教会の行く末
ある日の執務室。
真剣な顔をしたアルに呼ばれて、アルの膝の上に座る。
「ん゙ん゙……まぁ、いいんだがな?」
どうしたんだろ?
変なアル。
「どうしたの?」
「あー……例の、ユフィーレがいた教会があるだろう?」
「うん。」
「この前、情報が入ったんだが……聞きたいか?」
どうだろう。
わたしは、聞きたいのか、聞きたくないのか。
今更だという気持ちもある。
聞いたとしても何も返ってこないし、今は幸せだから。
じゃあ聞きたくないのか。
それは違うと言い切れる。
気になるのもそうだけど、関係者として知らないといけない気持ちもある。
「…………聞く。」
「……そうか。無理だったら、途中で言えよ?」
「うん。」
アルは出会ったきっかけになった王族からの依頼と、教会の起こした事件、その結果を教えてくれた。
アルは教会の属している国の王族に、「教会と一部の貴族の羽振がいい理由を探す」ことを依頼された。
早い段階で、その理由が聖女だということをつかんだが、その聖女が何者かわからなかった。
わかったのは、わたしの生活について聞いたとき。
その時、教会は聖女探しでバタバタしていたから、侵入して確認するのは容易かったみたい。
王族には、わたしが聖女であることと、闇ギルドクロネコに保護されているのは話さず、聖女が理由であったことと、聖女が逃げ出して行方不明であることだけを伝えた。
その時に追加で、「聖女の行方を探す」ことと、「教会の不祥事を探す」ことを依頼された。
教会と教会に繋がりがある貴族から情報を引き出したことで、あの暗号化した文書に繋がってくる。
それによって、教会主体の麻薬や人身売買が発覚した。
わたしが関わった、子どもの誘拐もその一つ。
他にも多数発覚し、公のもとに悪事が暴かれることになった。
その結果、教会関係者は、悪事に関わっていた深さによって、公開処刑か生涯にわたる無償の労働刑に決まった。
教会と深く繋がっていた貴族たちも、ほとんどが教会関係者と同じ結末を迎えることになった。
「……と、まぁ、そういうわけだから、教会の方はもう心配いらない。王族の方も、遺体を用意して聖女が死んだことに偽装しておいたから、追われるようなことはないはずだ。」
「そっか……じゃあ、本当に全部終わったんだね。」
「ああ。」
アルがぎゅっと抱きしめてポンポンしてくれたけど、アルが思っているほど、気持ちは動かなかった。
ただ少しだけ、ほっとした。
それだけだった。
何ともなかったけど、せっかくなので、わたしが満足するまでアルの腕の中にしまってもらうのだった。




