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ダンジョンエレベーターガール=D.E.G=  作者: 千ノ葉


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2/10

第2話 塔のダンジョン【バベル】 2階にて

『ピンポーン。2階です。ドアがひらきます』


チン――

無機質な音声が流れドアが開いた。


「えっ?」


楓の目に飛び込んできたのは

真っ直ぐな半人工的な通路。

だが現代日本のものではないことは

直ぐに感じ取れた。


壁は石でできているのであろうか。

所々に蔦が茂り、壁画のようなものが書かれている。


「30秒で到着か。イザベラ、位置は?」

「先程とは全く別の場所に来ているわ。それに、このダンジョン感は……」

「ああ、荒野の低層ダンジョンとよく似ている」


楓はまったく理解できなかったが、

ここが異質なダンジョン内だということはわかった。

先程の入り口と空気が違う。

密閉された空間だというのに冷たい風が奥から吹いているようだ。


「とりあえず2階の調査をしてみようか」


シオンの言葉に頷き、2人はエレベーターの外に出た。


「わ、私も行きます」


一人残されるのが怖くなり、

楓も外に出ようとするが、

また透明な壁に阻まれ、顔をぶつけてしまう。


「んぎゃっ!」

「大丈夫?」


シオンは心配そうに楓の頭をさすってくれたが、

やはり彼に触れられないようで

弾き返されてしまう。

それで良かったかもしれない。

イケメンに頭を触られたら爆発しそうだから。


「すみません。

 やっぱり私は出られないみたいです」


「そうか……どちらにせよ、君はここに残るんだ。

 おそらくこの先はモンスターがいるだろう」


「も、もんすたーって?」


「だから危険なの! 

 カエデさんもここで待っていてね!」

「はい……」

(モンスターって何?)


頭に今まで数々の作品で見てきたモンスターの

イメージが浮かび恐怖したが、

2人に言われたら、楓は頷くしかない。


「じゃあ、また後で会いましょうねっ!」

「ああ、すぐに帰ってくると約束しよう」


2人は颯爽と通路を歩き出す。


2人を見送った楓はエレベーターの奥に

もたれかかる。


(私、このままここに居られるのかしら……)


不安に思うが、

どうしようもないので2人を信じて

待つことにした。


彼らの姿は通路の奥に消えた――


ピロリン! ブーブーブー


ポケットに振動と音を感じた。

随分聞き慣れた音だ。


「あ、あれ? スマホ?」


取り出してみると正真正銘自分のスマホだ。

さっきポケットを見た時には

何もなかったはずなのに不思議なものだ

通知画面に何か来ている。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

勇者のパーティ

シオン&イザベラが2層の攻略を

開始しました。

モニタリングモードに移行しますか?

はい  いいえ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「何これぇ……」


見たことが無い画面表示に楓は驚くが、


「モニタリング? よく分からないけど、

 はい、でしょ!」


「はい」をタップすると

スマホは画面を変える。


次に映ったのは赤い長い髪の女性の後ろ姿だった。

彼女は杖を構えながら前を向いている。


「あっイザベラさんだ」


どうやら画面の中の女性は、やはり

イザベラらしい。


「やはりゴブリンよ!」

スマホから彼女の声が聞こえる。


「まかせろ」


シオンは前に突撃する。

スマホに映った映像は臨場感がたっぷりだ。


「こ、これがゴブリン」


物語でよく名を耳にするモンスターだが、

その禍々しい姿に楓は身震いしてしまう。


シオンは一気に距離を詰め、剣を横に一閃する。

ゴブリンは悲鳴を上げ、絶命した。


(凄い……)


流石勇者と言われるだけはある。シオンは

剣を颯爽と振り、ゴブリンを圧倒する。


「はっ!!」

イザベラの杖が光ると火球が飛び出し、

遠方のゴブリンが爆炎に包まれた。



「すごっ!まるで映画でも見てるみたい!」

2人の活躍をスマホで見ていた楓は

思わず声を上げる。


戦闘が終わったが、2人はそこから動かない。

ゴブリンの死体はいつの間にか無くなっており、

地面には何か落ちているようだ。


「イザベラ、これ」

「小粒のルビーじゃない!あとは、銀貨?」

「ゴブリンにしては些か良すぎるドロップ品だね」


シオンは考える。


「これがこのダンジョンの特性なのかもしれない」

「なら、上層部はさらに良いアイテムが

 手に入る可能性があるわね。楽しみだわ」


イザベラは期待に胸を膨らませた。


「どうする?このレベルであれば

 サクサク攻略できそうだけど?」


「いや、やめておこう。

 とりあえず報告に1階まで戻ろう」


シオンは剣を収める。


「カエデも心配だろうし。

 準備を整えてからでも遅くはないだろう」


2人は踵を返し、

エレベーターの方へ戻って来るようだ。


楓は安心し、再度スマホを覗きホーム画面に

戻ってみる。


あれだけあった自分で入れた

ソシャゲアプリが無くなっており、

代わりに見知らぬアイコンが増えている。


「ダンジョンカメラーーさっき、

 モニタリングモードをしたやつ――」


スマホの画面をスクロールすると、

別のアプリが目に入る。


「こっちはダンジョン管理マニュアル!?

