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ダンジョンエレベーターガール=D.E.G=  作者: 千ノ葉


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12/17

第12話 16階と黒い炭酸飲料

夜も明け、ダンジョンが営業開始時間となる。

朝7時。エレベータの機械室には

アラームが鳴り響いていた。


ピピピピピ……。


「ふぁー」


眠たい目をこすりながら、楓はアラームを止め、

寝袋から立ち上がる。


機械室の中では朝日も見えず、

スマホの時計だけが時間を教えてくれる。

だが体感的にはかなり寝た。

社畜の時の倍は寝ただろう。


ストレッチをしたのち、シャワーを浴びる。

水道代もどうせかからないだろうから

思いっきりシャワーを浴び、

シャワーの水で口を濯ぎ、ついてに喉も潤した。



シャワーを浴びたら部屋着に袖を通し

カロリーフレンドを頬張った。

腹は膨れるがさすがに飽きてきた……


そして制服を着て、髪を手櫛で梳かした。


「やば……ドレッサーとか必要だったかも……」


鏡が無いので身だしなみがうまくいっているか

分からない。

ついでに化粧も――


「えっと、ショップは……化粧はないのぉ?」

衛生用品はあるが、化粧は無いらしい。


「すっぴんで出るのぉ……」


高校生から人前にすっぴんで出るなんてことを

してこなかった彼女は

少し不安を感じながらも一階へと降りる。


気分は落ち込み気味だが、

職場まで30秒はまさにチートだ。


以前は満員電車に揺られ、

電車内でもみくちゃにされ、お尻を

触られたことだってあった。


「ソフィア、おはよう」

「おはようございます! カエデ」


1階につくと今日もソフィアが待っていた。


「今日も頑張りましょう!」


そう言いソフィアは受付を整える。


ソフィアは薄く化粧をしているのだろうか。

目を盗んで顔を覗き込む。

幼い顔立ちに大きな目、

彼女が現代にいたらアイドル以上の存在感だろう。

今の自分は化粧もしていないのにと、

楓は急に恥ずかしくなる。

だが仕事に集中と無理矢理笑顔を作った。




「やあ、カエデ。昨日はよく眠れたかい?」

「あっ、シオンさん、

 イザベラさん。おはようございます」

「カエデ今日もよろしくね」


二人は凛としており、朝日に負けず眩しい。


「さて、些か営業時間前だが、フロアを決めても

 大丈夫かな?後ろからの目線も気になるのでね」


勇者パーティの背中越しに何組もの

冒険者が列をなしている。みんな新しい顔ぶれた。


「じゃあ、行きましょ行きましょ。」


その雰囲気に威圧された楓は

2人をエレベータ内に詰め込む。


「じゃあ、今日は16階に行こうかな」

「分かりました! 上へ参ります!」


楓は16のボタンを押すと

エレベータのドアが閉まる。

後ろからは「おお!」という感嘆が漏れていた。


16階までは片道8分かかる。

ここから商談がスタートする


「シオン。とりあえずポーションとマナポーション は買いましょう。後はフロアに着いてから買って も良いかもしれないわね」

「そうだね。10個ずつ貰おうか」


シオンとイザベラはお金に枚挙がないらしい。

アイテムボックスから金貨の束を受け取った。

具現化されたポーションを、

アイテムボックスの中にしまう2人。


商談も終わり雑談タイムだ。


二人は雑談をしながらも倒れた時の

打ち合わせをしている。

その内容を聞き流してはいたのだが、

どうにも気になり楓は疑問を投げかけてみる。


「あの~倒れた時って気絶を

回復する魔法みたいなのがあるのですか?」

2人は顔を見合わせ、驚いたような顔をする。



「あれ、もしかしてカエデさんは

回復魔法の存在をご存じない?」

「はい」

シオンは人差し指で自分の頬を掻く。


