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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

変な奥様の離婚

作者: あるい

 奥様は「従順な妻」のつもり

 旦那様、離婚届にサインして欲しいのですが?


 なぜ?と?貴方がお聞きになるのですか?

 初夜で「君を愛することはない」とおっしゃったのに?

 一句一句覚えております。「この結婚はただの契約だ。わたしたちの間に愛情はいらない後継を作れればそれで良い」と

 そんな昔の事をって?私は記憶力だけには自信がありますの。それに5年前ですからそんなに昔ではありませんですわ。

 今更?跡継ぎが育ったからですわ。まだ三歳?乳母に任せれば良いって貴方がおっしゃっていたではありませんか。それに家庭教師の方も付きますから大丈夫でしょ?

 え、子供には母親が必要って?「お前の影響を受けて変人になったらどうする」「奥様には母親は務まらない」って仰ったではありませんか?


 子供の教育も社交もお茶会も家の事も何もかも、お前は何もしなくて良いとおしゃったではありませんか?

「お前は突飛なことをするからと」何もやらせてくれなかったではありませんか。

 それにお料理やお掃除や庭仕事も「それは使用人の仕事だろ!」させてくれなかったではありませんか。


 「お前ごときに出来るのか?」って実家に居た時は、服の繕いや、お茶のお菓子、サンドイッチとかを作って居ましたよ。まあ、弟に手にかかって私の世話に回す人手が足りなかったからですわ。


 え?「令嬢のやることとは思えない」って、自分のことは自分でできた方が良いではありませんか?家庭教師の先生はそうおっしゃっていらしたし、私に侍女は必要ないとお父様はおしゃって居たし、ここのメイドは仕事をしてくれないんですもの。

 「初めて知った!」と?貴方は「瑣末なことでいちいち煩わせるな」とおっしゃっていたではありませんか?だから何も報告しなかっただけですわ

 「何が不満なんだ?」ですって?とんでもない旦那様には感謝しておりますわ。私を離れに置いてくれて、家具や食器、毛布とか感謝しておりますわ。

 お前は何をしたいんだって?私はただ貴方やお父様の言う通りにしているだけですわ。

 

 「お前は何も出来ないから何もするな何も喋るな、決められた役割を果たせ。」と言いつけ通りにしているだけですわ。


 でもちょっと退屈でしたので、お屋敷を抜け出して皆さんに混じって、あっ皆さんと言うのは旦那様の領民達ですわ。お爺さんとお婆さんの畑仕事を手伝ったり、食堂でお給仕お料理をつくったり、薬草を採ったり、お花を摘んだり、子供達と遊んだり「自分の子供とは遊ばないのか?」と。「奥様が抱かれると激しく泣く」からって乳母が抱かせてくれませんでしたから、跡継ぎとは遊べなくってちょっと残念です。

 

 って「貴族のすることではない」?私、貴族令嬢らしくないって言われて来たから、貴族というものが分からないんですよ。誰も教えてくださらないし、

 それにしても領民の皆様は親切にしてくださいましたわ。お花をくれたり、薬草と毒草の見分け方を教えてくれたり、パン屋さんを手伝ったときはパンを分けてくれたり食堂では「賄い」というものを食べさせてくれたり、お婆さんは、御若い時の服をくれたりし、って「恵んでもらって居るのか!」ってお金をもらうのは卑しいことなんですよね?私お婆様からそう叱られました。


 何よりだれかのお役に立てて居るのは楽しいです。


「お前は!貴婦人の自覚があるのか!」って私が貴婦人らしくないって散々貴方がおっしゃって居たではありませんか?

 

「 ・・・男でも居るのか?」男?愛人が居るのかって事ですよね?私昔子供の頃から、愛情とか恋とか分からなくって、学生時代殿方と御付き合いしても分からなかったんですよ。「淫乱な!」って性行為はして居ないから淫乱にはならないと思いますが、せいぜいお食事とお買い物だけですし、あっ性行為を求めてきた方と婚約者のいる方はお断りしていました。

 今はそのような方はおりませんね。


 「何が不満なんだ」って?特に不満はありませんわ。ただ言いつけられたことをやり終えたので、

 「ここを出て何処へ行くつもりか?」って実家によってから旅行にでも行ってみようかと。私旅行って行ったこと無くって。


 「金も無いくせに!!」って、実は学生時代から投資をやってで、かなり貯まって居るんです。そうだ後で私に掛かった費用は後で計算してお返ししますね。あとは食堂でのチップが有るし。お断りしても持って行けと仰るんですもの。「市井に降りる気か!」そうなっちゃいますね。

 お金が無くなったら、働けば良いんだし。


 「情は無いのか?」さっきも言いましたが、私愛情とか恋とか分からないんですよ。子供は乳母がそだてていましたから、子供への愛情とかも分からないですね。


 「何がしたいんだ!」って、うーん領民の方々にも聞かれたんですけど、私何がしたいのか分からなくて、お父様には「貴族令嬢として決められた役割を果たせ」とか言われて「周りに合わせて空気を読んで」とお友達に言われて来たし

