表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/6

001 異世界転生

 私は、宮本みやもと小町こまち18才。

 生涯を剣に捧げた剣士……では無く、漫画・ラノベ・アニメ大好きなオタク剣士だった。

 剣士って言っても、剣道だけど。

 オタクが運動するのはおかしいと言う人もいるけど、私の場合は運動が先に来てたから別におかしくは無いのである。


 小学校四年生から始めた剣道で、高校ではインターハイ4位にまでなった。

 惜しくも表彰台には上れなかったけど、我ながら良くやった方だと思う。

 その御陰で大学も推薦が決まって、受験勉強に追われる事もなく、今は体が鈍らない程度に道場に顔を出すという順風満帆に過ごす日々。

 一心不乱に剣を振った後、帰り道に書店で漫画やライトノベルを購入するのがルーティンになっていた。

 受験勉強が無くて時間が有り余ってるせいか、購入した本は数日で読み終わってしまう。

 あっという間に私の懐はすっからかんだ。

 後は大学が始まるまで剣を降り続ける日々かな~と思った矢先、スマホを弄ってるとアマチュア小説家が集うサイトというのを見つけた。

 プロを目指すアマチュア作家達が自作の小説を掲載しているサイトで、結構レベルが高い作品も多い。

 私はお金も無いので、そのサイトを見て過ごす事にした。

 無料というのがとても素晴らしく、書籍化されても削除されずにそのまま残っている作品も有り、とても優良なサイトなのだ。

 無料なのに優良とはこれいかに。

 主人公がファンタジックな異世界やゲームの世界に行くお話が多かったけど、中には本格文学小説みたいなものまであってとても楽しめた。


 小説サイトを見たり、ネットの無料動画でアニメを見たり、剣を振ったりが日課になっていたある日。

 交差点で、楽しみにしている小説が更新されたという通知がスマホに届いた。

 信号も赤だし、青になるまでちょっとだけ見ようとスマホを取り出す。

 歩きながら見る訳じゃないし、ちょっとだけならいいよね。

 その僅かな心の隙が、私の運命を大きく左右した。

 スマホに気を取られていた私に向かって、黒い塊が突っ込んで来た。

 信号待ちしていた他の歩行者達は皆それに気付いて逃げていたのに、私だけはスマホを見ていた事で避けられなかった。

 最後に見た光景は、暴走トラックと運転手の寝顔。

 そして、私の意識は暗転して……。


 ……目覚めた。

 敢えて言おう。

 見知らぬ、天井!

 定番として使われていた文句だから、言わざるを得ないよね。

 病院の無機質な天井ではなく、木造建築っぽい天井に見える。

 どこだろう、ここ?

 私、トラックに轢かれて……でも、生きてる?

 訳ないよね。

 ここは天国?

 私は起き上がろうとしてみたが、体が思うように動かない。

 視界もなんかぼやけてて良く見えない。

 おかしいな?

 天国なら、生きていた時の怪我なんて関係無しに動けるんじゃないの?

 右手を自分の顔の前に掲げてみる。

 良かった、手は思ったように動く……って、ちっさ!

 何これ、私の手小さい!

 そこで私は、トラックに轢かれる直前に読んでいたライトノベルを思い出す。


――『転生』。


 ありがちな設定だったけど、ネット小説ではとても受けがよかったっけ。

 まさか自分がその転生をしてしまうなんて。

 小説では、前世の記憶を保持したまま生まれ変わって、幼い頃から鍛錬に励んだり現代知識を使ってチート無双するんだよね。

 でも現実では、前世の記憶があっても3才ぐらいまでに忘れてしまうとかテレビで言ってたっけ。

 私の意識は年を重ねる毎に失われていくのかな?

 せっかく生まれ変わったなら、今度こそは剣を極めたい……かも?

 もっと幼い頃からやってれば、きっとインターハイでも優勝できる筈だし。

 ラノベや漫画ももっと読みたいな。

 でも、なんか意識が薄れていく。

 嫌……私が私だった事を忘れるなんて嫌……。

 そして私は深い眠りへと落ちていった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