「うーん。回復魔法って、

まあ平たく言えばケガを治す魔法なんだが」

「はい」

「僕らは回復魔法が使えないんだ」

「えっ」


楓は驚く。イザベラは魔法を使っているから

てっきり回復魔法など使えるかと思っていた。


「だから君のポーションがかなり役に立っているんだ。だが最悪の場合――」

「最悪?」

「死んだときとかね」

「死っ?」


イザベラの口から当然のように

死という言葉が出てきて楓は戸惑う。


「その時はやはり脱出を優先しよう。一人ででも脱 出できれば蘇生もできるかもしれない――」

「そうね。これだけのダンジョンだから

 高位のプリーストくらい――」

「えっ?死んでも生き返れるんですか?」


また二人は顔を見合わせる。


「ああ。生き返れるんだよ。

 中高位のプリーストの魔法ならね」

「結構な額のお金もかかっちゃうのよ」


2人は何ともない風に話しているが、楓にとっては衝撃的なことだった。生き返るなんてことが

起こるはずがない。

だがここではそれが常識なのだろうか?


だが少し安心した。

危険なダンジョンで死者が出ても

生き返らせられるのだと。


「まあ、死なないように気を付けるよ」


冗談なのか何なのかシオンは楓へ笑顔を向ける。

そこでエレベータが減速をし始めた。


そろそろ到着らしい―― 


チンーー


『16階です。扉が開きます』


機械音声が流れ、ドアが開く。

開いた途端雨音がエレベータ内に響き渡った。

外は大雨が降っており暴風雨のような状態となっている。雨の森なのだろうか。


「こりゃあ……砂漠よりも大変かもしれない」


シオンは真剣な眼差しを外に向けた。


「えっと、防水のローブあります」


「カエデさん! ナイス!2人分貰うわ」


イザベラはすぐに購入をした。


「雨がが防げるだけでもだいぶ楽だろう。

 イザベラ、あとは風を纏わせてくれ。

 僕が前に出よう」

「分かったわ」


2人は意を決して外に出る。

雨風は吹いてというのに

2人は平然と立っている。


不思議なことにエレベータ内は

雨が入っていないことに気が付いた。


「カエデ。他の人を待たせちゃうからもう行って! 今日帰れなかったらごめんなさいね」


イザベラは楓に手を振るとシオンの後を追い

森へと入っていった。


2人をどうしても気になり長居しそうになる楓

だったが、気を取り直し、

1階のボタンを押す。

エレベータのドアが閉まり、

起動音だけが狭い空間にこだまする。


「そ、そうだ!カメラ見なきゃ!」


楓は1階へ着く時間を利用し、

監視アプリで2人の姿を追っていた。

雨の中2人は森の中を歩いていくのだが、

棍棒を持った獣人が飛び出してきた。

3mもあろう巨体を持つ、亜人だ。


「危ない!」


届くはずのない叫びをあげる楓。だがシオンはヒョイと身を躱し、巨人を切り上げる。

呻きを上げる巨人だが、怯むだけで倒れない。


「シオンさん! いけ! やっちゃえ!」


自然と声の出る楓とは反対にシオンは冷静に

技を繰り出し、亜人はついに地面へ倒れる。

亜人の遺体は消え、

煙にまみれて何かが地面へと落ちる。


「これ! 絶対!! 飲み物よね! 

 アナライズ!」


一目散にイザベラは鑑定魔法をそれにかけた。


「コーラ? たんさんいんりょう? 良く分からな いけど飲み物であっているみたい。

 私がもらうわ」

「おい! 僕が倒したんだぞ!」

「いいじゃない。ほらもう一匹きたわよ」


シオンはちぇっと悔しそうに剣を構える。


二人には余裕が見える。このダンジョンもおそらくは大丈夫だろう。


安堵のため息と共に気持ちを切り替える。

勇者パーティの動向を見守りたい

気持ちはあるのだが、

今日はまだ始まったばかりだ。


他のパーティについてもダンジョンへ

案内しなければならないのだから。


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