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ダンジョンエレベーターガール=D.E.G=  作者: 千ノ葉


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第6話 アナライザー爺さんズ


チーンッ


ダンジョン員3人がカゴに乗り込むと、2階に辿り着いた。


「ほっほう!すばらしい! 

 このエレベータというのは一種の

 マナポータルのようなモノなのですな!」


鑑定員たちはエレベータから降りて壁を見たり、

床を叩いたりしていた。

発見があるたびに彼らは大げさに大きな声をあげていた。


「えっと、ゴブリンいると思いますので、

 あんまり声を出したりすると……」


「大丈夫! こう見えても私らは強いですぞ。

 では!いざ奥地へ!」


慎重だった勇者パーティとは打って変わって、

彼らはルンルンでダンジョンの奥へと進んでいった。


「大丈夫かなぁ?」


スマホでしばらくモニタリングしていたが、

無用な心配だった。

ゴブリンが3人の前に飛び出してきた。

ボスを失ったというのに闘志は全く変わっていない。


「ふむ。ゴブリンですか」


アーチボルトは本を構える。

ゴブリンは棍棒を振り上げ、襲い掛かるが、


「遅いですぞ!」


彼は瞬時に棍棒をいなし、


「アナライズ!!」


攻撃するかと思えば、鑑定魔法をゴブリンへと照射する。


「アナライズ!」「アナライズ!」


他の2人も同時に魔法を放つ。


「がっ!?」


ゴブリンは困惑をするも再度、他の二人に襲い掛かる。


しかし、


「アナライズ」「アナライズ」

「アナライズ」「アナライズ」

「アナライズ」「アナライズ」


アーチボルトたちは鑑定魔法しか使わない。


ゴブリンも攻撃はするものの、完全に実力が劣っており

彼らは遊ぶようにゴブリンを躱す。



「もういいでしょう」


アーチボルトは本の角でゴブリンの頭を一撃。

苦しみながらゴブリンは黒い塵となって消滅した。


「ふー。こんなもんでしょう!」


アーチボルトたちは満足そうにドロップアイテムに鑑定魔法を唱えていった。

楓はあっけにとられた。もしかしたら彼らは勇者くらい強いのかもしれない。


「鑑定おじいちゃんたち……すごっ……」

戦闘力というよりは異質な空気に圧倒された。




そして約30分ほど、彼らはダンジョンを見回り、

罠や壁や宝箱にアナライズを

かけまくっている。


「アーチボルト様。ダンジョンの中身は

 他のダンジョンとそこまで変わらないようですね」

「そうですね。リセットが早くドロップアイテムが良いし、

 勇者殿の言った通り良質なダンジョンのようですね」


アーチボルトは本を閉じて言う。


「では、ボスの間を調べたら最後にしましょう」



3人はあっという間にボスの間にたどり着く。

ゴブリンメイジは討伐されているので、

空になったボスの部屋には何もない。


ボスの間に着くと、3人はそれぞれの本を構える。


「では行きますよ! アナライズ!!」


3人の本からまばゆい光が生まれ、ボスの部屋全体を覆う。

鑑定に時間がかかりそうなので楓はスマホで他のアプリを見ることにした。



「あれ? エレベータ管理アプリにnew! マークがある」


「新着情報……あと、エレベータのメニューが増えている?」


マニュアルを開くと、

『エレベータには新機能を追加できる場合があります。

 エレベータのメニュー画面を開くと、

 EPによる新機能の追加が可能になります。

 EPは階層の初クリア。ダンジョンへの

 来客人数などによって得ることができます』


『新機能として、エレベータの拡張機能と

 エレベータショップが使用可能となりました』


「どういうことだろう?」


楓はメニュー画面をタップし、

エレベータの拡張機能を見てみる。


「エレベーター機械室へのアクセス許可。

 EP:2000ポイント?

 うーん。機械室に行っても

 いいことがないような……」


楓はショップを見る。


「何これ? ダンジョン攻略向けショップ?」


タップすると、ポーションや武器・防具などの表示が出てくる。

だがショップの値段表記はゴルドという単位だ。


「ポーション1個:1000ゴルド? 安いのかな」


ショップはもう一つあるようだ。


「管理者向けショップ? こっちも見てみよ」


もう一つのショップには楓の見覚えあるもの

ばかり載っていた。


「こ、これ、カロリーフレンドじゃん!」


そこにあったのは日本人なら誰しもが知る有名な

バランス栄養固形食であった。


「えっと、10EP? 安っ、い? のかな?」


楓は考えるが、今持っている10000EPのことを考えると、

買っても余裕はありそうだ。

何よりお腹が減った。


「ええいままよ!」


楓は購入ボタンを押すと、手元にカロリーフレンドが出現する。


「おおっ!?」


楓は感動した。異世界に来て初めての故郷との繋がりだ。

でも、いったいどこから出てきたのだろうか?