 これだわ!」


楓は早速マニュアルをタップし、読む。


「このダンジョンはバベルと呼ぶ。

 バベルは1階から100階で構成されており、

 1階ごとに異なるモンスターやボスが存在する」


なるほどと、楓は画面をスクロールする。


「階の移動にはエレベーターを使う必要があり、

 管理者が自由に階層を選択できる。

 また管理者がエレベーター内にいる場合に

 外から乗り場呼びボタンを押された際、

 管理者権限でエレベーターを動かすことが

 できる」


読み進める間に2人が目に付くところまで

近づいてきた。


「カエデ、大丈夫だったか?」


シオンは心配そうに聞いてくる。


「あっ、大丈夫でした。

 お二人は大丈夫でしたよね?」


楓が尋ねると


「ええ、問題ないわ」


イザベラは答える。



「ところでカエデさん。その手に持ってる物は何かしら?」

イザベラは問う。


「これはスマホといって、えっと、

 電話やいろいろなことをできる便利な機械です」


「スマホ?デンワ? よくわからないけど……

 良ければ私に貸してくれないかしら?」


スマホを人に渡すのは抵抗があったのだが、こんな状態だし、仕方がない。

楓はイザベラにスマホを手渡すがーー


「あっ?」

「あっ……」


イザベラの手に渡ったスマホがぱっと消え、

いつの間にか楓の手の中に戻っていた。


「人に受け渡しができない属性の

 アイテムらしいわね。珍しいわ……」


「ごめんなさい」


「ううん、気にしないで頂戴!

 それよりそのスマホで何か発見が

 あったのかしら?」


「ええ。この画面を見てください」


楓は目を細めてスマホの画面を覗く。


「随分明るい画面ね……古代語がびっしり……」


やはり彼女たちには日本語が読めないらしい。


「えっと、これ、このエレベータと

 ダンジョンのマニュアルみたいなんです」


「マニュアルというと?」


「ダンジョンについての詳しい説明みたいです」


「それはいい情報だわ!何が書いてあるのかしら」


「えっと、ページがあり過ぎて全部は読んでないん ですけど……」


2人は楓のスマホを興味津々に覗き込む。

美形と美人に顔を近づけられドキドキする。


「このダンジョンはバベルと言い、

 1階~100階までのダンジョンで

 構成されています」


楓はかいつまんでマニュアルの内容を話す。


「1階につきボスがいて、

 ボスを倒すとその階がクリアとなります。

 あと、ダンジョンは誰も入っていない状態で

 24時間経つとリセットされるそうです……?」


「なるほど、再生するダンジョンか」


シオンは納得した様子だ。逆に楓が困惑する。


「ダンジョンの中には

 自動再生するダンジョンがあって、

 クリア後も宝やモンスターボスが

 しばらくすると

 リセットされるんだ」


「そうなんですね」


どういう仕組みでリセットされるのだろうか。

疑問に思うのだが、不思議なことばかりで

原理を追ったところでどうにもならないであろう。

この世界はそういうものだと無理やり

自分を納得させた。


「24時間は破格ね。ほとんどのダンジョンは

 早くて再生まで1週間以上かかるのに」


「ああ。高速周回にはもってこいだ」


シオンとイザベラは嬉しそうだ。


「あと、ボタンの色なんですが、

 タイミングによって階の色が変わるようです」


黄色に光った2階ボタンを指さし、楓は説明する。


「緑:ボスを倒し階層クリア済み 

   リセット後に無色に変更される。


 黄:攻略中のダンジョン 

   誰も入っていない状態で

   リセットカウントが進む 


 赤:攻略パーティの全滅状態の階 

   誰も入っていない状態で

   リセットカウントが進む」


「リセットカウントはどこかで見れるのかい?」


「あっ、これだと思います」


楓はスマホを操作し、ダンジョンのアプリを起動する。

そこには階層の番号が表示され2層には 

未踏破 リセットまで24:00:00 と

書かれている。


「なるほど。僕らは文字が読めないし、

 カエデに読んでもらうしかないか……」

「あ、あと重要なことが一つ」

「どうした?」

「エレベーターを起動・操作できるのは管理者。

 つまり私が乗っている時だけみたいなんです」


二人は静かに楓の説明を聞く。


「エレベータに乗って操作することはもちろん、

 乗り場――えっとつまり」


楓は頭でエレベータのイメージを想像しながら

何とか説明を続ける。


「ダンジョンに入った人が外からボタンを押すと、

 エレベータが起動しその階まで

 迎えに行けるのですが――」


「私が乗って許可を出さないと

 エレベータが動かないみたいなんです」


二人に説明し、乗り場側のボタンを見てもらう。

ダンジョンの壁に異質な人工的な

ボタンがあったため、

発見には時間はかからなかった。



「つまり、このボタンを押せばいつでも

 ダンジョンからエレベーターに

 乗って出られるけど、

 カエデさんが乗っているっていう

 前提付きなのね」


「そうです。今私はここから出られないですけど、

 仮に外にいたとしたら、

 ダンジョン内の攻略している人は

 脱出ができなくなるとのことです」


「まるで総舵手だな」


イザベラは楓の説明の内容を

箇条書きでメモしていく。


「とにかく、今は一旦戻ろう。

 ギルドに細かく連絡を入れたほうがいいだろ」


「奥からゴブリンが 向かってくる気配もあるし

 早く引き上げましょ」


確かにイザベラの言う通り、

ダンジョンの奥からはドタドタパタパタという

足音が聞こえてきている。


「ひっ!? 早く乗ってください!」


楓は怯えるように二人をカゴに乗せ、

エレベータ内の1ボタンを押した。


扉が閉まる寸前、ゴブリンが曲道より顔を出した。

その顔は楓たちをにらんでいる様にも思えたが、

エレベータのドアが閉まるのを見て、

彼(彼女?)は追跡に興味を無くしたようで

そっぽを向いたのであった――


扉が閉まりきると

エレベータは問題なく動き、1階へ到着した。


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