奇妙な拾い物 SIDE:アルトゥール
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闇ギルド。
表に出せない情報収集や暗殺などの裏の仕事を主に取り扱っているギルドで、仕事内容は犯罪行為の塊と言っていい。
本来なら潰される側なのだが、闇ギルドは治安の悪化を抑制している場面もあるために見逃されている。
例え見逃されなくとも、闇ギルドの本拠地を暴かれることなどないし、暴かれてもすぐに隠れてしまう。
特に俺たち闇ギルドクロネコは、上級以上の人材しか使っていないから、ギルドの本拠地が知られたこともなければ、仕事を失敗したこともない実績を誇る。
世界の闇ギルドの中でも1、2を争う実力派揃いだ。
まぁ、そのせいで他の闇ギルドの奴らから、たまに力試しとして襲撃を受けることもあるが。
闇ギルドクロネコの活動範囲は、ツヴェルク王国以南の5カ国。
活動範囲といっても範囲外の仕事はしないだけで、大陸中の情報は常に集めており、ギルド員の派遣もしている。
そして久々に、とある国の王族から依頼を受けることになった。
依頼内容は「教会と一部の貴族の羽振がいい理由を探す」こと。
その国の王族は、常々教会を嫌っていた。
国の領分にまで、噛んでこようとするからだ。
大人しく結界と治療にだけ力を入れればいいのに、国政にも口を出す。
ここ数年は特に、熱狂的な信者が平民にも貴族にも増えてきて、国にまで傲慢な態度を取っている。
役に立つこともあるが、これ以上は見逃せない。
と、まぁ、そういうことらしい。
王族だけあって金払いはいいし、未払いになることもない。
なので今回の依頼を受けることにしたのだが、相手が王族だったため、その交渉にギルドマスターである俺が行くことになった。
相手は俺がギルドマスターなんて知らないが、それとこれとは別問題だ。
俺は若手の中でも優秀なノインを連れて、王族の依頼を受けに行ってきたのだが、その帰りにノインの馬鹿が変なものを拾ってきた。
薄汚れていて、ヒョロヒョロの棒切れみたいな子どもだったが、その目は死んでなかった。
それどころか、「生き残ってやる」「死んでなんかやるもんか」ってな感じの生への渇望と、「絶対に許せない」と言う何らかの恨みを孕んだ、鋭い眼光だった。
普通の、子どもがする目つきじゃなかった。
それなのに名前を呼んだら、ダバダバと涙を流して泣き始めた。
これまた子どもらしくなく、声を上げて喚くことなんかせず、静かに涙を流していた。
それはただの、好奇心だった。
なんでこんなに子どもらしくないのか、子ども扱いしたらどんな顔をするのか、知りたくなった。
だからノインの言うように、こいつを拾って持って帰ることにした。




