プレゼント
アルを泣かせてしまったあの日から、アルはわたしを離さなくなった。
わたしも、アルから離れなくなった。
習慣になっていた調合も、建物内の散歩も一切しなくなった。
一日中、ずっとアルと一緒。
会話は以前と変わらない。
前と違うのは、アルは仕事の時もどこかに移動する時も、わたしを離さなくなったこと。
ずっと、腕の中か膝の上で過ごしている。
お風呂とトイレまで一緒にしようとしていたが、それは断固拒否した。
わたしは8歳だけど、立派なレディだから。
アルはショボンとしていたけど、そこは譲らなかった。
アルの膝の上では、絵本を読んだり、ぬいぐるみで遊んだり、時々寝たりしている。
アルは何も言わずに、わたしをただぎゅっと抱きしめて仕事をしている。
最初は驚いていた人もいたけど、皆んなそのうち慣れた。
ロシュアは、「そのうち落ち着くから、それまでは付き合ってやれ」って言ってた。
わたしは困っていないから大丈夫。
でも、アルの負担にならないかだけが心配だ。
それにしても、内緒で買ったプレゼント、いつ渡そう?
アルとわたしの、黒色のガラス玉がついたピアス。
ガラス玉には、私がトイレでこっそり守護の祝福をかけておいた。
アルに危険が迫った時、助けてくれる優れものだ。
アルに見つからないようにこっそり力を使うためには、トイレかお風呂という究極の2択しかなかった。
トイレの方がゆっくりできそうと思って、トイレでやった。
短い時間でやった割には、いい出来だと思う。
プレゼントが完成してから、いつ渡そうかソワソワしていたら、アルが「トイレ我慢してるのか?」って。
「アルは、乙女心がわかってない。デリカシーがない。」
思わず、生ゴミを見るようなジト目で見てしまった。
「え?え、えー……??」
今度はアルの方がソワソワし始めた。
もしかして、何か図星だった、とか……?
ちょっとだけ、アルの女性遍歴が気になった。
……て、違う。
そうじゃない。
どうでもよくないけど、今はいい。
「アルに、プレゼント。」
おしゃれな包装とかできなかったので、そのまま渡した。
けど、アルから反応がない。
固まってる。
もしかして、嫌だった?
「……アル……?」
次の瞬間、ぎゅーっと痛いくらいに抱きしめられる。
反射的に、わたしも抱きしめ返した。
「アル?」
「ありがとう。大切にする。」
「大事に仕舞い込まないで、ちゃんと使ってね。お守りだからね。」
「うん。大事に使う。一生、離さない。」
なんだろう?
最近ちょっと、アルの言動が重くなっている気がする。
……気のせい、だよね?
まぁ、いっか。
わたしは困らないし。




