

それも滅茶苦茶でかい。


「・・・ちょっと!!

人気のないところで大声出すんじゃないわよ。」


 さっそく神社の巫女、博麗霊夢が怒り心頭で飛び出してくる。


「お!読者第一号の登場ですね!」


「抗議しにきたの!」


 何度も強調するが、ここは神社の上空。

だれも住んでいない。かと言って、この近くの里とか紅魔館とかに届くような声でもないし、届いても迷惑極まりない。

 どう考えても、霊夢にしか聞こえないような音量だし、唯一聞こえる霊夢は何とか迷惑。


「サービスですよ。」


「何が!!」


 朝はそれほど早いわけでもなく、霊夢はとっくに起床していたので、起こされたことに腹が立っていたのではない。


「それに、あなたの号外!そのせいで、いっつも迷惑かかっているの!!

わかる!?」


「いつも・・・ですか?」


 実は霊夢。声より、このことで起こっていてのである。

急に文の手を強く握り、家へ連れていく。


「あやや!!

もし襲ったりしたら明日の新聞に・・・」


「うっさい!」


 しかし、文が連れていかれたところは、意外にも台所だった。

普通に質素な朝食が並んでいた。


「これが・・・どうしたんです?」


 拍子抜けた様子の文は、台所を見回す。


「よく見なさい!」


 霊夢は、鍋に指を刺した。


             鍋?

 

 その指先には、味噌汁の鍋の中に直撃している新聞紙があった。

その新聞紙には 文々。新聞 の表記が・・・。


「・・・。」


 シュールな光景に、ばらまいていた文も絶句する。

まさか自分が号外として巻いて行った新聞紙が、他人の鍋に、しかも味噌汁の中に直撃するという現象は、ある意味怪事件。


「どうしてくれるのよ!

今日だけじゃないわ!最近不思議なくらいジャストしてくるの!」


 文はしばらく考え込む。

唯一の進入路は右斜め上の窓と正面上の窓くらい。


「・・・それなら、朝食の時間帯変えるとか、窓を閉めるとか。試してみるのはいかがでしょうか。」


「16回!」


 文の提案に対し、霊夢は16という数字を出してきた。

どうやら、文に提案されたことを16回もためし、どれも失敗に終わっていたらしい。


「なるほど。

そんなにですか。」


 というより、16回もそんなうまくはいるものなのかよと思いつつ、文はさらに深く考察する。


「もう、異変レベルですね、これ。

まぁ、記事にしておこう。」


「勝手にネタにするんじゃない!」


「面白いんでいいんじゃないでしょうか?」


「良くない!」


 微妙な口げんかが始まろうとしていた時、玄関からまたうるさい声が聞こえた。


「霊夢ーーー!!

暇だから来てやったぜ!!」


 摩理沙の声だ。

文の次に耳に響く。


「はぁ、しょうがない。

ちょっと待ってて!」


 文にとって、この対応の仕方に違和感を覚えた。


「人間と妖怪でこの差。

あっちだって大声出してるじゃないですかぁ!」


 そういうと、霊夢は振り返った。


「声の大きさの問題じゃないっているでしょ!

とにかく、新聞紙が味噌汁にジャスト・ゴールしないよう、しっかり対策を練っておきなさい!」


「・・・ゴール決めて怒られるなんて初めてだ。」


 文が意図して入れているわけでもないことも強調しておく。

ただ、この件の元凶は、間接ながら彼女である。

 咎めようがないし、野放しにしてもよいことでもない。

文は、少し肩を落としながら、新聞を回収する。


「はぁ、今日の新聞見てもらえなかったなぁ。」


 号外の記事には、過去の異変について書かれていた。

文のしょげようから、結構な自信があったに違いない。


―30年前の緑集団大量侵入異変、いまだ未解決―


 これは、霊夢へ向けたある種のメッセージだったのだろう。

偶然見つけたからなのだろうが。

しかし、これは外界からの侵入という、以前の異変並に深刻なことだった。

30年もたっているとはいえ、放置もされているのだから。


 何故この異変は放置されてきたのだろうか。


 正直、一番霊夢に読んでほしかった記事なのかもしれない。

だが、読まれたところでたぶん動くことはなかっただろう。

解決されたという説がある旨のことが記事に書かれているのだから。

きっと動かない。


 実際にその未解決異変が、この幻想郷で新たに起こらない限り・・・は。


そんなことを尻目に、霊夢にとっていつもの退屈であってもつまらなくもない日常が始まっていた。


 そして、異変も・・・。

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