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泣きながら愚痴や弱音を吐いた事を恥ずかしそうにしてはいるが、すっきりとした面持ちに戻ったアシアスに、ファラトゥールとルイナはホッと胸を撫でおろした。

そして何故か、二人に挟まれるようにソファーに座るファラトゥール。

隙間のない位、ぴたりと引っ付いている。

向かいのソファーに移動しようかとも考えたが、どこか嬉しそうな表情を向けられればそれもできず、大人しく挟まれているのだ。


まぁ、二人の気持ちが少しでも前向きになれたのなら、良しとしましょうか。

でも・・・ここまで引っ付かなくても・・・・


「お茶、飲みにくくない?私、向かい側に・・・」

「全然、飲みにくくない!」

「全然、飲みやすくて美味しいです!」

「・・・え?そう?」

移動しようかという言葉に被せる様に、勢いよくアシアスとルイナが彼女に顔を向けた。

それが物凄く近くて、思わず仰け反るファラトゥールだったが、なんだか可笑しくてクスクス笑ってしまった。

「ふふふ・・・元気になって良かった。ガルーラ国内の事は二人に任せっぱなしだから、心配だったのよ」

滅多に見せる事のない、ホッとしたような柔らかな微笑みをまともに食らい、アシアスとルイナは頬を染めるのだった。


お茶を飲み落ち着くと、ファラトゥールが新しい魔法を作ったと、先程とは違い子供の様な笑みを浮かべた。

「式神と言ってね、この依代の紙に魔力を込めれば・・・・」

手には鳥の形をした紙が。それに魔力を流すと淡く輝き、ただの紙が可愛らしい紅色の小鳥に変化。羽をはためかせファラトゥールの頭上を飛び始めた。

見た目はまさに、シマエナガ。前世でぬいぐるみまで持っていた位、好きだった鳥だ。

「ファーラ様・・・・これは、一体・・・・」

「可愛いわ・・・」

小鳥はアシアスの肩にとまり、そしてルイナの指先にとまり小首を傾げる。その愛らしい仕草に、兄妹のハートは見事に撃ち抜かれたようだ。

「これはねさっきも言ったけど、式神といって私の魔力でできた・・・まぁ、使役獣みたいな感じ。実は人型もできてね、今私の部屋で身代わりをしてくれているのよ」

前世の記憶があるファラトゥールは、夜に不在がばれるのはまずいと、陰陽師の式神を参考に独自の手法で作ってしまった。

ファラトゥールの部屋で留守番ているのは、式神ファラトゥールだ。

「それでね、この小鳥を城内に飛ばして深い所の情報を集めようと思うの。姿は見えないようにするし、録画機能も付けてるから、後でその内容を二人にも見てもらえるのよ。式神と私は常に繋がった状態にしてるから、意識を同調させれば見えるし聞こえるけどね」

あんぐりと口を開け驚く兄妹をそのままに、ファラトゥールはもう四枚の鳥型の紙を出し魔力を注いだ。

すると今度は、青、黄色、緑、ピンクの小鳥が部屋の中を飛び回り、テーブルの上へと降り立ち一列に並んだ。


おぉ・・・こうして五色並ぶとテンション上がる!戦隊ものを思いおこさせるわ!


そしてファラトゥールに、何かのスイッチが入ってしまったのだった。


「お前たち、良くお聞き!」

ピィッッ!!


ノリノリのファラトゥールに答える様に、五羽一斉に返事をする。

小さな小鳥達がきりりとした表情で返事をするその様は、ただ可愛い。


「私はこの土地を取り戻そうと思っている。力づくで取り戻してもいいが、このように国として機能してしまってるが故、穏便に事を済ませたい」

ピィィッッ!!


「国の頭を取り換えただけでは収まらないほど、国の中枢は腐敗している。それらに関わっている貴族を炙り出したい。特に高位貴族は、限りなく疑わしい!」

ピィィィッッ!!


「分体を使ってもいいし、卵を付けてもいい!絶対に逃さず証拠を集めるのだっ!!」

ピッッ(Yes)!!ピィィィッ(Ma’am)!!!


「しっかり任務を遂行するように!以上!散っ!!」


ファラトゥールの声に、一瞬で五羽の小鳥が姿を消した。

事のあらましを呆然と見ていた兄妹をよそに、いい仕事をしたとでも言いたそうに、満足そうに息を吐くファラトゥールなのだった。


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