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ダンジョンエレベーターガール=D.E.G=  作者: 千ノ葉


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第5話 おもちゃの指環とダンジョン鑑定師

2人がエレベータの入り口付近まで戻ってきた。


「カエデさん!」


イザベラは嬉しそうに声をかける。


「お疲れ様でした! 2階層をクリアしましたね!」


楓がそう言うと勇者2人は不思議そうな顔をする。


「ほら、このモニタリング機能で二人の動向を

 追っていたんですよ!」


楓はスマホの画面を2人へ見せる。

そこには3人の姿が映っている。

画角的に外から撮っているのだろうか。


「あら~。本当に私だわ……

 どこかに監視用の何かが

 あるのかしら?」


イザベラはあたりをキョロキョロするが

不審なものを発見することはできなかった。


「とにかく。クリアおめでとうございます」


楓は頭を下げる。


「ありがとう! 

 これでこのダンジョンの安全性は確認できたわ」



シオンとイザベラを乗せ、

エレベータは降りていく。



「あれ? ボスからのドロップ品

 置いてきちゃったんですか?」


何も持っていない彼らに聞く。


「いいえ? あるわよ? ほら」


イザベラが手の平を上に向けると、

小さな銀貨の袋が出てきた。


「わっ!?」


楓は驚きつつも


「あの……それ、どうやって?」

恐る恐る聞くと


「ああ。アイテム収納の魔法よ。

 アイテムボックスと呼ばれているわ。

 容量と重さの制限があるけどね」


イザベラはそう説明してくれる。


「カエデさんの世界には

 こういうのはないのかしら?」


「い、いえ……聞いたことないです……」


アイテムボックスなんて、

小説かアニメでしか見たことない。


「そっかぁ」


納得する彼女。そして


「とりあえずギルドと王国の見聞役にダンジョンの

 説明をしないといけないわね。カエデさんも協力 してほしいわ」


「わ、分かりました」


自分がどんな協力をすればよいか分からないが、

楓は頷くしかなかった。


「あと、楓、これが何なのか読めるかい?」


シオンは同じように何もない空間から

一つの袋に入った指輪を取り出す。

何か見覚えがある……


「ぇえ!? シオンさん? これはどこから!?」


「ボスのドロップ品さ。そのリアクション、

 何かわかるんだね!」


分かるも何も、安っぽい透明のパッケージに

日本語と英語と中国語がびっしり。

縁日などで見るおもちゃの指輪だった。

楓は何気なくシオンから指輪を受け取る。


「えっと、私の世界で安く売っている

 おもちゃの指輪ですね」

「おもちゃ? つけて効果とかはないのかい?」

「うーん……おもちゃなので」


楓は苦笑した。

レアアイテムだと思ったのか

シオンは少しガッカリした様子だ。


「けれど、何で私の世界の物が

 ダンジョンなんかに……」


「それよりもカエデさん! 

 そのアイテムは受け取れるのね!」

「あっ? そういえば」


何気なく指輪を受け取ったが、消える気配はない。


「じゃあ、もしかして」


シオンはアイテムボックスから

竹筒に入った何かを取り出した。


「あまり冷えてないけど、

 何も口にしていないと思ってね」


シオンは優しく微笑む。


「えっと、これは……」

「ああ。水さ。アイテム名でいうと【ぬるい水】」


そのまんまのアイテム名と、楓は思いながら、


「ありがとうございます」


お礼を言い受け取る。

なぜなら緊張で喉がカラカラだったから。


さっそく失礼し、

竹筒の中に入ったぬるい水を口にした。


異世界に来て初めて口にする

飲み物はとてもおいしかった。


「ごめんなさいね。

 渡せるなら食べ物のドロップ品も

 持って来ればよかったわね」


イザベラが残念そうに言う。


「いえいえ、水をもらえただけ十分です」




そうこう会話をしているとエレベータは1階に辿り着く1階では冒険者たちが待機していた。


「お待たせ」

「お待たせしました!」


シオンとイザベラは爽やかに告げる。


「2階層にゴブリンメイジが潜んでいたけど、

 問題なく倒せたわ」

「ダンジョンとして問題なく機能していると思われるので、

 ダンジョン鑑定員を急がせてくれ」


2人がそういうと、

冒険者たちから拍手が巻き起こった。


「すぐに帰ってると思って、

 鑑定員はすでに到着しているぜ」


ギルドマスターのシルベーヌは後ろを指す。


そこには鑑定員と呼ばれる

貴族風の男が3人ほど立っていた。


「勇者シオン殿。イザベラ嬢。

 先遣ご苦労様でした。

 その顔を見ると良きダンジョンでしたか?」


「ああ。2層のみ踏破したが、

 ダンジョンの資質は十分だと思う」


それはそれはと鑑定員は喜ぶ。


「だが、問題がある。些か……

 というかかなり特殊なダンジョンっぽいんだ」

「ふむ」


シオンはかいつまんで経緯を話す。


「ふむ。それは中々興味が湧きますね。

 エレベーター……異世界からのお嬢さん……」


「とにかく、鑑定をしてもらえると助かる」


「分かりました。では、

 踏破済みの2層を少し見学させていただきます」


鑑定員はシオンとイザベラに連れられエレベータへ向かってくる。


「カエデ。すまんがもう一仕事頼まれてくれ」


シオンは頭を下げる。


「分かりました」


楓が承諾すると男たちは

エレベータへ足を踏み込む。


「おお! これはこれは! なんたる異質!?」


ダンジョン員たちは

エレベータに乗るとペタペタと壁を触ったり、

ボタンを眺めたりしている。


「わっ?」


乗り込んできた遠慮が一切ない

来訪者に楓は驚く。


「これがカエデ嬢。ほほう。これはこれは」


いきなり虫眼鏡を顔に向けられる。

そんなことをされて驚かない人はいないだろう。


「ごめんなさいね。悪い人じゃないんだけど、

 ダンジョンのことになるとね……」


「は、はぁ……」


楓はぎこちない笑顔で返す。


「これはこれは。失礼しました。

 私、ダンジョン鑑定員の

 アーチボルト=ベルカントと申します」


「あ、犬飼楓です。初めまして!」


いきなり貴族風の挨拶をし、楓は戸惑う。


どうやって挨拶して良いか分からずに、

とりあえず頭を下げた。


「では楓嬢。さっそくですが

 2層を拝見させていただきますぞ!」


楓は戸惑い、二人を見るが、


「すまんね。カエデ」


と、申し訳なさそうなシオンと


「まあ、我慢して頂戴」


と、苦笑いするイザベラに言われたので

渋々、2層へのボタンをタップした。


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