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ファラトゥールは、自分に割り当てられた部屋に戻るとベッドの上で胡坐をかき、左膝に左肘をつき手で口元を覆った。


いやー、あのバカ(公爵)の所為でムカついたけど、前世を思い出した所為か、なんか・・・リミッター外れたっぽいわな・・・


ファラトゥールには、大魔法使いファーラであった時の記憶がある。そのおかげか魔力はあるし魔法も使えた。

だが、五百年前と同じとはいえなかった。

まぁ、当然か・・・と、本人は納得し冒険者としてのスキルを極めていったのだが。


生れ落ちる瞬間にファーラの記憶が甦り、身を護るために無意識で魔法を使った。

彼女の容姿はファーラの時同様美しいが、両親に似させて栗色の髪に鮮やかな緑色の目に変えたのだ。

何もしなければ、ファラトゥールの容姿はファーラと同じまま生まれ、恐らくひと悶着おきていたに違いない。


ファラトゥールは姿見の前に立つと、変化の魔法を解いた。

その瞬間、鏡には遠く懐かしくも若々しい自分が立っていた。

腰まである流れる様な髪は銀色。瞳は鮮やかで華やかなオレンジ色のパパラチアサファイア。

今も五百年前も、非常に目立つ色合いだ。

これまで何度か変化の魔法を解こうとしたが叶わず、ただ、魔法を使う時だけ一瞬、ファーラの色に戻っていた。


この世界では魔法を使える者が、ほぼ居ない。

三百年前を境に激減したのだ。それまでは生活に欠かせない魔法であったが、魔力を使わずとも使える道具が幅広く普及し始め、衰退していったのではないかと言われている。

だが稀に魔力を持って生まれる子供もおり、役所に申告すれば城に迎えられ、一生を国に捧げる事になる。国に縛られるのだから、当然給料は良い。

城に迎えるにあたり家族には支度金という名目で金が渡される。それは例えば家族四人ほどであれば、贅沢さえしなければ優に数十年は働かずに暮らせるほど。

金に目がくらみ子を売る親もいれば、一生秘密にし手元に置く親もいる。


魔力持ちの主な仕事は、魔法使い達の残した資料を紐解きその力を再現する事や、重要な契約に関しては魔法で縛りを加え決して裏切る事の出来ないようにする事、などが主だ。

魔法が無くても便利な世になったというのに、今度は失われた魔法を蘇らせようとする人間の、なんと勝手な事か。

この世は、魔力を持って生まれてくるのも善し悪しだなと、五百年前とはあまりに違う扱いに、ファラトゥールは正直気分は良くなかった。

そんな風に思っているのだから当然、ファラトゥールは魔法を使えることを誰も言っていない。


いまリミッターが外れ、本来の大魔法使いとしての力が甦ったが、力が制限されている時でさえ、王宮に仕えている魔力を持つ人達よりもかなり優秀だったことは言うまでもない。

それだけでも、この国に縛られる理由になってしまう。

今現在でも王女という身分の所為で、宛がわれた男に嫁ぐというのに。魔法が使える事がばれれば、それこそ毒にも薬にもならない男を宛がわれ世継ぎを沢山作らされるのだろう。

きっと魔力が遺伝するはずだと。


バレる前に、国を離れる事が出来てラッキーだったわ。

正直、あのまま国に居ても、いつか限界がきちゃう気がしてたし、誰かと政略結婚したとして、四六時中一緒に居たら絶対バレるわな。

腹立つけどこのバカ(公爵)と結婚出来て良かったのかも。離婚後は王族から離れ自由だし。

となれば、取り敢えず早いとこガルーラ国の事何とかしないと・・・

このままじゃ、この問題は最悪年単位かかっちゃう・・・というか、私の自由が遠のいていくわっ!

なら自分がサクッと解決するしかないわよね。うん。

バカ(公爵)は私に干渉しない約束だし、屋敷にも居ないって言ってたし。準備ができたらひとっ飛びしようかな。


まずはさっさと、自分で片付けようとファラトゥールは思た。

なんせガルーラ国は、五百年前にファーラが所有し住んでた土地であり、魔法実験場だったのだから。

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