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ダンジョンエレベーターガール=D.E.G=  作者: 千ノ葉


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10/10

第10話 ムカデと魔王とポテトチップス

時間は過ぎ、15時。客足は途絶えてないが、次の予約組が。


「さすがに2時間で攻略は難しいから、

 明日にしてくれないか!」


そう頼んでくる。


確かに受付は17時までだが、

17時を過ぎると翌日の9時までダンジョン内で

待たされるようになるので危険は大きいだろう。


楓はソフィアと相談し、

明日に予約を回すことにした。


「本日はこれまでとします。

 明日は予約順にて9時より受付を開始します」


ソフィアの宣言を聞き、

冒険者たちは素直に帰っていく。


「みなさんお帰りになりましたよ」

「へぇ。みんな素直なのね」


楓は驚く。

営業時間内に受付を停止しているのだから、

現代日本でもあれだけの人数が居れば、

1人や2人くらいクレーマーが出ても

おかしくないと思うのに。


「みなさん。ダンジョンの

 攻略は競い合うものではありますが、

 命あってこそのもの」


ソフィアはそう言う。


「それに未踏ダンジョンなので、

 今頃酒場に寄って情報収集がてら、踏破パーティ の自慢話を聞いていると思いますよ」


「へぇ~」


冒険者など、荒くれ物のイメージしかなかったが、

色々と考えているのだなぁと楓は感心してしまう。


「しかも、バベルが再生可能なダンジョンと

 知っている人も多く、宝を独り占め

 される心配もありませんからね」


なるほどと楓は手を叩く。


「では、私は資料整理に戻りますので」

「あっ。うん。

 私はシオンさんたちを待たなきゃ」


そういって楓はエレベータへのドアを閉めた。

既に攻略パーティは全員退館している。

残るは勇者のパーティのみだ。


仕事に追われウォッチしていなかったが、

大丈夫であろうか。ドキドキしながら

モニタリングを開始する。


砂漠内に大きな砂塵が巻き起こっている。

画面内には15mはあるだろう

巨大大ムカデが映っていた。

しかも顔だけではなく、尾にも顔が付いている。


「げぇ! 気持ち悪い」


砂地から出てくる巨体を彼らは難なく躱すが、

図体のでかい割に素早く砂に潜り、

おまけに急所以外剣が通らないらしい。


シオンは斬撃を繰り出すが、装甲のような

甲殻は剣を弾き返す。


2階のゴブリンメイジより

段違いに強力な相手だろう。


「イザベラ! 詠唱はまだか!?」

「もう少しよ。まだまだ時間を稼げるでしょ?」


イザベラは空中に展開した魔法陣に乗り、

詠唱をしている。


シオンはムカデを引きつけて、

大量の足を少しずつ切り落とす!

だが、ムカデの足はすぐに再生していく。


「ちっ! キリがない」


シオンはイライラしているようだ。


「シオン、準備が出来たわ」


イザベラの声とともに、

空中には巨大な魔法陣が浮かぶ。


「シオン避けて!!」


大粒の水球が砂漠の空を覆い、

ムカデに襲い掛かる。


ムカデは雨粒を避けるように地面へと逃げる。

だが、砂漠の砂は大量の水を吸い、

固くなり、大ムカデは思うように

地面に潜れていない。


「今だ!」


シオンは地面に逃げれていない

尾側の顔を一閃する。

乱撃を繰り出し、その後、目に剣を突き刺す。


「グャアアアアアア!!」


苦しみに耐えられる、大ムカデは顔を出す。


「雷撃よっ!!」


イザベラの唱える雷撃がムカデ全体を捕らえる。

ムカデは断末魔をあげ、黒い霧となり消えた。

 

