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捕らえられた貴族は全て、一旦は牢に入れられる事になった。
それぞれの屋敷にも捜索が入り、その家族達も捕らえられ拘束されている。
いずれはこの国を支えるため、重労働となる場所へと回す予定なので、今は牢でゆっくりしていて欲しいとファラトゥールからの、嬉しくもないお慈悲だったりする。
彼等が担っていた仕事は、前もってファラトゥールが囲っていた文官達が引き継ぎ活躍している。人手不足なところもあるが、以前と比べれば何の問題もなく回っているようだ。
元々、何もせず人の手柄を自分のものにしていた役立たずの上司達だ。忙しくとも邪魔する人間がいないだけでも、気持ちに余裕が生まれ仕事が捗るというもの。
それに、給料も格段にあがりモチベーションも爆あがり。
財源は当然、捕縛した貴族達から没収した財産の一部から。
政務の事はしばらくサイモン達に任せ、ファラトゥールは自分自身の事に集中する事にした。
つまりは、レインフォード公爵との離縁だ。
離縁を成立させるのは、この国の問題を解決することが条件だった。
ならば、三国に親書を送らねばなるまい。
「まぁ、国の立て直しは早急だけど、私の離縁も早急に進めないと」
何といっても『ファーラ・レグルス』に戻らないといけないのだから。
しかも『レグルス国王』になってしまったのだから。
元国王でもあるサイモンと、彼の側近でもあるグレイソンとケイレブを召集し、三国へと送る書状の相談をする事にした。
「実質、まだ国として立て直ってないじゃない?でも、もう他国には無害だよって伝えたいわけよ」
とりあえず宣言してしまえばこっちのものだし。今のところは他国と交易しなくても、私の魔法で自給自足は可能よ。
とにかく!国民の生活向上よ!これがないと何も始まらないわ。
「実際のとこ、この国が安定するまでは鎖国する予定だったし」
「え?鎖国?」
三人が驚いたように顔を見合わせる。
「私の魔法を駆使して全てを作り替えるつもりだからさ、他国の人間には見られたくないんだよね。それに、元々鎖国してたようなもんじゃない?この国。その所為か、魔力量が多い人ばっかりなんだよね」
そもそもこの国はほぼ鎖国状態だった為、国民のほとんどが魔力持ち。初代が仕事にあぶれた魔法使いを多く受け入れてたことが要因だ。
ファラトゥールにとっては嬉しい誤算である。
ただ、長い年月のなかでその使い方を忘れただけで。
冒険者をしていた時にも数少ない魔法使いはいたが、ファラトゥールから言わせれば魔法の使い方が下手クソだった。魔力量もショボかったし。
「出来れば国民みんなには、読み書きもだけど魔法の勉強もしてほしいんだよね」
魔法使いがいないにも等しい今世。全国民が魔法を使えると言うだけでも、相手国にとって脅威となりこの国を守る事にもなるし、それ以上に魅力的に映るはずだ。
魔法に関しては三人も大賛成だ。
実は、この王宮に勤めている人達も結構な魔力量がある。それを伝えた時の喜びようは、まるで子供のようで大はしゃぎだった。
それはいつも無表情を装っているサイモンも例外ではなく、この時ばかりは全身で喜びを現わし皆を驚かせていた。
「とにかく私もここに腰を落ち着けて、色々やりたいんだよね」
そのためには離婚して王族から抜ける事が不可欠。
「どっちにしろ三国の国王と顔合わせはぜ絶対だしね。離縁と王族抜ける手続きもあるから」
「そうですね。では文章を起こしますので、後ほど確認をお願いします」
「わかったわ。じゃあ、私も時間が許す限り衣食住を整えていくわ」
食はアシアス達に規模を広げて引き続きまかせて、私は衣と住よね。
家を建てる事に関して私からは、前世のヨーロッパの街並みを参考に提案した。当然、その道の専門家も連れての集落作りよ。たとえ村だろうが町だろうが手は抜かない!
以前から更地にしていた場所を順次回り、魔力が続く限り本格的に土を掘り起こし整地し、家を建てたり畑に適した土を作ったり道を整備していく。
今では魔法を隠さなくてもいい分、仕事がサクサク進み十日も過ぎれば地方には綺麗な街並みが出来上がっていた。
集落を作りながら、今度は彼等が生きていくための職も必要になるなぁ・・・と、あれこれ頭の中で今後の予定を組み立てていく。
三国との会談まで、忙しく働き続けるファラトゥールなのだった。




