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聖女は逃げ出した  作者: 氷桜 零
第1章
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大切な存在 SIDE:アルトゥール


俺は無性にイライラしていた。

理由は、ユフィーレが誘拐されたから。

これが囮作戦なのは理解している。

だがそもそも、ユフィーレがこんなことをしなくてもよかった。


ユフィーレは、俺にとって大切な存在だ。

手放すなんて、欠片も考えてない。

何の能力もなくても、ただそこにいてくれるだけでよかった。

こんな危険なことを、しなくてもよかったのに。


だが、ユフィーレの意思を無視したいわけじゃない。

だから仕方なく許可を出した。

……が、やっぱり面白くない!


「ギルマス、その状態で殺気を消しているところはさすがですけど、集中してくださいよ。そろそろ合図が来るはずなんですから。」


「わかっている。」


ロシュアが「わかっていないから、言ったんだ」とばかりにため息を漏らす。


今は深夜。

俺を一般人とみなして殺しにきた連中から情報を絞り出し、オークション会場である丘の上の教会にやってきた。

俺を殺しにきた連中は、今頃仲良く土の中だ。

泣いて喜んでいることだろう。


うちの者には、孤児院の監視とオークションの侵入に別れて配置させた。

オークションが始まれば、オークション会場に潜り込んだやつから合図がくる手筈になっている。


オークションは、もう間も無く始まる。

この町の自警団と、ここら一帯を管理する領主にも密告しておいたから、俺たちとの入れ替わりでここにやってくるだろう。


俺たちのやることは、ユフィーレの救出と、貴族と教会関係者を逃さないようにひと暴れすること。

あいつらには存分に、俺の八つ当たりに付き合ってもらうことにする。


「来ました!」


「行くぞ!」


「はい!」


暗闇に紛れて、教会に侵入する。

地上にいる連中は、気絶させてその辺に転がしておく。

目的地は地下。

司教の部屋の隠し通路を開けて、素早く駆け出す。


まずは地下のホールに集まっている連中の無力化。

俺たちは正規の騎士でも何でもないから、殺しても構わない。

情報を吐けるやつだけ、生かしておけば問題はない。


一部の連中は子どもを人質にしようと、背を向けて別の部屋へ駆け出した。


……が、そんなの許すわけねぇよな?


その背に向かって、毒入りのナイフを放つ。

両手両足に刺さり、刺された奴らは地面に転がって痙攣し始めた。


俺たちに背を向けるなんて、的になりたいと言っているようなものだ。


死んで、詫びとけ。


ホール内を見渡せば、もう間も無く制圧が完了しそうだ。

これなら、あとは任せていいだろう。


俺は痙攣している奴らを踏み越え、舞台脇にある扉の中へ入った。






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野生のアルが現れた!w
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