「これは本当にカロリーフレンドなのかな」

楓はおそるおそる開封して、一口齧ってみる。

「うまぁ!口に広がるチーズ味!

 やっぱりカロリーフレンドだぁ! 日本の食べ物だ!」


感動とともに久方ぶりの食べ物を堪能する。

甘みの中に隠れた塩味が疲れた体にしみわたる。


「うめぇ。うめぇ」

お腹が減っているせいか、いつも以上においしく感じられた。



カロリーフレンドを2袋追加購入し、大事にしまっておく。

「EPは消耗しちゃったけど、いいよね」


だが、楓は考える。

仮にカロリーフレンドだけで食事をしたとしても

EPは消費されてしまう。閉じ込められていることも

考えるとEPは極力使わないほうが良いのだろう。


(EPもいつでも入るわけじゃないみたいだし……)


楓は考え込む。


「カエデ嬢!」


鑑定員たちは鑑定が終了し、いつの間にか帰ってきた。


「あ、お帰りなさい。もう良いんですか?」

「はい。もう十分です」


アーチボルトたちは笑顔で答える。

「素晴らしいダンジョンですね。

 ダンジョン登録後、正式な許可が出た後の話になりますが

 私も後ほどプライベートで登らせていただきます」


彼は楓の手を握ろうとするが、

「いたっ!?」


結界に阻まれて、手を跳ね返されてしまう。


「やはり手は握れないのですか……残念です」

 アーチボルトは残念そうに言う。


「とにかく、これからギルドやダンジョニア王国に報告して許可を取ります。

 ダンジョンとして認められましたら、

 このダンジョンは正規ダンジョンとして登録されます。

 もしよければなのですが……」


アーチボルトは早口でそう言うと下心がありそうな笑みを浮かべ、

手もみしてくる。


「このダンジョンのダンジョンマスターとして

 カエデ嬢を正式登録させていただきたいのですが」


「ダンジョンマスター? 

ですか?それってどんな仕事ですか?」


「ダンジョンマスターというのは

 ダンジョンを管理する人のことです!」


「なるほど。そのまんまですね」


「他のダンジョンにも管理や入場規制。

 事故の連絡などしてくれる管理人が存在します。

 もちろんダンジョンマスターは権利として

 ダンジョンの入場料の5%の

 報酬を支払う法律があります」


ダンジョンの管理人と聞いて面倒な仕事を想像したが、

報酬が入ると聞いて少し心が揺れる。

しかし楓には不安がある。


「ダンジョンマスターになると、

 何か制約はありますか?」


「いえいえ。特にありませんぞ。

 むしろ、ダンジョンマスターになれば、我々はカエデ嬢と

 正式契約したことになり、王国の庇護を受けることができますぞ」


異世界に来てから、何も考えなかったが、

後ろ盾があれば色々と有利に進みそうだ。


しかも今の段階では

エレベータから降りることすらできない。

これは受けるべきなのだろう。


「はい。分かりました。

 でもちゃんとできるかは分からないので、

 サポートしていただけると助かります」


楓はおずおずと答えた。


「ありがとうございます」


とアーチボルトは言う。

その顔はどこか希望に満ちていた。


「ダンジョニア王もさぞかし喜んでくれると思います」


アーチボルトは笑顔で礼を言った。


「ダンジョニアってのが、

 この国の名前なんですか?」


アーチボルトたちは顔を見せ、

一瞬不思議そうな顔をするが、

何かつながったような表情を見せ、


「ええ。ここはダンジョニア国の北西端にあるアウターメイズという

 都市の近郊になります」

「アウターメイズ……」


国名も都市名も全く聞いたことがない。

やはりここは異世界ってやつなのだと、楓は実感した。


「さてさて。勇者殿も冒険者ギルドマスターも

 待っているでしょうし、帰りましょう」


「は、はい」


4人は些か狭いエレベータに乗る。

楓はエレベータの1階へ向かうボタンを押した――


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