 領民の皆さんには、「小さい子供みたいで可愛い」と言われたし、でお婆さんに「貴方の心に聞いてごらん」って言われたけど良く分からなくて、「それならいっそ探しに行ったら」と子供達に言われて、ここから離れて探しに行こうと思いまして、

 でも貴族夫人は「家を守るのがお役目」なんですよね。でも私そのような役目を負っては居ないんで、何もしなくて良いと言われて、この家に置いていただきく意味は無いと思いまして、それにメイドが「奥様は何もして居ないから、居る意味無いよね」と言って居るのを聞いたんで、


 「お前!さっきから!『仰った、言った、言われた』って他人の言うままで自分というものが無いのか!!」って「自分」ですか?私お母様に「貴婦人は夫に従順でいれば良いんです。」と言われたから、ずうっと周りの方の言うことに従って来たつもり何ですけど、皆さん私を「変だ、変だ」っておっしゃるんですよ。何でだろってずっと思って居ていまして・・・・・・・・・・・・・!


 そうだ!自分探し!私「自分探し」がしたかったんだ!やりたいことが見つかりましたわ!


 「自分!自分って!何を考えて居るんだ!」って私、自分を見つけたいんですよ。それはそうと旦那様、この離婚届にサインを「誰がするか!!」って・・・旦那様ですよ?私のここでの「役割」は終わりましたし、

 「そこまで、そこまで私が憎いのか!」って・・・旦那様は領民と交流した方が良いと思いますね。ただお金を出すだけじゃあダメですよ。お金があったら、みんな食べ物とかお酒とか手近なものになりますから、現物支給でないと。学校とか整備したいなら、本とかノートとかの文房具とか先生とかも手配しないとあとはちょっと税が高いみたいですから、余裕も出ると・・・「そんなことではない!」って旦那様は領主としてよくやって居る方だとおもいますよ。

 私も親切にしていただきましたし。・・・って今思ったんですがここまで旦那様とお話ししたこと今までないですね。初めてでは?お話ししようとお伝えしても「忙しい、忙しい」って結局お話し出来なかったし、後継を産んだ時も「忙しい忙しい」って帰って来たのは、三ヶ月後でしたね。

 手紙もいただきませんでしたね。

 何がそんなに忙しかったんですか?軍務は今は戦争とか無いからありませんし、国会は一月くらいだし、

「お前が社交が出来ないから私がその分やって居るんだ!」って・・・・結婚してすぐの時にお茶会やりましたけど、あの時私何かしましたっけ?


 「初夜でのことを吹聴しただろ!!!」ってあれですか?皆さんに旦那様とのことを聞かれたので、正直に「適当に言えば良い!」嘘は行けないですよ」申し上げたんですよ。「お前を愛することは無い」って仰られましたって、「あれで大恥をかいた!!!」ってでも皆さん旦那様は恥ずかしがって居るだけだって仰って居ましたよ。今は照れて居るだけで、結婚に緊張して居るだけで、余裕が無いだけだ。そのうち私を愛してくれるだろうって。旦那様は学生時代はモテて、女生徒から人気があっても遊ばなかったから、硬派で高潔で素敵だと男子生徒からも人気で、学問も武術も何をやっても完璧って言われておられたと、だからそのうち謝ってくれるってそれで貴方を愛してくれると。

 でもいまだに何も仰らないですよね。

 

 「愛さないと」と仰られたから私も「愛さ無い」と思ったんですよ。

 

 ずっとお聞きしたかったんですけど、何で「愛さ無い」と仰ったんですか?


 そういえば、お茶会で、旦那様は学生時代とある侯爵令嬢の非公式の親衛隊という取り巻きだったとかで、侯爵令嬢の側にいつも侍って居たと。もしかして旦那様は王都に頻繁に行って居ますけど、今でもお会いして居るんですか?侯爵令嬢のあの方を今ではさっぱりお話し聞きませんですが、学生時代の放蕩が祟って王都に療養という形で幽閉されて居ると聞いたことが。

 それとも愛人でも居られるんですか?愛人を持つのは権威を見せつける為とお聞きしましたけど、子供が産まれたら後継の弟か妹になりますね。その場合はちゃんと後継に知らせた方が良いですよ喧嘩になりますから。

 それとも男の方が御好きだとか?女性に興味を示さなかったからそう言う疑惑があったと旦那様のご友人が仰られたことが、王都にはそう言うお店もありますし

 あとは賭け事とかあれはハマると抜け出せないって食堂の女将さんが言って居ました。競馬とかカードとか有りますけど。王都には競馬場とカジノが有るし。

 旦那様は王都に行きすぎだって、執事がこぼして居るのをお聞きましたけど。・・・・


 本当はどうなんですか?旦那様? 

 私は良いんですけど、執事やメイド長やあとは領民の皆さんには正直にお話しした方が良いと思います。


 「お前は!お前は!知らなくても良いことだ!!!お前は!お前は!私よりも!!他人の世迷事を!「サインお願いします!」・・・」


 

 良し!サインもらった!これで私の「役割」は終わった!お役所に届けを出して!実家に報告して終わりだ! さて、どこ行こうかな南の海に海見に行ってみようかな。それとも北へ行って雪を見に行こうかな。楽しみになって来た。


 わくわくするってこんな感じなのかな?

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