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貰うの、苦手…

作者: AKIRA

 私は相手に何か貰うのが苦手だ。プレゼントもそうだ。嬉しいのは嬉しいのだが、どうもそれをどうしていいか分からない。

 本当だったら次に会う時に使っていると喜ばれるかもしれないけど、どうも気が進まない。売るというのも手だが、それはさすがに失礼だと思ってしまう。

 だから自分が欲しいものは自分で手に入れてきた。



 あるホテルの一室。

「はい。これ」

 彼がスーツを着ながら少し大きな紙袋を取り出して、私に手渡した。

「これ、何?」

 紙袋を開けると中にはブランドバッグが入っていた。

「前にデートした時に欲しい、って言ってたからさ。プレゼントだよ」

「あっ、そう…、えっと、ありがとう」

「どういたしまして」

 彼はそう言うとまたスーツを着始めた。


 彼とはだいぶ前から付き合っている。

 私の一目惚れだった。彼にはちゃんとした相手がいた。つまり結婚している。

 ダメ元でアタックしてみた。体だけの関係でもいいです、と。聞こえは悪いが彼がどうしても欲しかったから。

 そして今、私達はデートをしたり、このようにホテルに行ったりする関係が始まっている。


 私はこのバッグをどうしようかと悩んでいた。

(欲しかったのは欲しかったんだけど…。何か貰うのはなぁ…)

 彼は私が悩んでいるのも知らず、普通に話し掛けてきた。

「なあ、今度休み貰ってどっか行かないか?」

「え? あ、うん。いいわね。温泉でも入りたいなぁ」

「年寄りみたいだな」

「もう、何よぉ」


『トントン』


 話を遮るように鳴らされたノックの音。今まで店員も来た事無かったし、呼んだ覚えも無い。不思議に思ったが彼がその応対に向かった。すると、ドアを開けた音と誰かが入ってくる足音がした。

 部屋に入ってきたのは、見覚えの無い女性。そして私と目が合った。

「誰よこの女! しかもこんな所に! どういう事なの?!」

「おい、落ち着けよ。何で君がここにいるんだ」

 話の感じから彼の奥さんらしい。

 2人は私そっちのけでケンカを始めた。もとの原因は私なのに、私も私で彼の吸いかけの煙草を口にした。普段はあまり煙草を吸わないが、悩んだ時は煙草を吸って落ち着くのだ。でもその悩みは別にこの状況じゃない。こんな事があって、もらったプレゼントをどうするかだ。

 どうせ私はこの人とは別れなきゃならないだろう。彼も口ぶりからしてそうしようと必死だから。

 その時、彼の奥さんは私の方を見て言った。

「もういいわ! 夫の事あなたにあげる! もういらない! さよならあなた!」

 そう言って去っていこうとする彼の奥さん。そう言われた私は立ち上がり奥さんを呼び止めていった。

「すいません。結構です」

 奥さんも彼も『へ?』と言いたそうな顔をしていた。続けてこう言った。

「それとこのバッグも結構です。ありがとうございました。それでは」

 彼と奥さんを残して私は部屋を出て行く。



 帰り道歩き煙草をして帰る。なんか気分がいいときも吸う癖があるのだ。

 彼を手に入れられなかったのは残念だった。

 でも、相手からくれると言うのを断れたんだ。こんなに気分のいい事は無い。



 やっぱり貰う事は苦手だ。

このお話はまあただ楽しんでもらえればいいと思います。でもちょっと意味が解らなくなると思います。

では感想をお待ちしています。

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― 新着の感想 ―
[一言]  小気味よい物語で、一気に読み終わりました。これと言った文法・文章の不備も無いですし、読んでいてつっかえる部分もありませんでしたので、星は四つ付けさせて頂きます。物語に関しては、結論から入っ…
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