のんびり
大きな仕事が終わって、今はアルの部屋でゴロゴロしている。
アルもしばらく休暇らしい休暇をとっていなかったので、しばらく仕事を休むみたい。
わたしに付き合って、一緒にゴロゴロしてくれている。
寝て、起きて、一緒に食堂でご飯を食べて、部屋でゴロゴロ。
一緒にぬいぐるみで遊んだり、絵本をたくさん読んでくれた。
こんなに一緒にのんびりするのは、久しぶりな気がする。
アルと一緒ならどんなことでも嬉しいけど、こうやって一緒にいる時間の方が、ずっと嬉しい。
「……魔物に囚われてしまったお姫様が言いました。『お逃げください、勇者様。あなたの命は、ここで終えてはいけません。これから先、何千、何万という数えきれないほどの人々を救うあなたが、ここで倒れてはいけないのです!』それでも勇者は引かなかった。勇者は言った。『ここであなた1人救えない私に、この先、何千、何万という人々を救えるはずがない。あなたを救ってこそ、この先に未来があるのです。』と。」
今読んでくれているのは、勇者とお姫様の絵本。
魔物に国を滅ぼされて、唯一の生き残って囚われの身になってしまったお姫様と、魔物を倒すために旅をしてきた勇者。
けれど強い魔物に全然勝てなくて傷ついていく勇者と、それを見守るしかないお姫様の会話。
お姫様は自分だって怖いのに、相手の命を守るためにこんなことを言える。
「心が強いんだなぁ」って思った。
勇者もそう。
自分の命が危ないのに、それでも助けることを諦めずに戦っている。
初めてこの絵本を読んだときは、この2人の気持ちが理解できなかった。
どうして自分の命を優先せず、相手のことをだけを考えられるのか。
何度も何度も読み返して、それでもわからなかったのに。
でも、今なら彼らの気持ちが、少しわかる気がする。
きっとアルは危険な目に遭うようなことはしないけど、もし、アルが危ない目にあったとして、わたしの命一つでそれを助けられるとしたら。
今のわたしは、躊躇わずにこの命を使うと思う。
ううん、絶対に使う。
だってこのお姫様のように、この勇者のように、わたしにとってのアルは、わたしの命よりも大切な人だから。
仮令この先、わたしに愛する人ができたとしても、わたしの何よりも一番大切な人は、きっとアルだ。
それだけは、ずっと変わらない。
何かが変わったとしても、絶対に変わらない唯一。
絶対に揺るがないわたしの柱、それがアルだ。