途端、どデカい宝箱が空中から現れ

砂漠のど真ん中に音を立てて落ちた。


勇者のパーティは2人がかりで

重たい宝箱の蓋を持ち上げる。


中にはナイフやら装備やら数々のアイテムが

敷き詰められいた。


「うお! すごい。この量。

 ダンジョンの入場料やローブ代など

 簡単に取り返せるぞ」


シオンは喜ぶ。


「選定は後にして帰りましょ。

 こんなダンジョンに明日まで閉じ込められるのは

 嫌だわ」


2人は宝をアイテムボックスに入れると、

エレベーターを目指す。


楓も2人を出迎えようと、

エレベーターで15階へ向かった。



15階に着きしばらくすると、

砂漠の彼方から二人の姿が見えて来た。

楓が手を振ると、二人も手を振り返す。


「カエデ! お待たせ」

「お疲れ様です。イザベラさん。シオンさん。」


楓は2人をねぎらう。


「いやあ。さすがに疲れたよ。

 15階でも中々骨が折れたね」


「とりあえず1階に戻りましょうか」


「そうね。しばらく砂漠はゴリゴリだわ」


3人を乗せたエレベータは降下する。

楓はシオンたちの話に耳を傾けた。


シオンの話によれば、

15階にはサソリと大百足の群れがいて、

砂地に引き込もうとするそうだ。


地面が揺れれば即座に飛び上がらなければ、

砂漠に引きずり込まれるらしい。


さらに何より恐ろしいのが15mを超す

大ムカデとのことだ。


「あいつは本当に厄介だった。足が再生するし、

 魔法防御力も高い。

 正直僕たち2人以外では

 手に余ったかもしれない。」


「さすが15階のボスね」


「だが、経験値もアイテムも

 かなり手に入れられた」


シオンが手をかざすと大きな牙が握られていた。


「ダンジョンのアイテムは加工も譲与もできる。

 ダンジョン攻略を進めれば、

 冒険者のレベルを底上げできる」


シオンは拳を握りしめる。


「いつしか魔王にも届くかもしれない」

「魔王ね……」


イザベラは天を仰ぐ。


「魔王って?」


楓が二人に質問する。

するとイザベラが教えてくれた。


「魔王はこの世界を恐怖に陥れるもの。

 数百年に1度、魔王が現れ、

 闇の軍団を率いる」


イザベラは静かに語る


「魔王を倒せるのは勇者のみと言われているわ」

「その勇者がシオンさんとイザベラさん

 なんですね!」


楓はイザベラが言い切る前に興奮して

そう言った。


御伽話のようで素敵だ。

目を輝かせている楓とは相対的にシオンも

イザベラも少し困惑した表情だ。


「楓さん……」

イザベラが何か言おうとしたが、

シオンは肩を叩いて止める。


「だが、僕らはまだまだ弱い。

 だからこうして世界中のダンジョンを

 攻略して強くなっているんだ。」


「へぇ。色々大変なんだ」


「まあ、魔王復活なんて予言みたいなもので

 当てにはあらないけど」


「でも、用心するに越したことはないだろう」


神妙な顔のシオンがハッとし、

楓に笑顔を見せる。


「すまない。少し真面目な話になってしまったね。 せっかくダンジョンをクリアしたんだから、

 楽しい話題にしないとな」


シオンはアイテムボックスから

ポテトチップスを取り出した。


「これもカエデの世界のお菓子だろ?

 もしよければもらってくれ」


「え? いいんですか?」


「ダンジョン内で結構食べたからね。

 イザベラは特に気に入って、

 3袋は食べていたし」


「し、仕方がないじゃない。

 美味しすぎるのが悪いのよ」


イザベラは頬を膨らます。


「ありがとうございます」


楓はポテトチップスを受け取ると

スマホで写真を撮り、アイテムボックスアプリに

収納した。


「へぇ、カエデもアイテムボックスを

 持っていたのか」


「はい。今日見つけたんですよ。

 これ便利ですね」


楓は笑顔でそう言った。


「ねぇ、カエデさん。さっきのポテトチップの

 事なんだけど、味のバリエーションがあったり

 しない?」


日本語文字が読めないと言うのに、イザベラは

そんなことを言ってくる。


「良い質問ですね」


楓はそう言って、人差し指を立てる。


「さっきもらったのはうすしお味。

 これの他にポピュラーなものでも4種類

 くらい思いつきます」


おお、と2人は驚く。


「その味の総数はなんと数百種類もあると

 言われています」


2人はまだ驚く。


「カエデさんの世界の人たちはすごいのね。

 芋を揚げる料理はあるけど、そこまで味の

 差別化する人はこの世界にはいないわ」


「カエデはずいぶん豊かな世界で育ったんだね」


シオンは温かい目線でそう言った。







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