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聖女は逃げ出した  作者: 氷桜 零
第1章
27/33

教会の行く末


ある日の執務室。

真剣な顔をしたアルに呼ばれて、アルの膝の上に座る。


「ん゙ん゙……まぁ、いいんだがな?」


どうしたんだろ?

変なアル。


「どうしたの?」


「あー……例の、ユフィーレがいた教会があるだろう?」


「うん。」


「この前、情報が入ったんだが……聞きたいか?」


どうだろう。

わたしは、聞きたいのか、聞きたくないのか。


今更だという気持ちもある。

聞いたとしても何も返ってこないし、今は幸せだから。


じゃあ聞きたくないのか。

それは違うと言い切れる。

気になるのもそうだけど、関係者として知らないといけない気持ちもある。


「…………聞く。」


「……そうか。無理だったら、途中で言えよ?」


「うん。」


アルは出会ったきっかけになった王族からの依頼と、教会の起こした事件、その結果を教えてくれた。


アルは教会の属している国の王族に、「教会と一部の貴族の羽振がいい理由を探す」ことを依頼された。


早い段階で、その理由が聖女だということをつかんだが、その聖女が何者かわからなかった。

わかったのは、わたしの生活について聞いたとき。

その時、教会は聖女探しでバタバタしていたから、侵入して確認するのは容易かったみたい。


王族には、わたしが聖女であることと、闇ギルドクロネコに保護されているのは話さず、聖女が理由であったことと、聖女が逃げ出して行方不明であることだけを伝えた。


その時に追加で、「聖女の行方を探す」ことと、「教会の不祥事を探す」ことを依頼された。


教会と教会に繋がりがある貴族から情報を引き出したことで、あの暗号化した文書に繋がってくる。

それによって、教会主体の麻薬や人身売買が発覚した。

わたしが関わった、子どもの誘拐もその一つ。

他にも多数発覚し、公のもとに悪事が暴かれることになった。


その結果、教会関係者は、悪事に関わっていた深さによって、公開処刑か生涯にわたる無償の労働刑に決まった。

教会と深く繋がっていた貴族たちも、ほとんどが教会関係者と同じ結末を迎えることになった。


「……と、まぁ、そういうわけだから、教会の方はもう心配いらない。王族の方も、遺体を用意して聖女が死んだことに偽装しておいたから、追われるようなことはないはずだ。」


「そっか……じゃあ、本当に全部終わったんだね。」


「ああ。」


アルがぎゅっと抱きしめてポンポンしてくれたけど、アルが思っているほど、気持ちは動かなかった。

ただ少しだけ、ほっとした。

それだけだった。

何ともなかったけど、せっかくなので、わたしが満足するまでアルの腕の中にしまってもらうのだった。






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― 新着の感想 ―
これで平穏に暮らせる、と、いいな……?
何ともなかったけれど、満足するまでってちゃっかり甘える子悪魔っぷりがかわいい。幼女の特権だものね。 教会で悲しい思いした分、ちゃんと癒されてゆっくり成長してって欲しいです。 やりたい放題だった教会と…
おぉー聖女の身元を消すとはさすが闇ギルドナイス過ぎる! これで安心してギルド内で過ごせる! ただ能力は持ったままだからそれを外や王族の依頼人の元で披露してしまわないか不安だが何も無ければ平和に過ごせそ…
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