アルの仕事
今日もアルと一緒。
でもアルは仕事があるから、執務室ってところに行っている。
わたしにも「来るか?」って聞いてくれたから、ちっちゃな方のヒョウのぬいぐるみと一緒に、執務室に来た。
アルの執務室はたくさんの本棚があって、書類がぎっしり詰まっていた。
一目見ただけでは本にしか見えなかったけど、中身を開いて見せてもらったら、書類の束だった。
今日はずっと書類仕事だって、ため息をついてた。
アルは、書類仕事が苦手なのかもしれない。
わたしはアルが書き物をしている近くで、ヒョウのぬいぐるみと一緒にソファで絵本を読む。
絵本はいろんな色を使った絵がたくさんで、文字がとても少ない。
わたしが読んだこのとある本は、絵がなくてちっちゃな文字がいっぱいの本。
どんなにつまらなくても、必ず読まないといけないものだった。
ここで初めて絵本を読んで、つまらなくない本もたくさんあるって知った。
何回も何回も捲って、キラキラな絵を眺める。
一度読んだら内容は覚えてしまったけど、絵が気に入ったから何回でも読み直す。
わたしが何回も絵本を読んでいる間に、いろんな人がこの部屋を訪ねてきた。
だいたいは、アルに追加の仕事を持ってくる人。
たまに、仕事の報告をする人だったり、書類を受け取りにくる人もいた。
皆んなわたしの姿を見るとギョッとするけど、部屋を出て行く時はバイバイをしてくれる。
どんなに顔が怖い人でも、無表情な人でも、手を振ったら必ず返してくれた。
優しいアルのいるところだから、皆んなきっと優しい人なんだと思う。
お昼ご飯はアルと一緒にここで食べて、わたしはウトウトしてる間にいつの間にか眠っていた。
「……て、……な……は……」
アルの声が聞こえる。
わたしは小さな欠伸をして、アルの声を聞きながらウトウトしていた。
「カーマン伯爵の妻は、確か今5人目だったか?あそこは……」
「……カーマン伯爵は、幼児が好きなの。子どもを産ませて、趣味の部屋に軟禁して遊ぶんだって。12歳過ぎたら、奴隷商人に売るか、他の趣味の貴族に売るの。」
「……は?」
寝ないように目を擦っていたら、聞き覚えのある名前が出てきた。
カーマン伯爵は、教会のお客様。
わたしも何度も会っているけど、いつも気持ち悪かった。
「……ヤダン子爵は?」
「ヤダン子爵は、死体が好きなの。使用人の出入りが多いのは、使用人を殺して死体を収集しているんだって。」
「……マルポード侯爵は?」
「マルポード侯爵は、孤児院を経営しているの。そこで子どもに特殊な教育を受けさせて、貴族に売るんだって。」
「…………」
なぜか、アルが頭を抱えている。
「アル?」
「なんで、そんなこと知ってるんだ?」
「皆んな、わたしの前で自信満々に自慢してくるの。いいコレクションがあるんだって。」
アルがますます沈んじゃって、机に頭をぶつけちゃった。
大丈夫かな?




