おかしなおうちのおかしなおんなのこ
深読み推奨。
誰も訪れない森の奥深くの小さな家に住む、小さな女の子が居ました。
その女の子は両親が居ません。1人で暮らしています。
でも、全然寂しくなんかないのです。
だって、お菓子があるから。
今日も自慢のオーブンで、甘い甘いお菓子を焼いています。
「できたかな?」
女の子はにこにことオーブンを覗きます。
中にはふっくらと焼けたケーキが。
女の子は火傷をしないよう、布を手に持ち、それを使ってケーキを取り出します。
「わあ、おいしそう」
金色のふわふわした髪を揺らし、テーブルにケーキを置きました。
お家の中に、バターと砂糖の香りが広がります。
女の子は髪に負けないくらいの、ふわふわした笑顔を浮かべました。
「ふふっ」
キッチンから切り分ける為のナイフとお皿を取って来て、ケーキを1人分切ります。
断面から、赤色のソースがとろり、とろりと溶け出します。お皿に可愛く盛り付けました。
フォークを持ち、いすに座ります。
では、ご挨拶。
「いただきます」
ちっちゃな両手を合わせて、フォークを持ちました。一口分フォークで切り、可愛らしいお口に運びます。
「おいしい!」
お口の中に、じわり、じわりと鉄のソースの味が広がりました。
こりこりと白い塊を噛み砕き、お腹の中に落とします。
次は飾りの青い丸が描かれた球体にフォークを刺し、口に入れました。
くちゅりと潰れます。
もぐもぐ。
よく噛んで、残りのケーキも女の子のお腹の中へ。
フォークを置き、また手を合わせます。
「ごちそうさまでした」
ケーキの乗っていたお皿は空っぽ。残さず食べました。
「残したら、怒られちゃうもん!」
偉いね。
……さあ、明日はどんな食材がやって来るのかな?
女の子はお家の扉をじっと見つめて、にこりと笑いました。
わかる方にはわかりますよね?