調合
力の解放が止まったので、全員の傷を治せたと思う。
目を開けて手を解くと、ポカンとしてる皆んなの顔が見えた。
皆んな揃って同じ顔をしているから、なんだかおかしくなった。
「馬鹿面。」
アルがふっと鼻で笑うと、皆んなの意識がこちらに戻ってきた。
「うえぇぇぇー!?」
「ユフィーレちゃん、すごい!」
「天才!!」
「可愛い!!」
「将来いい嫁さんになる!」
「おいっ、最後!それいらねぇからな。」
初めは治療について褒めてくれてたのに、段々と可愛いコールになった。
なんで??
でも、褒め言葉は素直に受け取っておく。
それに、皆んなが順番に頭を撫でるものだから、髪がぐちゃぐちゃになっちゃった。
わたしは嬉しかったけど、アルは呆れてため息をついていた。
こんなに喜んでくれたのも、褒めてくれたのも初めて。
前は、できて当然だったから。
できて当たり前。
できなければ叱られた。
だから、嬉しい。
今がとっても、嬉しい。
そう思っていたら、アルもポンポンって撫でてくれた。
今日はとっても、いい日!
襲撃があったあの日から、わたしのすることに調合が加わった。
毎日2時間だけ調合室に通って、調合を教えてもらっている。
「どう?……わぁ、すごい。キラキラしてるねぇ。」
調合を教えてくれているこの人は、ミスティ。
「治癒が得意なら、調合とも相性がいいはず」って、誘ってくれたのもミスティだった。
ミスティは、特殊な薬師なんだって。
何が特殊なのか聞いても、誰も答えてくれない。
なんでだろう?
誰かが「薬師じゃなくて、魔女だろう」って言ってたけど、ミスティがその人に薬瓶を投げつけていた。
なんかその薬瓶が爆発したんだけど、なんで?
普通、薬瓶って爆発しないのでは?
ミスティに聞いたら、「薬瓶でも薬草でも、爆発するものはする」って言ってた。
そういうものなんだって。
「ミスティが教えてくれたから、上手にできた。」
そう、ミスティは教えるのがすごく上手。
「ん〜もう〜可愛いっ!!」
ミスティも、アルと同じでよく頭を撫でてくれる。
それに加えて、ぎゅっと抱きしめてくれるから、胸の奥がホワホワになる。
撫でポも好きだけど、ぎゅっも好き。
どっちも違って、どっちも良い。
「じゃあ次は、気絶薬を作りましょ。変な人に襲われたら、それを投げるの。当たらなくても、その人は気絶する強力なやつだから、安心よ。」
「うん!」
ミスティの指示通りに、まず薬草と調合器具を綺麗に洗う。
もし前の薬品が残っていたら、混ざって大変なことになるからだって。
次に千切った数種類の薬草を鉢でゴリゴリ潰す。
綺麗に潰れたら、布に落として、絞る。
絞った汁に、魔力(わたしの持つ力のことを魔力って言うんだって)を注ぎながらかき混ぜる。
上手く魔力と混ざったら色が変わる。
今回は、緑色から赤色に変わった。
そしたら完成。
「できた。」
「うん、完璧ね。魔力の使い方も上手くなったし。よくできました!」
「うん。」
完成した気絶薬は、わたしにくれた。
一から全部自分で作れたのは初めてだったから、大切に持っていることにした。




