不思議な存在 SIDE:アルトゥール
ユフィーレが来てから、俺の生活は変わった。
朝から晩まで、寝る時もずっとユフィーレと一緒にいる。
あまり人との馴れ合いは好きじゃなかった。
今でも嫌いだが、ユフィーレに対してだけは、そう思わない。
俺自身、理由はわからないが。
初日はずっと泣いていた印象だが、最近はよくコロコロと表情が変わる。
よく見ないとわからないくらい些細な変化だが、嬉しければ口角が緩んでいる。
きっと、もともと表情を動かすことがなかったのだろう。
これから、色々経験して覚えていけばいい。
まだ20歳なのに、子育てをしている気分になるのは、なんでだろうな?
ユフィーレは不思議な存在だった。
初対面の奴らにも警戒心を抱かせないし、ユフィーレがいれば、イラつきなんかの負の感情が綺麗さっぱり無くなっていく。
それを感じるのは俺だけじゃないみたいで、うちの連中は揃ってユフィーレにゾッコンだ。
犯罪行為のオンパレードのくせして、何デレデレしてんだあいつらは。
呆れてため息が漏れてくる。
ユフィーレが来てからのここは、いい意味で力を抜けて、仕事の効率が上がっていた。
ユフィーレには内緒で、当初からユフィーレの身元を調査していたが、これと言って手掛かりがなかった。
だが先日、思わぬところからヒントが得られた。
ユフィーレ自身の言葉を全て飲み込むと、一つの可能性が浮上してきた。
それも、かなりの確率で正解だろう。
ユフィーレはただの孤児院からの脱出者ではなく、おそらく教会の聖職者だ。
それも高位の。
最悪、教会が傲慢になったことに関係がある、聖女の可能性があった。
ユフィーレを聖女と仮定した場合、教会は何がなんでもユフィーレを取り戻そうと躍起になっているはず。
現に、今の教会は人の出入りにも気を遣えないほど、慌ただしく動いているようだから。
そのおかげでこちらは、情報を探りたい放題で助かっているが。
ユフィーレが聖女なら、いや、聖女ではなかったとしても、ユフィーレの扱いは悪すぎる。
聖女だったら尚更だ。
と言うか、子どもに何させてんだよ、クソジジイどもが!
それはそれとして、ユフィーレがいる時に、ワイパーだかバンパーだかいう傍迷惑な奴らが、襲撃に来やがった。
ユフィーレに接触させないように、いつもは参加しない撃退に参加したのが、仇になってしまった。
奴の気配を上から感じて、慌てて部屋に引き返した。
扉を蹴破って中に入ると、案の定、奴がいた。
だが幸いにも、ユフィーレには傷一つついていない。
そこは安心した。
が、許さねぇ。
とっとと、叩き出してやる!




