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宝もの


アルは、なんだかすごかった。

「あれがいい」「これがいい」「あれも似合う」「これも可愛い」って、どんどん買っていくの。

わたしが選んだものより、何倍も多かった。

たぶん、20着は買ったと思う。

お財布が心配だったけど、アルはケロッとしていた。


その後は、町の通りを、端から端まで歩いてくれた。

綺麗な服屋さん、美味しそうなお菓子屋さん、そして楽しそうなおもちゃ屋さん。


わたしは、そのおもちゃ屋さんに飾ってあるヒョウのぬいぐるみが気になって、じっと見つめた。

なんだろう。

なんか、アルに似てる?


わたしの視線の先を見たアルが、うんうんと頷いて、ヒョウのぬいぐるみを買ってくれた。

わたしがやっと抱えられるくらい大きい黒いヒョウと、それよりももっと小さい黒いヒョウの2つ。


「いーの?」


「言ったろ?欲しいのを言えって。あとは、何が欲しい?」


「……じゃあ、キラキラした本。」


「ああ。あの絵本な。よし、買って帰ろう。」


表紙を見て、気になっていた。

いろんな色で描かれている、キラキラした本。


絵本。

小さい子が、母親に読んでもらったと言っていたそれ。


嬉しい。

嬉しい。


初めてがいっぱい。

初めての買い物。

初めてのわたしの服。

初めてのぬいぐるみ。

初めての絵本。


わたしの大切な宝もの。


大事にしよう。

大切にしよう。

無くさないように。

傷つけられないように。




アルとの買い物は、すぐに終わってしまった。

楽しいことがたくさんで、気がついたら日が傾いていた。

夜は危ないから、子どもは出歩いちゃダメなんだって。

でもアルは、昼でも1人はダメって言う。

わたしはまだ小さいから。

もう8歳だから、大きいんだけどなぁ。

でもアルが言うことだから、絶対守らないと。

嫌われたくないからね。


「そう言えば、部屋はどうする?1人で寝れるか?」


「……」


できる。

できるけど……でも……


アルの首に回した手に、力が入る。


「俺と一緒でいいか?俺の部屋もベッドもデカいし。」


「うん……うん!」


よかった。

アルと一緒にいられる。

一緒にいてもいいって、言ってくれた。


さらにぎゅっと抱きついたら、背中をポンポンしてくれた。

優しいポンポン。

あったかいポンポン。

教会の人の、冷たくて痛いポンポンじゃない。


今日買ってもらったものは、全部アルの部屋に持っていった。

ソファに乗っかる、おっきなヒョウとちっちゃなヒョウ。

クローゼットの、アルの服の横に吊り下げられたわたしの洋服。

たくさんの本が入っている本棚に仕舞い込まれた、わたしの絵本。


全部アルの隣。


嬉しくて、頬が緩む。


片付けた後は、アルと一緒にご飯を食べた。

お風呂はさすがに別々だった。


お風呂から上がったわたしを見て、アルは目をまんまるにして驚いていた。


「シロネコじゃなくて、クロネコだったのか……」


「黒はよくないからって、白に染められた。白の方がいい?」


「いんや。そんままでいいよ。黒は嫌か?」


「黒は好き。一番、好きになった。」


「なら、そのままでいろよ。」


「うん!」


黒は、あったかい色。

私を拾ってくれた、あったかい色。






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― 新着の感想 ―
更新ありがとうございます。 読んでてニコニコが止まりませんでした。 良かったなぁ。 アルさんめっちゃ保護者って感じで安心しますね。 これからもっと嬉しいを増やして行こうね。
8歳はまだ小さいのよ。(泣) まして1日1粗食の上で長時間重労働じゃ、とても小さいはずよ。ゆっくり大きくなってね。(泣) それにしてもアルトゥールは懐深いなあ、まだ20歳なのに理想のお父さんみたい。…
良かったね、嬉しいねって心の中で繰り返してます。大切がいっぱいだね、私も泣きそうです。
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